少子化対策への提案
最近、貴方の住む町の公立の幼稚園や保育園の廃園や民営化が盛んに行われていませんか。あるいは、近くの公立幼稚園と公立保育園の統合化が盛んになっていませんか。
こうした動きは、どうも幼稚園の人気が今ひとつなのが原因のようです。 保護者側のニーズとして、幼稚園の使い勝手が良くないのは確かです。朝9時頃の開園で、夕方3時半頃に閉園する運営スタイルは、共働きの夫婦にとって、子供の送り迎えだけでも負担になります。専業主婦のいる家庭や、送り迎えを頼むことの出来る祖父母や兄弟が近くにいる家庭でないと、利用がしにくい施設になっています。 一方、保育園の方は、早朝や夜間に子供を預かってくれる制度があったり、預かってくれる年齢も0歳児から小学校就学前までと幅があったり、多様なニーズに対応する利用しやすい施設になっています。最近では『一時保育』といって、どうしても1日だけ早朝からお昼まで子供を預けたい場合に、事前に予約をすれば受け入れて貰える制度もありますし、奥さんが入院したとか、家族が入院して看病が暫く必要な場合などに、幼児を預ける事の出来る『短期保育』という制度なども用意されています。
実は、法的に見ると、幼稚園は教育施設として設置されていて、保育園は児童福祉施設として設置されています。所管する官庁も、幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省と違います。ですから、幼稚園教諭という教員免許はありますが、保育士免許は教員免許ではありません。看護士と同じ資格免許なのです。前述した幼稚園と保育園の運営の違いも、この制度の違いに端を発しているのです。幼稚園は教育施設なので、『学校教育法施行規則』に則った運営を法律で義務付けられています。行われる教育の内容も『幼稚園教育要領』に従って指導計画を作成することになっています。小中高の学校と基本的には同じ運営方法なのです。無論、一週間に何時間の教育をするのかも定められていますので、授業時間を現場の判断で長くしたり短くしたりは出来ない仕組みです。他方、保育園では『保育所保育指針』に 保育の基準が示されています。この指針の大前提は「保育に欠ける乳幼児を保育する児童福祉施設」として機能することです。ですから、保育する対象のニーズに応える義務があるのです。その保育の内容も6ヶ月の乳児から6歳の幼児まで、それぞれの年齢に応じた発達段階を踏まえて定められています。指針は時間的なカリキュラムを細かく定めるのではなく、保育士が子供と関わる上での内容と配慮事項が決められているだけですから、実際の指導計画は現場の保育士が実状に応じて組み立てることができます。こうした点が保育園を保護者のニーズに反応しやすくしているのです。
少子化の原因として、子育ての煩わしさ、育てにくさを上げる夫婦も多いといわれますが、遅蒔きながら、国も子育て支援の立場から、幼稚園と保育園の垣根を取り払い、保育と幼児教育の両立を目指す動きを始めているところだとおもいます。ただ、所管官庁同士の既得権争いや、補助金の問題、職員の待遇面や労働条件など、詰めなければならない問題は多いために、市町村によって改革の速度が随分違っているようです。急速に進んでいる市町村合併によって、幼保一体の施設が増えてくるのは確かです。
こんな風に子育て支援を進めるのなら、国に考えて欲しいことがあります。それは義務教育との絡みですが、3歳児から義務教育を始めてみませんかという提案です。要するに保育料は3歳児から無料にして、給食費や雑費のみ徴集する方式に変える方が、少子化対策としては有効なのではないかと思うのです。ご存知のように現在の義務教育期間は12年です。3歳から始めると小学校で義務教育期間は終わることになります。あとは国民の選択でしょう。税金が増やしてでも中学の義務教育を辞めないか、ある程度の補助金を出す条件で中学の有料化に踏み切るかということです。個人的には有料化を薦めますが。
一見、無茶な意見のように思われるかも知れませんが、高校の教師から見ると、義務教育下の中学では、3年間一度も学校に登校していない生徒でも卒業させていますし、小学3年生程度の学力の生徒でも卒業させています。理由は義務教育だから、無理にでも3年間で卒業させるしかないからです。これだから、中学に留年は相当な理由が必要ですし、退学は当然のことですがありません。学力低下を問題にするなら、義務教育の制度を見直すべきだと思うのですが、この話題は後日に譲ります。
さて、保育園で3歳児から義務教育化する話以外にも、子育て支援としては、早朝や夜間の保育時間の延長や、土曜日曜などの休日の保育がある方が保護者のニーズに応えられると思います。無論、こうした基本外の利用は有料にせざる得ないですけど。究極の共働きの国である中国では、月曜に子供預けて、金曜の夜に子供を迎えに来る保育園が普通にあるそうです。預けられた子供は週に5日は保育園で合宿生活です。こんな極端な例は日本では受け入れにくいでしょうが、1日や2日の宿泊を含めた保育には潜在的なニーズがあると思います。現実に無許可の保育所では宿泊保育も珍しいことではないようです。
こんな風に、共働きを継続できる環境を整えた社会では、ある程度の少子化は歯止めが掛けられると思います。出産にはどうしても女性に負担が大きくかかり、社会復帰を難しくしているのは事実です。産前産後の出産休暇を6ヶ月間有休で取れる制度の確立などへの取り組みも政治的に進められる課題です。それより問題になるのは社会復帰後の子育てなのですから、この部分に注目した支援を広げていくことと、金銭的な負担を軽減していくことが、結局は少子化の歯止めになるのだと私は思っています。人口減少に歯止めを掛けられれば、税収の面でも、年金や健保の面でも、その見返りは将来に必ず還ってくるのですから、国力の維持という大局的な発想で少子化問題に取り組む姿勢が欲しいですね。
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