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2005年5月

2005年5月 6日 (金)

JRの社風に見る組織の硬直化について

GWは如何お過ごしでしょうか。

私は家でTVをつけたまま、ワイドショーを見るともなく見ていました。JR福知山線脱線事故の報道ばかりが俎上にあがっていたのですが、この事故やJRの会見などを見ていて思い出したことがあります。

JRの前身は国鉄でした。国鉄といえば、国労に代表される組合が強いことで有名なところでした。国鉄時代、管理者側と各組合執行部とはことごとく対立していました。酷い場合、現場管理者の命令は、いったん現場にいる組合幹部に伝えられ、その後に組合員に伝えられるような、不思議な世界が常態化していました。

40代以上の人には懐かしい鉄道スト。学生だった私は休校になるので楽しみでしが、 公共交通機関である鉄道が組合のスト権行使の対象になるのも、ある意味迷惑な話です。国鉄が分割民営化された目的のひとつも、労組潰し、ひいてはその背後にある社会党(当時)の弱体化であったのは、今では常識ですが、周りが納得してしまうほど、組合ありきで利用者への視点を持たない極端な部分が、国労に代表される労組にあったのは確かでした。

ちなみに、国労と同じぐらい影響力のあった日教組。教員組合のストは、始業時間から一時間目の授業が始まるまで。生徒が学校にいる間はスト権を行使することは普通はありませんでした。労働者の権利と教育を受ける権利を対比して、教育を受ける権利を優先させた訳ですが、これが普通の感覚だと思います。

JRが発足した際、国労をはじめとする労組を、徹底的に解体すべく、労組の幹部やアクテイブ組合員は、国鉄精算事業団に取り残して、各JRに入社させない露骨な組合潰しが行なわれました。入社した社員の組合作りにも妨害があったとも言われています。   

この時、頑固で職人気質のベテラン技能者社員も沢山切り捨ててしまいました。彼等は上司が大丈夫だと言っても、自分達が納得できない車輌の整備状態や、線路の状況などには、納得できるまで命令に応じない所があったそうです。ある意味、彼等が裏方として安全を支える機能を有していた訳ですが、これは逆に言えば車輌の新型化などの際にも反対が出るなど、営業側のニーズと対立する場合も度々あったと聞きます。ですから、彼等はJRに移行する際に邪魔にされたともいいます。

たまたま、私の父の親友が国鉄の技術社員で、民営の際に「あんな社員の採用方針では安全管理がちゃんとやれるか心配だ」と父にこぼしているのを聞いたことがあります。確かに民営化後、うっかりとも云える事故や事件が続発し、私も何となく納得した記憶がありました。

さて、こうした布石の上に、JRでは今の管理態勢が構築されているのです。ですから、一般の社員が直上の上司に意見具申やリコンメンドを行うことに憚りがある社風が出来てしまっているのではないか。あるいは、上の命令通りにやって、問題が発生した場合には、現場は上の命令通りにやっているだけで自分達には責任はないという硬直した感覚があるのかも知れません。極端な場合、正論をいっても、上司の取りようでは命令に服従しないと取られ、納得のいかない処分をされかねない訳です。こんな職場では何事もマニュアル通りにやり、自ら考える事を放棄する習慣が出来ていても不思議では   ない気がします。そう考えると、事故車輌に乗り合わせていても、救助活動に参加しない  運転士や、彼等に申告を受けても乗務ありきという判断しかしない当直係長などの行動   も納得できます。命令されれば救助に参加したのですから、これを常識を疑うと批判しても、実は彼等は全然違う常識に縛られていた訳です。非難されているボーリング大会も同じでしょう。要は上司自体も硬直していたのですから、これでは非常時に何にも出来ない組織だったのは明白です。下が上にボーリング大会の中止を申し出るなんてのは期待するだけ無駄で、そんな当たり前のことを上が言い出さない事の方が問題視されるべきなのかも知れません。今は組織の指揮官職の意識改革を急がねば、我々利用者は怖くて鉄道に乗れません。

ドイツ参謀本部の中興の祖、フォンゼークトが、こんな事を言っています。

「人間は4種類に大別できる」
 勤勉で頭のいい奴
 怠け者で頭のいい奴
 勤勉で頭の悪い奴
 怠け者で頭の悪い奴

参謀に適任なのは「勤勉で頭のいい奴」、なぜなら勝つ為の戦術を立案できるから。

前線指揮官に必要なのは「怠け者で頭のいい奴」、自分が生き残る為に的確な指揮をする。

兵士に適任なのが「怠け者で頭の悪い奴」、命令された事しかできないが、全ての障害を打ち倒す。

軍隊に必要のない人間が「勤勉で頭の悪い奴」、間違った命令でも延々と続けて、気がついた時は取り返しがつかないことをしでかしてしまう。

JR西日本には「勤勉で頭の良い奴」と「勤勉で頭の悪い奴」しかいない組織ということでしょう。これで社風といわれてもね。

日本の社会システム自体も、実際は「勤勉で頭の良い奴」と「勤勉で頭の悪い奴」しか求めていないのではありませんか?

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