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2007年5月11日 (金)

日米「軍事情報に関する一般保全協定」(GSOMIA)

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/p20070508k0000m010160000c.html

「政府秘密情報:漏えい防止策に新組織 来年4月発足へ

 政府は7日、秘密情報の漏えい防止策を強化するための新組織「カウンターインテリジェンス(CI)センター」(仮称)を来年4月に発足させる方針を固め た。CIセンターは、今後設ける情報管理の政府統一基準に沿い各省庁が秘密情報保護策を適切に講じているかを点検する。米政府は日本との軍事情報の共有拡 大で合意したことを受け情報管理強化を求めており、具体策を打ち出す必要があると判断した。

 安倍晋三首相は1月の施政方針演説で「内閣の情報機能の強化」を強調。これを踏まえ政府の「カウンターインテリジェンス(防諜)推進会議」(議長・的場順三官房副長官)は、8月にまとめる中間報告でCIセンターの新設を盛り込む。

 CIセンターは内閣情報調査室の一部署として発足。同推進会議がまとめる機密文書の管理方法や省庁外への持ち出しなどに関する政府の統一基準に基づき、各省庁に情報管理の状況報告を定期的に要請。基準から外れたケースが見つかれば、当該省庁に対応の是正などを迫る。

 秘密漏えいがあった場合の罰則については当面、現行の国家公務員法や自衛隊法などの規定を適用する見通し。

 日米両政府は1日の外務・防衛担当閣僚の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、軍事秘密保護に向けた「軍事情報に関する一般保全協定」(GSOMIA)を締結したため、秘密情報の共有が拡大されることになった。」(毎日新聞)
(関連記事A)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070502k0000m010170000c.html

(関連記事B)
http://www.defensenews.com/story.php?F=2458037&C=asiapac

「Japan and the United States are preparing to sign General Security of Military Information Agreements (GSOMIA), say sources in Tokyo.

The announcement is expected to be made later this month in Washington during the “two-plus-two” talks between Japanese Foreign Minister Taro Aso and U.S. Secretary of State Condoleezza Rice, and Japanese Defense Minister Fumio Kyuma and U.S. Secretary of Defense Robert Gates.

The United States has GSOMIA agreements with more than 60 counties. Japan’s decision to go forward with the agreement will allow the United States to share sensitive technical information on a variety of classified weapon systems with Tokyo. Previously, the sharing of sensitive data was on a case-by-case basis, and Tokyo was further encumbered by legislation that made transfers of sensitive information bureaucratic.」
(.Defensenews.com)

この記事の肝は二つあります。

ひとつは日米が軍事秘密保護に向けた「軍事情報に関する一般保全協定」(GSOMIA)を締結したということ。

もうひとつが「カウンターインテリジェンス(CI)センター」(仮称)を来年4月に発足させる方針を固めたということです。

「軍事情報に関する一般保全協定」は、英語では「General Security of Military Information Agreements」と表記されます。要するに同盟関係の2国間で秘密軍事情報を提供し合う際、第三国への漏洩を防ぐために結ぶ協定(共通のルール)の事です。一般社会でいえばISOに相当するものだと理解すればいいでしょう。

(GSOMIA)
http://www.mainichi-msn.co.jp/yougo/news/20070502ddm001030074000c.html

ここで問題なのは「軍事情報」とは何かの定義の方です。一般的な解釈では、軍事技術情報だけではなく、戦術データ、暗号情報、高度のシステム統合技術など有事の際の共同作戦に必要な情報の全てが協定の対象となるほか、秘密情報活動で得られた情報なども含まれるとされているので、防衛省のみならず、外務省や警察庁、公安調査庁なども、この協定の対象として入ることは確実になります。

ちょっと分かりにくいかも知れませんが、外務省は米国務省から外交情報の提供を受ける際、それが秘密情報活動の内容を含めば対象になるということです。何も特別な極秘情報ばかりではなく、例えば偵察衛星の写真とその解析情報などは軍事的活動(米国では国家偵察局という準軍事組織が衛星写真等の解析や管理をおこなってるので)と米国が見なしていれば日本は対応せざる得ないという事になります。警察庁や公安調査庁はCIAと定期的に情報の交換を行っています。これもまた秘密情報活動の一部が内容に含まれれば対象となる訳です。

こんな具合なので、各省がバラバラに部署を設けて対応することに関して、米国がそれを許さない態度があったと予想されます。(責任の所在を明確にするには総合的な管理と監査の機関が必要という考え方なのでしょう)それで新たに設けようというのが「カウンターインテリジェンス(CI)センター」(仮称)という訳です。この機関は、秘密情報の漏えい防止を目的にした組織で、その活動内容は今後設けられる対象情報の管理に関する政府統一基準に各省庁が秘密情報保護策を適切に講じているかを点検するのが役割です。

既に安倍首相は1月の施政方針演説で「内閣の情報機能の強化」を強調し、「カウンターインテリジェンス(防諜)推進会議」(議長・的場順三官房副長官)が設けられて、8月までに中間報告を行うことが決まっています。

この記事にあるように、「カウンターインテリジェンス(CI)センター」(仮称)が内閣情報調査室の一部署として発足することになると、警察庁が事実上関係各省庁の機密文書等の監察権を持つに等しいことになります。それ故、警察官僚と、他省庁との鍔迫り合いは相当激しいと仄聞しております。

警察官僚や外務官僚は、防衛官僚や自衛官が独自の軍事情報に基づきミサイル防衛等で国防の主導権を握ることに大変な危機感を抱いているというのは想像に難くありません。また自衛隊の地位向上や台頭に伴う暴走にも厳しい目を向けていこうとするのはある意味習性のような面もありますから、この情報管理に関して米国という錦の御旗の元で新たなる霞ヶ関の権力闘争は始まるのではないかと予想されます。

ただ、こうなると例のイージス艦情報の漏洩が、海上自衛官の中国人妻の不法滞在容疑から発覚したというのも、随分きな臭い話となる様な気がしないでもないです。元々自衛官に接近する中国人女性の情報を内定していた神奈川県警の公安が件の自衛官妻をターゲットにして、捜査を行い不法滞在の事実をつかんだ後、軍事機密の漏洩はなかったかと押収物を念入りに捜索したら、単に興味本位で集めていた情報の一部にイージス艦の教育資料を発見してただけなんじゃ。それをタイミングを見ながら公表し、自衛隊の秘密管理は稚拙だというキャンペーンを行ったのではないかと疑いたくなります。これに本気のふりして怒ったのが米大統領府と米国防総省だったのかも知れません。

いずれにせよ、本来の目的である秘密情報の保護という活動が、単なる省庁間の権力闘争にすり替わり、何ら機能を果たせずに脳死状態になるのだけは避けて欲しいモノです。今の日本で一番杜撰で脳天気に放置されてるのが情報の管理なんですから。

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