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2007年5月19日 (土)

イージス艦の機密情報流出疑惑もろもろ

海上自衛隊を巻き込んだイージス艦の機密情報流出疑惑。興味があって色々な記事を読んでいるのですが、先日ある新聞でこんなのを見付けました。

「海自は今回流出したイージス艦データの範囲や重要度については公表していない。だが、軍事ジャーナリストの”神浦元彰氏 ”は事態の深刻さをこう言うのだ。世界最高峰の防空能力を持つイージス艦のデータは通常レベルの情報とは段違いに秘匿性が高く、日米相互防衛援助協定に基づく『特別防衛秘密』にあたります。漏洩した場合は10年以下の懲役です(通常の罰則は5年以下の懲役)。今回の事件ではすでにイージス艦の性能を示す数値データなど、『イージスシステム』の中枢情報が含まれていたことが分かっている。巨費を投じた日本のミサイル防衛構想は丸裸になった恐れがあります」

あの~・・・どうせ聞くのなら野木恵一さんとか江畑謙介さんとか、小川和久さんに聞けませんかね(*_*)

なんで神浦元彰なんだ?

「世界最高峰の防空能力を持つイージス艦のデータは通常レベルの情報とは段違いに秘匿性が高く、日米相互防衛援助協定に基づく『特別防衛秘密』にあたります。」

これは確かにそうです。海自のイージスDDG『こんごう』級のひとつ前に建造されたDDG『はたかぜ』級のCICを私は見学したことがあります。あの当時最新鋭の設備でしたけども。(まあ素人が見ても判らないんですが)

しかし『こんごう』級の場合は、その艦長が大変親しい人にも関わらず、CICどころか、イージス区画すらスルーされてしまいました。もちろん「ドアの外から少しだけ見るか?」とも言われませんでした。後に市販されたDVDでCICが写されてた時にはガックリしたものです。(実際にCICへの立ち入りは防衛庁(当時)の許可が必要なほど部外秘度は強いのは確かです。)

「すでにイージス艦の性能を示す数値データなど、『イージスシステム』の中枢情報が含まれていたことが分かっている。巨費を投じた日本のミサイル防衛構想は丸裸になった恐れがあります」

”『イージスシステム』の中枢情報が含まれ ”という部分がもの凄く不明確なのは何故なんでしょうか。軍事評論家としては、この部分を読者に伝えて欲しいと思うんですがね。この辺が神浦元彰の限界なのか?

『イージスシステム』の肝のひとつは「同時多目標処理能力」です。何だか聞き慣れない言葉ですが、従来のSAM(対空ミサイル)の誘導方式は、発射から命中まで1基のイルミネーター(ミサイルを誘導する電波を出すアンテナ装置)が全て管制しなければならない方式でした。つまり1つの目標に対空ミサイルが命中するか、ミサイルの誘導を止めるまで、次のミサイルが発射できなかったのです。

そのために艦上にあるイルミネーターの数しか、目標に対する処理ができないという能力的な限界が存在しました。普通のDDGでイルミネーターの数は3基から4基が限界というのが、イージスシステムが登場するまでの常識だったのです。ですから、映画『男達のYAMATO』に出てきたような同時に数百機の攻撃機に襲撃されたら、これでは対処がなかなか出来ません。(まさに下手な鉄砲数うちゃ当たるです状態です)

イージス前夜、コンピューターの発展とプログラミングの工夫で、1基のイルミネーターで2機のSAMを誘導する(携帯電話でいうところのパケット方式みたいに)方式が実用化されていたという話しもありましたが、それでも誘導できるミサイルは倍にしかなりません。

これに対してイージスシステムはフェーズドアレイレーダーによって、多数の目標を探知・追尾・脅威度判定までを自動で行うため、脅威度が瞬時に判定されます。脅威度の高い目標に対してSAMが発射されると、フェーズドアレイレーダーの一部を利用した搬送波が、このミサイルを大体の位置まで誘導してくれます。イルミネーターによる誘導は目標に命中する最終段階のみ。つまり発射後一定距離まで飛翔させる間は射ちっ放しが可能なのです。このためイルミネーターの所要拘束時間は劇的に短縮され、同時に複数のミサイルを管制することが可能になったのです。

米海軍の場合ですが、イルミネーター(SPG-62)を4基装備するタイコンディロガ級では最大16目標に対処可能、3基を持つアーレイ・バーク級では12目標に対処可能というのが定説になっています。(実際には米海軍はハッキリと認めていない)これがイージスシステムの大きな特徴です。また年々システムのバージョンアップが図られていますので、この目標処理システムも向上している可能性は当然あります。しかし流出したのは今から10年ほど前のものなので、最新のモノではありません。

この搬送波の周波数や誘導するための処理を行うプログラミング、イルミネーターへ受け渡される際の搬送波の位相方式などが、この記事の言う『イージスシステム』の中枢情報がのひとつです。

幹部教育用の教育資料の中に、今私が書いたような話があると思いますが、その具体的な周波数とか方式に関するプログラムのソースまで含まれていたかどうか、私は怪しいなぁと思っています。

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