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2007年6月 6日 (水)

そこに広がる闇のお話

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070605i205.htm?from=rss

「滋賀県米原市のアユ養殖販売業者が相続税約14億8000万円を脱税したとされる事件で、相続税法違反容疑で逮捕された川森千恵子容疑者(69)らが、現金約12億円を一斗缶(18リットル缶)などに入れて隠し持っていたり、自身や親族名義の四百数十口座に分けて資産を蓄えたりしていたことが、大津地検の調べなどでわかった。また、口座の名義には家族や親族のほか、家族の旧姓なども使われ、計約17億6000万円が蓄えられていた。2004年4月に川森容疑者の夫が死亡した前後に、新たに家族の関係者の名義で開かれた口座もあったという。地検は、家族らの預貯金にすることで、相続財産ではないと装った可能性もあるとみている。」

記事にあるアユ養殖販売業者は滋賀県内でも大手の業者なんだそうですが、だからといって何十億も資産を残せるような美味しい商売でもないんです。この業者さんがこれだけの蓄財をしたのには、これから検察当局が手をつけようとしてるある利権が存在しているというもっぱらの噂話をご紹介したいと思います。

皆さんは『漁業補償』という言葉をご存じですか。漁業補償は、公的機関が行う場合は「『公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱』(閣議決定)等により規定されたものであり、当該基準要綱は土地収用法その他の法律により土地等を収用し、又は使用できる事業に必要な土地等の取得又は使用に伴う損失の補償基準の大綱を示したものである。」というような定義が存在します。

ネット上で公開されている三重県の場合を以下に書き出して見ます。

本県においては「三重県県土整備部公共事業の施行に伴う損失補償基準」(監第743号)等に基づく漁業補償を行っている。

 

1.補償の対象となる権利主体

①漁業権等とは(共同漁業権、区画漁業権、定置漁業権、入漁権、許可漁業)等をいう。

2.補償の種類(区分)

①漁業権等の消滅に係る補償(基準第20条)

 消滅させる漁業権、入漁権その他漁業に関する権利に対しては、当該権利を行使することによって得られる平年の純収益を資本還元した額を基準とし、当該権利に係る水産資源の将来性等を考慮して算定した額をもって補償するものとする。

②漁業権等の制限に係る補償(基準第27条)

 漁業権等の制限に対しては、当該権利が消滅するものとしてそれぞれそれらの規定により算定した額に当該権利の制限内容等を考慮して適正に定めた割合を乗じて得た額をもって補償するものとする。

③漁業権等の消滅又は制限により通常生ずる損失の補償

 ・漁業廃止補償(基準第50条)

 ・業業休止補償(基準第51条)

 ・漁業の経営規模縮小の補償(基準第52条)

④その他通常生ずる損失の補償

 ・養殖物補償(基準第56条)

⑤土地等の取得又は土地等に使用に伴うその他の措置

 ・離職者補償(基準第62条)

 以上のことがらが漁業補償の概要である。

 

噛み砕いて言えば、公共工事に伴い漁業権を侵害するような場合に金銭的な補償をすることを云う訳です。では、その補償額とはどんな物かを次に見てみたいと思います。

「諌早湾干拓事業 金子発言後の調整で85年、閉め切り面積3550ヘクタール、干陸面積1635ヘクタールに。88年春までに湾内12漁協が漁業補償243億5000万円、湾外11漁協が補償12億1000万円、3県漁連は漁業振興資金15億円、佐賀県大浦漁協が補償8億6000万円で決着。89年11月に着工。97年4月、堤防が閉め切られた」(01/04/13毎日新聞ニュースより)

諫早湾干拓事業に伴う漁業補償の記事です。諫早湾内で漁業権を持っていた漁民達に対して『漁業廃止補償』として243億5000万円を支払ったとあります。受取窓口は12の漁業協同組合です。具体的には以下のような分配になっています。

(漁協名)  (配分額) *単位(円)

小長井町    1,525.735,000

高来町湯江   4,075,510,000

小江      1,486,918,000

深海      3,618,275,000

諫早市長田   2,287,161,000

諫早        858,573,000

小野      2,417,265,000

森山町     1,820,197,000

吾妻町     3,634,101,000

瑞穂      1,300,626,000

国見町神代     412,699,000

国見町土黒     912,940,000

合計     24,350,000,000

私の調べた範囲では上記の漁協の組合員数が公開されていませんので、具体的に一人あたりの額は不明ですが、僅かに小長井町漁協配分額をに関して、1組合員あたりに単純平均で1250万6千円という記述を見つけました。

諫早湾内の場合は漁業という生業を失う補償ですから、安くないとはいえ必要な措置なのかも知れないと思いますが、記事にあるように湾外で漁をしていた漁民への補償というのも存在しています。これは工事に伴う水の濁りや土砂による埋め立てなどで漁場を荒らしたことへの償いという意味合いです。また3県漁連には漁業振興資金15億円という費用も支払われています。これは漁民への運転資金等の貸し付け金の原資となるように配慮した資金なのですが、当然ながら漁業を営む個人や漁業組合等が対象になるものです。

こんな風に海に面した公共工事では必ずと言っていいほど漁業補償が行われているのが現状です。そんな中で巨額な補償金は動いている事は案外知られていない気がします。この補償金という利権は農林水産省が持っている予算ともいえる訳ですから、今捜査が進んでいる緑資源機構と同じように、そこには談合を始め深い闇が広がっているようです。

そんな一例を次にお話ししたいと思います。

関西空港の2期工事はおおむね完成を見て最後の仕上げに入っています。その2期工事の用地造成予算は当初の額で1兆1千億円だったのをご存じでしたでしょうか。滑走路とターミナルビル等の設備費の方は4200億円でした。つまり造成費はその約3倍を必要としたという計算になります。(後に厳しい財政事情から造成費は一兆円に圧縮された)これは中部国際空港の当初予算が総額で7680億円と見積もられていたことを考えても、条件等の違いはあるにしても予算総額の必要な部分が、かなり不透明という指摘は以前から出ています。

*中部国際空港建設に際して支払われた漁業補償費の総額352億8000万円です。

関西空港1期目工事の際に支払われた漁業補償費は何と612億円という前例のない額でした。その内訳は大阪250億円、兵庫323億円、和歌山39億円です。支払先は各漁連。その後の分配は漁連が各組合に行い、組合が組合員にという構造です。しかもこれ以外に漁業振興基金というのを設けて、そちらへも原資として建設費の一部が流れ込んでいます。今回の2期目工事は大阪漁連に対して200億円が補償費として支払われました。しかも当初大阪漁連側は278億円を要求していたのですから減額できたと空港側は胸を張ってる状態です。しかし、今回も補償費とは別に漁連の振興基金に30億円の増資が行われましたので、裏では大阪漁連側の思惑に近い金銭が動いたのは確かなようです。と

(関西空港のあゆみ)

http://www.kar.or.jp/history/ayumi.pdf#search='%E9%96%A2%E7%A9%BA%E3%81%AE%E6%BC%81%E6%A5%AD%E8%A3%9C%E5%84%9F%E8%B2%BB'

こうした補償費は何も公共工事ばかりではありません。例えば1991年に黒部川に関西電力の所有する「出し平ダム」から、堆積した砂を川に向けて排砂した際に、46万立米のタール状ヘドロが富山湾に流れ込んで問題になり漁業補償費を支払うことになった額は4億8千万円でした。地区によりまちまちですが平均すると補償額は一人の組合員に対して400万円から800万円ほどだったと言われています。しかもこれ以外に関西電力は

富山県漁連に以後毎年振興金のような形で迷惑料を支払う代わりに、此処の組合員からは委任状を取り付けるという条件で年間3億円程度を今も支出しているのだそうです。

(一部は1993年3月17日・朝日新聞富山版)

関西電力に関しては福井県や京都府の日本海側での原子力発電所周辺でも関連漁連に似たようなお金を支出してるのですが、こうした資金が個人の組合員に分配されているケースもあれば、漁連や漁協が管理して運営資金や貸し付けにに当てているケースもあって、闇利権が広がってる訳です。

これ以外でも河川などで工事をする際にも漁業補償費を支払うのは常識になっていて、河川改修工事などでは、巨額のお金が動いています。

更に問題だと指摘されているのが、漁業権を有して漁協の組合員となっているのですが、既に漁船はなく出漁もしていない人達までが、この利権目当てに組合費を払っているという実態も存在し、関西空港の造成では大阪らしく、暴力団や各種団体等もこれに群がって様々なトラブルが囁かれ続けています。つまり補償費で暮らしていける人が世の中にはいるということです。

さて、滋賀県米原市のアユ養殖販売業者が何故こんな巨額な蓄財が出来たという答えも、漁業補償費にあります。この業者は付近の河川や琵琶湖の漁業権を持っている元々は漁師でもあった人物。これまでの様々な漁業補償費の蓄財が脱税の背景にあったとしたら、漁業補償費っていったいなんだろうと考え込みたくなります。

*漁業権を巡る有名なお話が以下のアドレスで。

http://www005.upp.so-net.ne.jp/boso/herusu.htm

http://www005.upp.so-net.ne.jp/boso/disney01.htm


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