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2007年7月27日 (金)

世界は力学で動いている

技術の移転というのは何も軍事の世界に限らずとも、簡単に事が運ばないものです。何故なら、その技術を移転させたことで、相手が技術の一部を盗んだり、更に改良を加えてしまう可能性があるからです。

特に軍事分野の技術に限って云えば、製品としての兵器は売るとしても、コアとなる先端技術に関しては、いわゆるブラックボックス化されて提供され、その部分を直接知ることは出来ない契約が結ばれます。これは米軍独自開発のノウハウを流出しないという事も、国家の安全保障上(その他の追従を許さない先端技術が生み出す優位性なくして、国家の威信は保てないから)大切な方針だと考えるからですし、アメリカの連邦議会は元々からして、同盟国には自国の最新鋭兵器より一世代前の兵器を持たせていたい考えが根強いのですから。

では、そんな国から最新鋭の兵器を買うにはどうしたらよいのでしょうか。

ひとつの方法は、アメリカが開発している兵器と同等かそれ以上の性能を有する兵器を開発する計画と、技術的な蓄積、そして人員と予算を有して、実際に開発を始めることです。

記事にもある米軍の最新鋭戦闘機「F22Aラプター」の場合だと、これに対抗できる戦闘機を日本が独自で開発し、完成できると知ったら、アメリカ議会はこれに反発して、共同開発の提案をごり押しするでしょう。アメリカ以上の性能を有する戦闘機を日本が保有すると云うことは、それだけでアメリカの太平洋における制空権が危険になるということですから。

実際に日本は、F2戦闘機を独自に開発しようとして、アメリカの強力な外交圧力から共同開発を選択せざる得ませんでした。その理由のひとつが1987年4月に来日した米国防総省の調査チームが目の当たりにした日本の先端技術でした。その一部はアメリカには開発不能なもので、日本が航空機方面でこうした技術を独占されるのは脅威になると判断したのか、外交ルートなどを通して、戦闘機開発の対費用効果の問題や、米軍機の改良を提案するなど揺さぶりかを相当掛けてきたと云われています。

どうして日本が妥協したかと云えば、開発費用に関してアメリカは5千億円から8千億円の間は必要だろうと説いて回ったのに対して、実際に日本側が予算当局に説明しようとした開発費用は1650億円だったからだという話があります。

実際に共同開発が始まってみて、当初の見積もり予算では足りず、最終的には倍の金額が必要となったのですが、それでもF2は多くの欠陥を抱えながら、その排除をしないまま開発は終了してしまいました。これは日本側の政治的・官僚的な都合で、欠陥を排除することが出来なかったのですが、それを承知の上で正式採用されてしまいました。ある意味欠陥を知りつつ、運用面で工夫して任務につかせているのですが、当然ながら当初意図した能力はありません。もしF2が計画通りの性能を備えていれば、今回のFX騒動も、その改修機で対応するなど出来たのかもしれません。

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実はF2の性能上の欠陥を改修し、設計構想時の能力を付与することに成功していれば、日本の航空機産業と、防衛省にはかなりの技術的な経験が蓄積できたはずです。その経験を元にしてF3の開発計画を持ち、この機がステルス性能や日本独自の先端技術による新能力を持ち得るとアメリカが知っていたら、アメリカ議会は何があろうと、日本にだけはF22Aラプターを売ろうしたでしょう。

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イージス艦の機密漏洩が云々というのは、マスコミが作り上げた幻想で、それにアメリカ議会も乗っかっているだけに過ぎません。技術の移転は、それに見合うだけの理由があってこそ可能という、国際政治の力学を忠実に守っているだけなんです。

それを理解していないのは、日本の勝手な都合というものです。

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