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2007年10月10日 (水)

バランス感覚を持とう

http://www.asahi.com/politics/update/1002/TKY200710020155.html

「舛添厚生労働相は2日の閣議後の記者会見で、年金保険料の横領問題で自らが「市町村は信用ならない」と発言し、一部自治体の抗議を受けたことに関して「(保険料は)1円たりとも横領してはいけない。私に(批判を)言うより、不正を働いた市町村に言いなさい。『小人のざれ言』に付き合う暇があったら、もっと大事なことをやらなくてはいけない」と反論した。」

この話、舛添厚労相氏が9月29日に「銀行は信用できるが、社会保険庁は信用ならない。市町村はもっと信用ならない」などと語った発言に抗議が来たことに対する感想を記者に聞かれて出た言葉です。まあ、マスコミがミスリードをさせるのは常套手段なので、この部分の発言だけを捉えてどうこう言うのも軽率な気がします。一部の自治体の抗議といっても、鳥取県倉吉市の長谷川稔市長や東京都武蔵野市の邑上守正市長らの名前が上がってるだけで、その内容も「不用意な発言が年金行政全体の不信感をさらに招きかねないとか、なんていうものです。

厚労相のいう「銀行は信用できるが、社会保険庁は信用ならない。市町村はもっと信用ならない」をもう少し細かく見てみると、こういうことになると思います。

「銀行は信用できる」:銀行にお金を預けている人が通帳を紛失したとしても、その記録自体は銀行が管理しているので再発行に応じて貰えます。しかもATMかネットで残高なども常時確認できます。もしも預けた金額と残高が合わない場合、即座に銀行へ相談することも出来ます。しかし社保庁の場合、年金を納めた証明を収めた側がしないといけない上に、預かった社保庁の記録自体が信用できないことが明らかになっています。要するに銀行の場合は顧客サービスが信用なのですから、それが前提に仕組みが出来上がっているのですが、社保庁は年金はサービスではなく単なる国の業務のひとつ。其処へ預け入れた者に対する信用保証は国家事業という謳い文句だけで、社保庁自体には元々サービスという観念自体が存在しなかったということですから、それは「銀行が信用できる」といわれても仕方がありません。

「社会保険庁は信用ならない」:9月13日に社会保険庁がまとめた資料によれば、厚生年金と国民年金の保険料のうち年金給付以外に使われた「流用額」の詳細は1952年~2007年度の累計で6兆7878億円に上っていることが判明しています。流用の内訳は、厚生年金が5兆4281億円、国民年金は61年度以降で1兆3597億円。バブル期の80年代にはグリーンピアなどの建設に年間1000億円以上が投入されたこともあったとされています。これらの流用は厚労省と政治家、そして建設業界の癒着や利権で年金が食い物にされた証なのですが、例えば銀行がこんなことをやることは法律上も認められていませんし、もしも預貯金の不正流用が明るみに出れば銀行の存亡に関わる事件として取り上げられます。しかも現経営陣は批判にさらされて解任もやむなしとなるのが常です。しかしこうした年金流用の責任を恐らく社保庁も厚労省でも、誰も取らないですませるでしょう。実際、舛添厚労相にしても、年金収用の窓口における年金の横領に関して五月蠅く云っていますが、社保庁や厚労省の責任論やその追及となると、あまり話も聞かないのではないですか。こうしたことのひとつをとっても社保庁は信用できないですし、もっと言えば厚労省自体が信用できないと言わざる得ないです。

http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt210/20070913AS3S1302113092007.html

「市町村はもっと信用ならない」:国民年金保険料などの横領問題で、社会保険庁は全国の市区町村のうち33都道府県の90自治体で101件の横領があり、被害額は約2億4300万円に上るとの再調査結果を発表しています。社保庁職員分を含めた年金横領の合計は計153件、約4億1000万円です。しかも社保庁自身が、これは懲戒記録など公的資料に基づいての数字で、それ以外を含めるとあくまで「氷山の一角にすぎない」と指摘しているのですから、実際にはどれくらいの横領があったのかは藪の中なのです。しかも、市区町村職員の横領が判明した101件のうち、すでに告発されたのは17件のみ。残り68 件が「告発なし」。16件が「不明」だったのですから、こんな事で信用できるのかと思います。

http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt210/20070921AS1C2100921092007.html

では、「市町村はもっと信用ならない」という発言に一部の自治体がどうして噛みついたのか。先程、全国の市区町村のうち33都道府県の90自治体で101件の横領があったと書きましたが、これ以外の自治体では横領事件は年金に関しては確認されなかったという理屈になります。故にうちは関係ないのにどうして同じように括られて「信用ならない」というレッテルを貼られなければならないのか。恐らくそういう怒りから来ているのだと思います。

要するに一部の悪例があるからといって、それで全体もそうなのだというような決めつけを軽々に公人(大臣)が行うのは、その立場の重みからして、あらぬ疑念を招きかねないというような話でしょう。「職員の士気を著しく損なう」なんて言葉も出ています。それならば、各自治体は職員の不正の数々なり、処分なりを公開して、その主張の正当性を社会に示すのが先でしょう。少なくとも鳥取県倉吉市の長谷川稔市長や東京都武蔵野市の邑上守正市長は、それを行った上で抗議するのなら、自らの意見の正しさを証明できたはずです。

いずれにしても、多数の横領が有ったからといって、全体がそうなのだという決めつけはおかしくないのかという感覚が当然であって、抗議の声が挙がるのもまともなことだと皆さんは思われますか?

もしそう思われるなら、沖縄で集団自決に軍が関与したという議論も、これと同じ感覚で眺めればどうでしょう。軍部隊による多数の集団自決事件は存在するが、それが軍トップ(第32軍)からの命令で行われたとするのかという視点を持たないといけません。軍の命令によるんだとういう沖縄県知事などの主張が正しいとするならば、その命令自体を示されないと私は鵜呑みにすることが出来ない気分です。

ちゃんとしたバランス感覚が存在するのに、どうして歴史問題に関しては極端な議論でごり押しするのか、私には全く理解できません。


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