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2008年8月

2008年8月23日 (土)

誰が海賊を退治してくれるの?

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080823-OYT1T00008.htm?from=rss&ref

「政府は22日、海賊行為など外国籍船の公海上での不法な行為を取り締まる根拠となる国内法を整備する方針を決めた。早ければ来年の通常国会に刑法改正案か新法を提出する。国連海洋法条約は各国に公海上の海賊行為の取り締まりを認めており、政府は海上交通路(シーレーン)の安全確保などにつなげたい考えだ。」

いゃーやっと政府もまともなことを・・・と早とちりしたらいけませんよ。記事にはこうあります。

法整備にあたっては処罰対象となる不法行為を、
〈1〉私有船や航空機の乗組員や旅客が、公海上の他の船や航空機などに対して行う不法な暴力行為、抑留または略奪行為
〈2〉海賊船や海賊機と知って運航に自発的に参加する行為
〈3〉これらを扇動する行為
―などと定義し、罰則などを定める。

これらの法が施行され、具体的に、それを執行するのは海上保安庁だというのが前提になっています。元々海保が求めてきた法改正なんですから。記事にはこういう指摘がありました。

『国連海洋法条約は締約国に公海上の海賊取り締まりを認める一方、具体的な方法や司法手続きは各国の国内法に委ねている。しかし、日本では国内法が未整備のため、海上保安庁などが公海上で取り締まり、日本の裁判にかけることができるのは、日本籍船での犯罪行為や外国船で日本人が被害者になった事件など、日本の刑法が適用されるケースに限られている。日本の貿易を支える外航海運は多くが「便宜置籍船」と呼ばれる外国籍船だ。船員も外国人が多いため、こうした船が公海上で海賊に襲われても、現状では対応できない。』

海上保安庁はこれではマラッカ海峡などのアジアの海で各国と協力して海賊退治ができないと、長年法律の改正を求めてきたんです。無論ですが、海上保安庁としては、その為の予算や巡視船の整備、人員の増員などを要求して、その存在意義をアピールする狙いがあるのも事実です。

世界中の海軍艦艇=軍艦は、公海上で海賊の取締を行うことが国際法上も、慣習上も認められています。つまり、公海上に海上自衛隊の護衛艦や海上保安庁の巡視船がいれば、余所の国の商船は海賊が出ても安心と考えます。しかし現実には、海保は公海上で海賊行為を目撃しても日本船でないので取り締まれないと言い訳をし、海自は武器使用が出来ないので艦長が懲罰覚悟で護衛艦を海賊船に衝突させて、乗員が角材片手に海賊を殴り倒す覚悟でも無い限りは、やはり見て見ぬ振りするしかないのです。

記事はこう締めくくります。

『政府は今回の法整備は「一義的には海保の活用を念頭にしたもの」(政府筋)としている。自衛隊がインド洋などで活動する場合、認められている武器の使用は正当防衛や緊急避難時などに限られている。海賊への対処には、武器使用基準の緩和を盛り込んだ法整備が別に必要となり、その際、現行の憲法解釈が議論になる可能性もあると見られるためだ。』

洋上補給能力などの能力で長期行動に限界のある海上保安庁が遠くインド洋まで海賊退治に行くというのは、本来なら非常識な話です。海保は日本の警察権の及ぶ領海や経済水域内、あるいは海自が出ていくことで紛争の火種になるようなアジアでの海のもめ事に専念して貰うのが筋という気がしてなりません。

シーレーンの確保のために組織されている海自ですから、海賊退治もそのシーレーン確保の大切な任務として、本来日本政府は位置づけるべきところです。しかし、ここでも法整備の困難さ、憲法解釈を巡る不毛な議論の面倒臭ささ。政権の維持などから敢えて避けて通る気の様子。絶好の機会に、海軍力とは何か?本来の海軍の任務とは何か?を真正面から議論して貰いたい(議論できる議員がいるのならのお話しですけど)もんです。

でも子供の国の議会では、そんな高邁な意見の戦いを期待する方が間違いかも。

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