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2009年1月 5日 (月)

外交は駆け引き

http://mainichi.jp/select/world/news/20090105k0000e030025000c.html

「東シナ海のガス田開発問題で、日中両政府が昨年6月に共同開発の交渉で折り合えず、継続協議となっていた「樫(中国名・天外天)」について、中国がその後も単独で開発を続けていることが分かった。日本側は協議継続中の一方的な開発は合意に反しているとして中国側に抗議した。日本が主張する境界線の日中中間線付近にあるガス田のうち、両国は昨年6月、「白樺(同・春暁)」のほか「翌檜(同・龍井)」の南側の海域での共同開発で合意した。「樫(中国名・天外天)」と「楠(同・断橋)」は、中国側が単独開発を主張したため協議は継続となった。中国外務省の秦剛副報道局長は4日、東シナ海の天然ガス田「樫」(中国名・天外天)の開発について「争いがない中国の管轄海域に位置しており、開発作業を行うのは中国固有の主権の行使だ」とのコメントを発表した。秦副局長は「中日双方が共同開発のために継続協議することで原則合意した『その他の海域』には争いのない中国側海域は含まれず、その海域の石油・天然ガス田についても共同開発の問題は存在しない」と主張した。」

まず基本的に認識しておかないといけないのは、中国は自国の経済成長によって、世界第二位の経済大国となるため、資源確保に奔走しているという点です。もちろん国家戦略として資源の確保と開発は行われています。2007年10月21日の第17回中国共産党全国大会において胡錦濤国家主席は、冒頭で胡政権が抱える“困難と課題”を列挙し、その第1番目が「資源・環境・格差」であると言っているほどの最重要課題なのです。賢明な方はお気付きと思いますが「環境」と「格差」はリップサービスです。

では、どうしてそれほど資源確保に奔走しているのか?

かって資源大国と呼ばれてきた中国ですが、資源の自給率低下が止まりません。一昨年度の時点で、すでに鉄の42%、銅が20%、ニッケルが30%まで落ちこんでしまっています。その原因の大部分は経済成長に伴う国内での需要の増大です。このままの成長率(一応公式には年間12%)を維持すれば、いずれは資源は枯渇してしまうという想定があるものと思われます。

現政権の温家宝首相は、中国地質大学(旧・北京地質学院)の出身です。彼のキャリアを見ると、甘粛省では地質鉱山部副部長などを歴任したことが判ります。資源開発のプロが政権内にいることを考えてみても、ことの重要性をどう考えているかがわかるでしょう。

国家戦略の構築において中国は日本よりも優れていますし、その実行力にぶれはありません。

例えば、2006年7月に開通した青蔵鉄道は、青海‐ラサ間1145キロメートルを走りますが、高地故の難工事を約3200億円かけて建設した理由は、チベット自治区とその周辺のチベット族居住地域の地下に眠る銅、鉛、亜鉛、鉄鉱石の鉱床を開発し輸送する動脈とするためでした。

また、中国は、ODAの一環として、自国の安い労働力をアフリカをはじめとする途上国で資源を確保するために使っています。囚人なども含む何千人もの労働者が現地に送り込まれては、過酷な労働条件のもとで働かされ、死傷者がでても平気です。アフリカの資源地帯では、こうした中国人労働者の簡素な村が生まれては消えています。 受け入れ国は、こうした人物金を無償で提供して資源の開発を行ってくれる中国の援助に感謝すらされています。でも視点を変えれば、鉱物資源の開発技術を現地に教えてこないのですから、技術移転無き開発であり、掘り出された鉱物資源の量が予め契約にうたわれている量なのかも、当事者国が確かめようのない話なのです。

それほど周到で狡猾な中国を相手にして、単なる外交交渉で東シナ海ガス田の開発が止まるはずもないのは当然のことです。

簡単な例え話ですが、大きな川を挟んで中国と日本が対峙しているとしましょう。中国は川に橋を架けて、日中の輸出入に利用していました。しかし、日本側からその橋を使って中国に物を輸出するには、橋の使用料を支払った上に、関税も支払わねばなりません。日本は橋の使用料の値下げを交渉しますが、なかなかそれに中国が応じてくれません。

こういう場合、日本が交渉を継続しながら、日本から中国への橋の建設を始めることが大事です。日本の所有する橋が完成すれば、橋の使用料は中国側にも科せられます。もちろん中国が橋の建設に反対して中国側への架設を拒否するかも知れません。その時は日本も中国の橋の使用停止を対抗上打ち出すことになります。そうなれば両国の通商は停止してお互いに痛みを分かち合わないといけなくなります。

つまり対抗する手段を持たない限り、交渉は前向きには進まないと言うことです。

そう考えると、日本も同じ海域の日本が従来主張している領海内近くでガス田の開発の本腰を入れることが、交渉の解決する手段となると言うことが理解出来ると思います。また、今中国が所有しているガス田は、将来の領海紛争で中国の領土である道標となるのは予測出来る話です。囲碁と同じで、相手が一目置いたら、こちらも一目置かない限りは相手の独壇場なのです。

ただし、開発コストなどを計算したら、この海底ガス田や石油は採算に合わないでしょう。それでもやらざる得ないのですから、そこには日本の国家戦略が必要ですし、ゲームが終了するまではその継続が求められます。そういう政治姿勢が中国の譲歩を生み出すのですが、今の日本にこれを是として応援するマスコミはないでしょう。国民はそうしたマスコミの報道を鵜呑みにして、財政の無駄使いと思い込まされるかも知れません。中国はそうした世論操作に長けています。日本人がしまったと後悔した頃には、事態はどうしようも無いところに来ているでしょう。それを無理して修正するには戦争という非常手段を取るしか無くなります。

国益を守るというのは、50年、100年単位の視点が必要です。そういう戦略眼を何時になった日本は政治の世界で持つことが出来るのでしょうか。次の選挙ではそういう視点で投票をお願いしたいものです。

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