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2010年1月27日 (水)

リアルに冷静に

「鳩山首相は27日朝、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で、政府・与党内に現行計画の実現は困難になったとの見方が出ていることについて、「いろいろな 考え方があるのは、今の過程ではあり得る話だが、ゼロベースで議論している最中だ。我々の検討状況を冷静に見守っていただきたい」と述べ、白紙で議論する 考えを改めて強調した。移設候補地として鹿児島県の徳之島が浮上しているとの一部報道については、「いろいろなものが検討される可能性がある。そのことを 否定するつもりはないが、すべてゼロベースでやっているわけだから、どこが入って、どこが入っていないという議論ではない」と述べるにとどめた。一方、政 府高官は同日夜、記者団に「今のままでは(現行計画の)辺野古移設なんて絶対に無理だ。法的権限から言えば、国が無理やりやろうと思えばできるわけだが、 それでは成田闘争と同じになる」と語った。」

「普天間移設先に徳之島浮上」という文字を見たら、徳之島の人は驚くかも知れませんが、町長は喜ぶかも知れませんね。何せ米軍基地を受け入れたら防衛省の予算や国の予算から交付金が出て来るのですから財政的には助かりますので。

ついでに書いておきますと、徳之島空港は海岸沿いに設けられています。離島にしては立派なことに2千メートル級の滑走路を備えています。普天間基 地の滑走路は2,700mですから、1日に定期便が現行で2便しかない徳之島空港を滑走路等を含めて増設したら移転は可能です。米軍基地は空港より海側を 埋め立てて用地を確保する事も可能ですし、新たな3000メートルの滑走路を沖合を埋め立てて設け、騒音と安全を確保する工事も辺野古沖の予算措置の転用 で可能ではないかと思います。現在の滑走は基地施設や駐機場へ転用可能でしょう。

しかし実際に普天間基地の代替地に徳之島が選ばれる可能性は低いと云わざる得ません。

どうしてでしょうか。

まずは以下の文章を一読してください。

沖縄県の予算は、内閣府沖縄担当部局の予算と一体であり、それだけに日本政府の沖縄振興予算が減額されることは、沖縄県の予算も規模が小さくなり、県民生活に夢が持てないものになるのです。

 しかし、「100年に一度」といわれる経済危機の中において、日本政府は21年度予算を、緊縮・財政再建予算から、景気回復最優先の予算に転換 し、88兆円の大規模な予算を編成いたしました。つまり、小泉内閣のときのような財政再建重視の“緊縮予算”の政策から、麻生内閣は景気回復最優先の“財 政投資型”政策に方針を転換したのであります。

 それにもかかわらず、なぜ、内閣府沖縄担当部局の沖縄振興予算はこれだけ減額予算になったのか、日本政府はまったく説明責任を果たしておりませ ん。沖縄県の米軍基地の過重な負担が減少したわけでもなく、失業率や県民所得が大幅に改善したわけでもありません。沖縄県の現状は、何ひとつ変わっていな いにもかかわらず、沖縄振興予算が減額されたことには、その根拠や意味を探すことそのものが不可能であります。

 私どもは、この日本政府の沖縄県を軽視した政策の大きな間違いを指摘するという観点においても、沖縄振興予算と一体である沖縄県の予算に反対することで、日本政府に対して、沖縄政策の見直しを訴えることになると考えております。

 昨年12月、麻生内閣が21年度予算編成を行った際、沖縄振興予算が極端に減額され、予算規模・内容ともに厳しいものになるであろうということ を、仲井真知事は十分に認識していたはずであります。しかしながら、仲井真知事は沖縄振興予算の新たな増額や内容の充実を、政府と交渉することなく、今日 に至ってしまいました。仲井真知事が知事選挙の際、自らが有権者に訴えてきた「政府与党との強いパイプ」という証は、この予算によって、県民に示すべきで はないでしょうか。そのことができなかったということは、まさに仲井真知事の選挙公約違反であるということも指摘をするものであります。
<「平成 21 年度沖縄県一般会計予算案」 に対する反対討論」>


要約すると日本政府の沖縄振興予算が国の財政難を理由に極端に削減された事を非難し、その措置に対して無為無策である仲井真知事を批判する内容であるのが判りますね。この文章を踏まえて下の図表を見てください。

写真
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1972年から2009年までの37年間に沖縄へ投じられた振興予算は総額で約9兆円。年平均ベースだと約2400億円が毎年沖縄に交付されてき た計算になります。またこれとは別に防衛省予算の中から基地対策費等の予算が支出されています。その振興予算が年々削減されてきているのは上のグラフを見 たら判ると思います。

少し前になりますが2007度の沖縄県予算の内訳を見てみると、歳入総額5960億78百万円でしたが、その中身は、

*県収入合計:1941億万円(総収入に占める割合32.6%)
*国等からの交付合計:3402億円(総収入に占める割合57.1%)
*県債:619億円(総収入に占める割合10.4%)

となっています。沖縄県(人口1,387,932人)の収入よりも国からの交付金が遙かに上回っているのがよく判ると思います。この構造は実のところ東京都以外では当たり前といってもよい構図なのです。一例として島根県(人口719,705人)の予算内訳をご紹介します。

*県収入合計:1930億円(総収入に占める割合36.8%)
*国等からの交付合計:3331億円(総収入に占める割合45.8%)
*県債:427億円(総収入に占める割合17.4%)

沖縄県は島根県よりも668,227人も人口では多いのに、県収入はほぼ同じです。いかに貧乏な県かというのがよく判りますね。しかも県の借金で ある地方債(借入金含)累積残高は、約9422億81百万円と1兆円に届きそうな莫大な額になっています。どうして此処まで気前よく借金をしてしまうの か。その理由は読み進めて頂ければ明らかになると思います。

つまり、「沖縄県」という自治体を一人の人間に例えると、働いて得る年収は14万1400円。これでは生活できないので、毎年4万5100円の金 を借りている。借金の返済額は年額5万5400円。借金の残高は利子も含めて68万6700円になる。仕方がないので親(国)から24万7900円の援助 を毎年してもらっていると言うことになります。

これを仮に鳩山方式と呼びましょう。(-^艸^-)

親の方も年々生活が厳しくなり仕送りを減らそうとしてきてるので、生活は益々苦しくなるばかり。それでも援助を止めないのは、米軍基地という厄介 な親類を預かって貰っているから。これは他の援助を受けている兄弟(他の地方自治体)が仕方がないと特別扱いを黙認している理由です。何せそんな厄介な親 類には我が家へ来て欲しくないのですから。

つまり、沖縄県は国からの交付金・支出金より県税等の収入が少なく、財政の自立度が大変に低い自治体だと言えます。小泉改革の時代、国からの補助 金が減らされていく中でもこの傾向は変わらないで来たのは、沖縄県自体は、米軍基地を引き受けているという責任には応分の援助が国よりなされるという意識があったからに他なりません。

普天間基地の移設もそうですが、2007年からの10年間の時限立法として「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法(通称:米軍再編交付 金)」という制度があるのを御存知ですか。新しく再編される米軍基地を受け入れ、協力することを表明した地方自治体に交付されることになっている交付金 で、(1)受け入れ表明、(2)環境影響評価に着手、(3)施設整備に着手、(4)再編の実施、と受け入れの進み具合に応じて金額が増える仕組みとなって います。その総額は10年間で1000億円程度と見込まれています。結局沖縄経済は景気対策費やこうした基地対策費で箱物を作り、それで経済を回す構造し か雇用を支える産業がないような自治体として本土返還後に育てられてきてしまったのです。

仮に社民党の瑞穂ちゃんの云うように,沖縄県から米軍基地を撤廃したとします。米軍基地のない沖縄が島根県程度の交付金になったら、沖縄県は財政 破綻しないのでしょうか。沖縄が破綻して県民が疲弊し、その恨みの矛先を日本政府と米軍基地に向けた場合、いったい何処の国が得をすると思いますか。

実のところ、このジレンマには多くの沖縄県民が気付いています。

今回の名護市長選挙の結果にしても、実のところは普天間基地を受け入れない断固たる民意ではなくて、もっと交付金を上積みして基地の負担に耐えて頂くという日本政府の誠意が示されていないという意思表示ではないのかと、ついつい思ってしまいます。

何せ名護市の歳入は年間約290億円。その内の66.6%は国や県の交付金と借金で賄われているのですから。しかも市債の残高は335億円もあります。米軍再編交付金が年間10億円程度交付されるのなら、市の財政はどれだけ楽になるでしょう。

結論から言えば、沖縄県の財政は基地ありきで37年間やって来たのです。口では簡単に基地を無くすと云えますが、実際には基地を無くして財政危機 を招かない妙薬はありません。かつて炭鉱を閉山させる政策の対価として同様な交付金を得ていた北海道が今財政的にどんな疲弊ぶりなのかを見てみたら,それ は良く理解出来ることでしょう。

社民党や共産党のように基地の撤廃を簡単に口に出来る政治家は、その後のことは正直云って考えていないでしょう。其処をちゃんと見ていないと、そんな振り込め詐欺師みたいな連中の口車に乗れば大変なことになるのは目に見えています。

じゃ、どうすればいいのか。

米軍基地を撤廃して沖縄県を財政破綻させないというのなら、これは首都を沖縄県に移して、政府直轄地域として、自治体という行政の姿を変えること で、破綻を無くすという方法論はあると思います。経済都市東京と、政治都市沖縄という棲み分けです。直轄地域の行政は内閣の沖縄担当大臣に任せる形になる でしょうね。

ということで、普天間基地が沖縄県外へ移設される可能性は現実問題としてはほとんどあり得ないと思います。無論感情論としては県外移設を臨む気持ちは理解出来ますが。

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コメント

 沖縄が返還されて、その後の「基地反対闘争」などを瞥見していると「本土の運動家」の口車に乗せられていたとしか言いようのない部分がありました。だからこそ、その後の沖縄における米軍基地に対する県民の感情は鬱屈したものを感じさせるものでした。まぁ、本土のマスコミを通じて見ているから希薄でしたがね(^^;
 それにしても沖縄に米軍が居ては困るところと言うのはどこなのだと言う視点が欲しいな。いえ。先生にと言う意味ではありませんよ。本土のマスコミを初めとする各種の人々と言うことです。アメリカのアジアにおけるプレゼンスがグアムに交替すると言うことがどういった意味を持つのかと言うことが非常に危険だと言うことを理解して欲しいですね。

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