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2010年2月

2010年2月26日 (金)

GOODBYE MARCUS

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「太平洋に浮かぶ南鳥島で昨年末、電波で船舶に位置を知らせる「ロランC局」が廃止されたのに伴い、施設を運用していた海上保安庁は今月、撤収作業にあたる職員5人を派遣した。16年前の運用開始以来、一般人が立ち入ることのない絶海の孤島に勤務した職員は約300人。「GPS(全地球測位システム)」の普及で、施設の歴史的使命が終わった今、5人は、自然あふれる島の光景が変わらないことを願いつつ、最後の任務を続けている。この日の最高気温は25・9度。日差しが降り注ぎ、温かい風が吹いていた。」

平成5年にアメリカ沿岸警備隊管理だったロランC局の運用を、海上保安庁が引き継いできた歴史も17年目で終わるという記事です。

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*以下のアドレスで撤去の風景が動画で見られます。
http://video.mainichi.co.jp/viewvideo.jspx?Movie=48227968/48227968peevee294399.flv

海保で南鳥島のロラン局を担当していたのは千葉ロランセンターです。ロラン(LORAN)Cとは、「Long Range Navigation」の頭文字をとったもので、長波帯(100kHz)を使用した双曲線航法システムです。双曲線航法とは、「2つの送信局からの信号の到達時間差が一定の値となる点の軌跡は、その送信局を焦点とする双曲線となる。」という原理を応用した航法です。この双曲線は位置の線(LOP : Line Of Position)と呼ばれ、2本以上のLOPの交点が観測者の位置となります。GPSが利用出来るようになる以前は、船舶や航空機にとっては大切な位置測位システムを担う伝波の灯台でした。この功績を讃えて昨年には人事院総裁賞が贈られています。(関係各所以外は誰も知りませんが)

さて、南鳥島は東京から南東約1,950km。北緯24度17分、東経153度59分に位置する珊瑚礁の小さな島です。この島は、1辺が約2kmの正三角形に近い形をしており、日本の最東端に位置していますが、一般人は立ち入れないため、あまり知られていない領土の一つです。

記事だけ見ると海保の職員しかいないように思えますが、島にある滑走路(1380m)は海上自衛隊が管理しており、その為の隊員(海上自衛隊南鳥島航空派遣隊の隊員12名)が常駐しています。また気象庁の職員(気象庁南鳥島観測所の職員14名)もおります。

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(南鳥島飛行場へ飛来する航空機)

珊瑚礁の島なので岸壁が設けられず、船は直接島に接岸が出来ません。そのため海保や海自の船が半年に一度やってきて、発電や航空機用の燃料、そのた重量物など沖泊まり、ヘリや搭載艇で補給しています。島に駐在する人員や食料などは、月に1往復の航空自衛隊輸送機と、週に1往復の海上自衛隊輸送機の定期便が運びます。海保の輸送機は不定期に飛来しているようですが、この撤収で見られなくなるでしょう。

そんな南海の孤島ですが、実は漂着するゴミで困っていると言う話もあります。海洋汚染はこんなところまでという記事はこちらです。

ところで、以下の記事ですが、少しおかしくありませんか?

東京から約1950キロ。今月17日朝、5人の海保職員と一緒に羽田空港からYS11型機に乗り込み、約7時間半かけて南鳥島の滑走路に降り立った。


YS-11の航続距離は約1000キロ。何も乗せない状態なら約2200キロ。羽田空港から南鳥島へは直接には飛べないのです。実際、、海自のYS-11が厚木基地(自衛隊機)から硫黄島を経由して約8時間の飛行時間を要するそうです。海保のYS-11羽田から硫黄島経由が通常のルートです。そうしている理由は、南鳥島付近に他に着陸出来る滑走路がないため、燃料を硫黄島で満タンにして、場合によっては硫黄島へ引き返せる余裕を持って飛ばなければ危険なためです。

空自のC-130は入間基地から直接、南鳥島への飛行は可能ですが、それでも硫黄島へ一旦降りていると聞いたことがありますが、真意は不明です。

日本の財政「崩壊寸前」と米教授が言うから、今日は財政崩壊記念日

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(この親爺がKenneth Rogoffです)

「国際金融の専門家で国際通貨基金(IMF)元調査局長のケネス・ロゴフ米ハーバード大教授は23日、都内でインタビューに応じ、日本の財政状況について「電車の衝突事故を待っている状態だ」との厳しい認識を示した。その上で、財政再建のために消費税を含む増税、歳出削減に早期に取り組むべきだと強調した。」

或るベクトルを掛けた意見を権威付ける(信用させるための脚色)には、その発言者がこの問題の専門家であり、その意見は誤りである筈がないと読者に思わせることが大事です。

「日本の財政は崩壊状態です」と、商店街の八百屋の親爺が言っても、それは世間話の類で終わってしまいますが、IMFの元調査部長で、今はあのハーバード大学の教授であるケネス・ロゴフ博士が、こう言ってますと云われたら、ついつい信用したくなりますよね。

では、ケネス・ロゴフ(Kenneth Rogoff)米ハーバード大教授は他では、どんな意見を述べてるのでしょうか?まずは以下の二つの小論を読んでみて下さい。

『中国政府が抱えるドルという“爆弾”』

『現在進行中の大不況は今までの不況とは違う』

彼の経歴を調べてみると、1953年生まれ。1975年イエール大学で経済学修士号取得。80年マサチューセッツ工科大学(MIT)で経済学博士号を取得。その後、連邦準備制度理事会(FRB)で働き、ついでプリンストン大学で教鞭を執り、99年よりハーバード大学経済学部教授に就任。国際金融分野の権威として知られ、アメリカンアカデミー協会会員。2001~03年までIMFの経済担当顧問兼調査局長を務めた。チェスの天才としても名を馳せる。等々、華々しい経歴のエリートさんです。経歴を見ても判りますが、彼は経済学を数学モデルで解析する方の専門家です。

この手の人は統計学的な数字で財政フローをはじき出して、それで結論を導き出しますが、経済は生き物。また日本の国家財政は、アメリカのそれとは違い不正や誤魔化し、あるいはまやかしが多々ありますからね、正攻法の数式で割り切れるほど単純なモノじゃありません。

ロゴフ博士の言う「日本の財政は崩壊状態です」の具体例は国債の発行残高のことです。国債は国の借金だとよく言われます。その借金が昨年末で約750兆円だったと思います。(ちなみに国の短期の借金も含めると850兆円を越えます)でも、この借金は何処でしているかご存じですか。その大半は日銀と日本の銀行からです。つまり国内で調達しています。分かり易く言えば、親に借金をしてるようなモノです。確かに借金は返さないと行けませんが、例えば他人に借りている場合は、貸し主の都合で全額を半年で返済せよとか言われるかも知れませんね。そうなると返すために大増税と公共サービスの大幅な停止などで現金を調達しなければいけなくなります。ロゴフ博士の言う危険な状態とは、単純化して言えばそういう話なのです。しかし、前述したように日本は国内で借金をしている状態です。国内にあるお金が国内で回っているだけに過ぎません。そしてその借金は国内へ戻されています。だから気軽に国債を発行して良いとは云いません。何せ国の財政の約21%ほどは国債の償還や利払いなどに消えているのですから。足りない分を借金する繰り返しが続く構造から脱却する必要性があります。また負担に感じずに借金ができるからこそ、財政の無駄な支出が肥大化したのですから、その体質も改善する必要があります。

それがための体質改善の掛け声が「財政改革」です。そして国債の問題が分かりやすいからこそ、問題点として危機感を煽る取り上げ方をされてきました。その仕掛けに、昔は誰もが気付いていました。しかし、いつの間にかスローガンの危機は、本物の危機のように伝播されるようになっています。

この問題をもう少し詳しく知りたい方は、こちらをご一読下さい。

という事で、ロゴフ博士は何故こんな事を日本に来て言い出すのだろう?そう思わないといけません。財政再建のために大増税をしろと言って喜ぶ人はだれでしょうか?その辺を考えてみながら博士が誰の指示でこんな事を言ってるのだろうと更に考え込んでみるのも面白いですよ。

トヨタ公聴会の見方

「トヨタ自動車の豊田章男社長は24日の米下院の公聴会でトップ自ら謝罪と反省を繰り返すことで、大規模リコール(回収・無償修理)問題の収拾の糸口にすることを狙った。議会側は豊田社長の低姿勢ぶりは好感したものの、肝心の欠陥隠しの有無などでもあいまいな答弁には、いら立ちを隠さず、トップ登場が米国でのトヨタ不信一掃につながったとは言い難い状況だ。 ただ、欠陥隠し疑惑の焦点である、顧客からの急加速に関する苦情を認識した時期について「社長就任前で正確には分からない」と答弁。議会側が問題視してきたトップの問題解決能力やリーダーシップを疑わせるもので、米消費者の不安を広げさせかねない。」

公聴会を英語で書くと「hearing」。要するに意見を聞く場を設けること。何処に設けるかというと、この場合は国会において。アメリカだと議会においてと言う話になります。公聴会は裁判ではありませんから、今回だとトヨタ自動車の立場を抗弁する場として捉えても全然問題なし。それを批判する勢力はいたとしても、それで善悪を決めるのは、それこそ裁判じゃないのですから無意味です。

今回トヨタの豊田社長に、下院の公聴会へ出席するように招請状を送った張本人は、下院監視・政府改革委員会委員長であるエド・タウンズ下院議員(民主・ニューヨーク州選出のベテラン黒人議員)。同委員会は、政府調達、省庁サービス、IT(情報通信)政策などの問題について調査する権限を与えられているのですが、自動車産業と直接利害関係のある委員会のようにも思えませんね。だからこそ、日本では”これは下院議員達の政治ショーだ”という事前評が出ていたのです。

私のような人間から言わせれば、これはイジメ・嫌がらせの類です。

では、どうして虐められるのか?

それは、沖縄の基地問題にはじまる日米同盟の修正を、日本の民主党政権が始めたから。それまで日本政府と合意してきた米軍再編に関する日米の約束事が反故、もしくは一方的に変更を迫られようとしているからではないですか?つまりは、江戸の敵を長崎で討たれたんです。トヨタ自動車は日本産業の顔です。そして世界の自動車工場であったアメリカ自動車産業を崩壊させた立役者。プライドを傷付けられたと思ってる勢力以外でも、判りやすい日本への圧力になりますから。

既に日本政府内ではこの圧力を深刻に受け止め始めてはいませんか。

例えば、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、沖縄県議会が2月24日に、県内移設に反対する意見書案を全会一致で可決した事に対して、平野博文官房長官は同じ日の記者会見で、「こういう議決ということは理解した」とだけ述べるに留まりました。前述には、「例えば沖縄で(地元の)理解を得ていくということであれば、県民の負担軽減と安全の確保が一番の原点だ」と述べ、市街地にある普天間飛行場の危険性除去を最優先し、県内移設の可能性もあり得るとの見方を改めて示していたのですから、意見を変えたとは受け取りにくいです。

北沢俊美防衛相は23日の記者会見で、普天間移設問題で「案がかちっと固まりこれでとなるのか、複数の案が出てきた中で組み合わせるのか、いろいろな形が想像される」と述べています。これはアメリカと複数の移設案を協議する可能性を示しています。その協議の上で「一つの案が固まって、表に出てから折衝に入るのは難しいと思う」と述べ、移設案を公表せずに対米交渉に入るとすらしています。恐らくそこで日本政府が妥協案として持ち出すのは、国民新党などが有力視するキャンプ・シュワブ(同県名護市)陸上部への移設案でしょう。アメリカはあくまで原案の辺野古沖での建設を求めてくるのは確実です。

肝心の小沢一郎幹事長は、移設問題に関しては「政府が判断する話だ」としながらも、「あのきれいな海を埋め立てることは考えられない」とも述べ、現行案である米軍キャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部への移設に否定的な考えを改めて示したとも言われていて、そもそも民主党としては自民党政権の置き土産をそのまま飲む気は無いとアメリカに示しています。

結局、最後は鳩山総理の決断次第。無論その決断に非難囂々なら鳩山内閣は総理の辞任という形で消え去り、次の総理が出て来る事になります。いわば沖縄の基地移設問題は踏み絵にされる。その政治ショーを見ながら、アメリカ議会は更なる日本叩きを行い、日本の輸出主体の産業界から政府に非難や圧力が加わるように仕向けてくるでしょう。

元々、アメリカ民主党政権は、日本の突出に批判的です。クリントン政権の8年で日米関係はどうだったか。それを調べたら得心がいくと思いますよ。

さてさて、話を公聴会に戻しましょう。

この公聴会は日本の国会でも開かれています。参考人招致なんて言葉がありますが、あれも公聴会に類したものです。それで提案なのですが、この際リーマン・ブラザーズの当時の社長や幹部を公聴会に招請し、議事堂の一般席には中小零細企業の倒産の憂き目に遭われた社長さん100名を招待し、どうしてリーマンショックは起きたのか。誰の責任なのかという意見聴取をやってみてはどうですか。

日本のこの不況は、日本政府が無策だったからじゃない。アメリカが悪いんだ!という世論形成を日本政府がやり始めたら、アメリカ政府はどんな顔をして、次の手を打ってくるか、興味本位で良いなら見てみたいですね。

最後に、先日の2月15日に、インディアナ州選出のエバン・バイ上院議員(民主党)が突然、今年11月の中間選挙には出馬せず、議員を引退する意向を発表したのを御存知でしょうか。バイ議員は、オバマ政権の副大統領候補リストに最後まで残っていた民主党の大物議員の1人です。父親も上院の重鎮だった政治一家サラブレッド。保守色が強いインディアナ州で、60%以上という高い得票率で過去2回の当選を果たしていて、今回も3選は確実視されていました。それだけに突然の引退表明は衝撃的でしたが、それ以上にショックを与えたのは彼の引退理由です。

「(議会にいるよりも)民間にいた方が、雇用を創出し、若い人の教育を支援するなど、より意味のあることができる。議会は、国民の真の利益になることよりも、愚かな党派主義と党略にだけ支配されている。与野党ともに歩み寄りということを知らない」

引退表明と同時に発した、「I don't Love Congress」(連邦議会を愛していない)、 「Congress is not operating as it should,」(議会は機能不全を起こしてる)は、そのまま新聞各紙に取り上げられました。

アメリカ議会の公聴会がややもすると正当な議会運営で、そこへトヨタは呼ばれて吊し上げられてるんだから、トヨタは悪いことをしたんだろうと、何となく感じてる皆さんは、この上院議員の発言をどう受け止められたでしょうか?

2010年2月19日 (金)

子供の国を目指して

『オバケのQ太郎』
『パーマン』
『ゴルゴ13』
『ブラック・ジャック』
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
『美味しんぼ』
『ジョジョの奇妙な冒険』
『BASTARD!!』

 ここにずらりと並べた作品はいずれも劣らぬ国民的な人気マンガばかりですが、これらのマンガには、ある共通点があります。それが何だかお分かりでしょうか?

 実はこれらの作品には全て「封印された回」が存在します。

 例えば『オバケのQ太郎』の場合、コミックス第5巻に収録されていた「国際オバケ連合」という回がそれに当たります。ストーリー自体は「世界中のオバケの総会が日本で開かれることになり、その会場がQ太郎の下宿先である大原家に決定。世界各地のオバケが登場する」という微笑ましいもの。しかし、その中の1匹(1人?)のオバケの姿が「真っ黒の体に鼻輪を付け、腰みのを巻いた」ものだったため、『黒人差別をなくす会』が抗議活動を展開し、発行元の小学館は『オバケのQ太郎』を回収しました。

 『オバQ』の場合は「差別・表現」が問題とされましたが、ある作品は「権利関係」が、またある作品は「盗作(の疑い)」が、その他「事実誤認」「わいせつ表現」「名誉毀損」などが問題となりました。それらの中には客観的に見れば、過剰反応(回収までしなくても・・・)と思えなくもないケースもありますが、一度封印された作品が再び陽の目を見ることはなかなか難しいものです。


作家の筒井康隆が断筆宣言をした原因も、ある団体の抗議に出版社が屈したことへの失望だったのですが、上に引用した『オバケのQ太郎』の黒人差別問題の糾弾も、似たようなお話しだと思います。要するに出版社側の自主規制なんです。

『オバケのQ太郎』の黒人差別問題を指摘して抗議した『黒人差別をなくす会』は、あの『チビクロサンボ』の絵本を一時期絶版に追い込んだのでも有名な団体なのですが、こちらはただ問題有りと抗議しただけというスタンスです。なのに大手出版社は過剰に反応した。一説ではこの会の幹部が部落解放同盟と深い関係があって、それ故に差別問題で解放同盟と事を構えたくないからだという話しもありますが、多分それだけじゃないでしょう。この影響で同じ藤子不二雄作品の『ジャングルくろべい』も長らくコミックは封印されてしまいました。

もしも、肌が黒い人達が腰簑で踊るのが黒人差別というなら、東宝特撮映画の『モスラ』に代表される南の島の人々(『モスラ』ではインファント島原住民さん達)はどうなるんでしょうか?

どうも、今の日本社会は、抗議=正論、反論=不正義という、ある意味不見識な概念を、マスコミが先頭に立って意図して作って来た結果、何時の間にか不条理は認められない、差別と区別の違いも一緒くたにしてしまう、幼稚で単純な思考に慣らされているようです。

要するに議論出来ない社会作りを目指してきたんでしょうね。だからネット上での議論を見ていても、大半は議論の態をなさない、罵詈雑言の応酬、もしくは持論の押し売り、はては逆ギレの連発です。こんな社会で、確かに日本の外交よ強くなれと言っても無駄ですよね。外交は議論の応酬なんですから、日頃から訓練されている連中に勝てるはずがない。そもそも持論すら持ち得ないような教育と社会風土で何をか言わんやです。

昔、いしいひさいちという漫画家の4コマ漫画で、盲人の運転する車が追突事故を起こし、当てられた方の運転手が怒って車を降りてきて、「何処を見てたんだ」と怒り出すと、当てた方の運転手は白い杖とサングラスを掛けた姿で降りてきて「すみません、前が見えなかったモノで」と謝り、その姿を見て相手が盲人だと知った当てられた方の運転手は恐縮してしまうと言う作品がありました。

無理が通れば、道理が引っ込むを皮肉を込めて作品にしてあるブラックジョーク味の秀作だと私などは感心してしまうのですが、一流大での同僚にそれを見せた所、”これは盲人を差別した作品だ”と一読して呟きました。まあ受験勉強と試験勉強しかせずに、教養を育てないでも、試験に通れば何にでもなれるのが日本社会です。

本題の「封印された回」で思い出されるのは、子供の頃のテレビ番組達です。

有名どころでは、『ウルトラセブン』第12話「遊星より愛をこめて」。この作品は現在「欠番」という扱いになっていて、再放映は当然されませんが、DVD、ビデオ、LDなどでも欠番とされている珍しい作品です。その理由は、自らの兵器実験によって血液が汚染されたスペル星人が、治療のために地球の若い女性や子供の血液を腕時計に偽装したメカで血液を収集するのですが、その被害者は白血球が皆無に近くなって死亡していく様子に、モロボシ・ダンは「原爆病によく似た症状じゃないですか」という台詞を語ります。この原爆症がNGの最大の理由だと(他にも血友病を連想させるなどの説もある)言われていますが、当然自主規制の範疇です。このあたりの下りをWkipediaではこう解説しています。

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strong>欠番までの経緯
第12話の本放送は1967年12月17日である。本放送、および初回再放送においては何の反響も無かった。再放送でも第12話は通常通りの放送スケジュールに組み込まれて再放送され、また玩具や関連商品も発売、各種イベントにも着ぐるみがたびたび登場していた。しかし、1970年10月のセブンの再放送時に発行された小学館の「小学二年生」の付録にあった怪獣カードに、スペル星人の説明として「ひばくせいじん」という記述がなされていた。このカードを見た女子中学生が東京都原爆被害者団体協議会の専門委員であった父親に相談し、父親は「小学二年生」編集部に抗議文を送った。この事件が雑誌や新聞で報道されて抗議運動は短期間のうちに広島・長崎の被爆系政治団体にも拡大し、全国的な動きになった。
抗議を受けた円谷プロは1970年10月21日付けで謝罪の意を表し、スペル星人に関する資料を公開しないこととした。また、小学館をはじめとする各出版社もスペル星人を扱わないと決めた。この取り決めにより、第12話は自主的に封印されることとなった。


確かに「被爆星人」はどうかと私も思いますが、それよりも事の起こりが子供の投書だったというのがキモではないでしょうか。第二福竜丸事件が起きるまで日本には被爆被害を糾弾する団体はなく、それが政治利用されて肥大化し、既に被爆被害者救済から単なる圧力団体に成り下がった構図が、この一件でも透けて見えます。それでも日本のマスメディアはとにかく、この事例でも判るように"被爆"にはかなり敏感に反応するのです。

似たような話に精神疾患があります。

『怪奇大作戦』という作品の第24話『狂鬼人間』は、脳波変調機を利用して社会に復讐しようとする"狂わせ屋"というキャラクターが出て来ます。刑法第39条第1項「心神喪失者ノ行為ハ之ヲ罰セス」を逆手に取り、心神喪失者を意図的に造り出し殺人者に仕立てるというプロットがドラマの核になっているのですが、精神異常者の描写に問題があるので欠番になっているという噂話はあるものの、正式にどうして再放送が不可なのかは説明されない作品として有名です。似たような作品に『レインボーマン』第9話「タケシを狂わせろ」 というのもあります。こちらも欠番です。

また、上述したように部落問題もタブーとされ、世の中に無いモノとしたいような扱いでNGです。その代表作品が『タイガーマスク』19話「試合開始2時間前」。タイガーマスクが巡業先の地方都市で廃品回収を家業にする少年と知り合い、彼の家を訪ねるのですが、そこが如何にもうらぶれた貧乏長屋なのが、部落を連想させ、廃品回収業もそれに関連づけて差別されているという説がよく言われるのですが実際の理由は不明です。

自主規制に言葉狩り。

本当に子供の国にしたいのかね。

長期戦はまず外堀を埋めることから始める

「民主党の小林千代美衆院議員(41)=北海道5区=側が、北海道教職員組合(北教組)から選挙資金を違法に受け取ったとされる事件で、小林氏の資金管理団体の会計担当の男性(46)が札幌地検の任意聴取に「北教組の組織からではなく、当時の委員長個人から資金提供を受けた」などと供述していることが17日、関係者への取材で分かった。小林氏側関係者によると、陣営は2008年12月以降、北教組側から計1600万円を受領した。札幌地検は、提供額が高額なことなどから、企業や団体が政治家個人に献金することを禁じた政治資金規正法違反に当たる疑いがあるとみて捜査している。」 

小林議員の場合、少し特殊なのは彼女は教員の出身者ではない点です。日糧製パンという食品会社の労組出身なのです。自民党の町村信孝議員の対抗馬として民主党が担いでいた関係で北教組が何らかの指示を受けて支援団体になったとしか思えないのですが、そこはまたあとでお話しします。

正直云って、日教組の各支部にあたる各都道県教組が支援する政治家に献金をしてきたのは公然の秘密という奴で、それが公職選挙法の改正以降も慣例として続いていたのも、大きな声では言えないが・・・的なお話しでした。

それを敢えて、ここで札幌地検が立件してきたのは注目に値します。

日教組は、その歴史を紐解けば、旧社会党系の主流派と、共産党系の反主流派のお定まりの権力闘争の記録が綿々と綴られています。

組合の主導権をその組合員数で優る小学校と中学校の教職員が握っていたため、早い段階で高校教職員は日教組を離れて、全日本高等学校教職員組合(現:日高教)として独立します。その日高教ですら、内部では旧社会党系と共産党系の対立があります。

次に共産党系の全日本教職員組合が旗揚げされるのですが、この分裂騒動の原因は、日本労働組合総連合会(連合)への加盟の是非をめぐるものでした。原水禁と原水協と同じ図式が此処でも出て来ました。

さて、日教組と政治献金で思い出されるのは、輿石東・民主党・党幹事長代行に絡むお話し。元小学校教諭であった彼の支持母体である山梨県教職員組合が組織的に組合員からカンパとしてあつめた6000万円が2004年(平成16年)の参院選挙の際に輿石陣営に流れたという事件でした。集金にたずさわった教職員の面々は停職等の処分を受けましたが、議員本人には累が及びませんでした。今でも山教組は彼の事実上の政治支援団体です。それがため、2009年1月14日に行われた日教組の会合では「私も日教組とともに戦っていく。永遠に日教組の組合員であるという自負を持っている」と宣言し、「教育の政治的中立はありえない」と教育基本法第14条の規定を無視し、日の丸,君が代に反対する「反日偏向教育」の根源ともいわれる日教組へのエールと受け取れる発言をしています。

つまり輿石幹事長代行は、日教組の既得権益を守るために国政に送り込まれた代表なのです。ちなみに、民主党には日教組の支援を受けている議員は他にもいて、佐藤泰介、神本美恵子、那谷屋正義、水岡俊一などがそうです。

さて、日教組絡みでもう1人民主党の大物議員をご紹介しましょう。かつては北海道で無敵の知事として知られた社会党の大物、横路孝弘衆院議長です。彼の支援母体は日本民主教育政治連盟という日教組の組織する政治団体です。所属する国会議員は以下の通りです。

衆議院議員(2名)
横路孝弘(民主党 北海道第1区) 
鉢呂吉雄(民主党、北海道第4区)
参議院議員(7名)
神本美恵子(民主党、比例区)
輿石東(民主党、山梨県選挙区)
佐藤泰介(民主党、愛知県選挙区)
辻泰弘(民主党、兵庫県選挙区)
那谷屋正義(民主党、比例区)
水岡俊一(民主党、兵庫県選挙区)
近藤正道(社会民主党、新潟県選挙区)


横路孝弘と言うと忘れていけないのは、「外務省機密漏洩事件」(西山事件ともいう)です。

民主党政権になり、沖縄返還時の密約に関する外交文書の再評価が始まっていますが、実は最初にこの問題を持ち出したのは彼なのです。密約とは、アメリカ政府が軍用地の地権者に支払う土地現状復旧費用400万ドル(当時の時価で約12億円)を日本政府がアメリカに秘密裏に支払うという内容でした。

この密約が存在するとの情報を聞き込んだ毎日新聞の西山太吉記者(当時既に妻帯者)は、外務省の女性事務官(既婚者)と深い関係になり、口外しないと約束した上で外務省極秘電文のコピーを得た事で、情報を漏洩させたのではないかとして、東京地検特捜部に、情報源の外務省女性事務官は国家公務員法違反(機密漏洩の罪)、西山を国家公務員法違反(教唆の罪)で逮捕する事件に発展し、新聞記者の取材の権利や、情報ソースの漏洩という記者としての不文律の問題、さらには取材方法の是非などの議論を巻き起こしたのですが、いかんせん事件は1972年のこと。既に忘れられているのですが、実は毎日新聞はこの事件が引き金になり一度倒産の危機を向かえるほど大きな影響を受けたのです。そして毎日新聞が今のような報道姿勢に変質したのもこの事件以降だと言われています。

もっと言えば日本のマスコミが国家の機密に関して、それが不法であれ不等であれスクープしなくなったのもこの事件以降からだと言えます。

そんな重大な社会的影響を引き起こしたのは、横道議員が西山記者のスクープを利用して売名行為に及んだも同然なのですが、マスコミは一貫してそれを伏せてきた格好になっています。彼自身が情報ソースを秘匿する努力をせずにいたことで、2人の社会人が職を失い裁判に掛けられただけに、本来自分もその責任を感じて当然ですが、その後も彼は衆院議員を務め、北海道知事を務め、今や衆院議長という重職にあるんですから、個人的には呆れてものが言えない気分です。

さて、話が横道にそれましたが、小林議員を北教祖が支援するのに橋渡しをしたのは恐らく横路議長でしょう。

日教組本部自体もかなりの内部留保を抱え、その資金力で政治活動を行ってきましたが、このお金の出所を巡っては色々と噂が絶えないのも事実です。

そうした公然の秘密に、今回敢えて選挙違反という突破口で検察当局が挑む姿勢を見せているのは興味深いお話しです。先程来お話ししている日教組が支援している民主党の議員達の選挙資金の出所に関して、もしも全てに検察のメスが入る事になれば、日教組本部も強制捜査の対象になりかねません。ある意味、朝鮮総連本部を強制捜査したのと同じくらいのインパクトが有る世界では走るでしょう。無論其処で手にした情報は公表されずに検察の影の力となり秘匿されるかも知れません。

いずれにしても、鳩山首相の脱税問題、小沢幹事長の政治資金問題、北教組の選挙資金問題と、民主党政権成立後に噴出してきた政治と金の問題。自民党政権と違うのは、その中身が、一つは親の資産の流用であり、一つは産業界からの政治献金であるだけでなく、労組の金が政治献金として流れているという地下水脈を掘り当ててしまった点にあります。

世間では、民主党政権が地検特捜部潰しや検察人事への介入を予測していますが、実際のところ、検察は小沢問題に関しても諦めているのかどうか判りませんし、今回の事件で小林議員の選挙スタッフが次々逮捕され起訴されて、裁判で有罪となれば議員自身も連座制が適用され失職する訳です。案外、検察はしぶとくこの方法論で本丸に迫る気なのかも知れません。

そして、その圧力に負けて民主党政権は、スケープゴートに日教組を差し出すのだろうと私は予測しています。自民党政権が日教組を潰せば、これは思想弾圧の類に取られかねませんが、民主党政権が潰しても、労組の再編の一環、あるいは労組の悪い部分の浄化として捉えられるだけに、気軽に潰すことが出来るでしょう。

私が検事総長なら、小沢幹事長と密かに通じて、民主党政権内部の旧社会党系議員の大粛清をこういう方法論でやる代わりに、貴方には手を出さない。その代わり民主党政権も検察の独立性に関しては手を触れないという密約をかわしますけどね。

2010年2月 5日 (金)

だから朝青龍が許せない

「横綱・朝青龍(29)=本名・ドルゴルスレン・ダグワドルジ、モンゴル出身、高砂部屋=が4日、現役引退することを表明した。朝青龍は「いろいろあったが、引退した。今は晴れ晴れしている」と語った。」

大相撲初場所での優勝決定戦で、朝青龍のガッツポーズについて横綱審議委員会で苦言が呈されるなど、横綱としての彼の品格を問う騒動は度々起きていましたね。横綱が土俵でのマナーを問われる時点で、既に朝青龍には横綱の資格が欠けているとは私は思っていましたが、世間では賛否両論だったと記憶しています。

今の日本には様々な格闘技が存在し、本当の真剣勝負を売り物にした格闘技がある一方で、大相撲のように、国技と世間で思われている格闘技が興行的に成り立つというのは、素晴らしいことだと思います。ですが、一方で相撲もK1も同じ格闘技、ガチンコ勝負なのだから勝ったらそれで良いという視点で大相撲を語ることに、私自身は違和感を覚えていました。

さて、最初に書いた朝青龍のガッツポーズに、どうして賛否がわき起こるかについて話を戻します。

日本人の中で、相撲という格闘技においてのみは、土俵の上で、一旦勝ち負けが決まったら、勝った方が負けた方に優越感を示すのではなくて、いたわりの気持ちを見せることが大事とする感性があるように思えます。そんな勝者が敗者に敬意を表することを是とする、日本人の中のモラルに反する行為だからこそ、朝青龍のガッツポーズがどうしてもおかしいと思ってしまう人がいるのではないでしょうか。

確かに、敗者は負けたのですから、そんな相手を格闘技という弱肉強食の世界に於いては、目を向けたり、心をかけたりする必要はないという考え方が一方で存在することは理解出来ます。

ですが、未だに水戸黄門がテレビで制作されたり、鬼平犯科帳が書店に並んでいるのは、日本人のモラルの源流に、「弱きを助け強きを挫く(強きを挫き弱気を助ける)」という観念があるからではないかと思います。この考え方は元々、儒教のいう「仁義」を拠り所にする思想です。仁義を重んじれば、困っていたり苦しんでいたりする他人を助けるために体を張る自己犠牲的精神が自ずと生まれるとされ、これを「任侠」の気質とよんだのが「史記」の司馬遷です。今では『任侠』=暴力団と連想されがちですが、江戸時代には「任侠」は「男気」や「男伊達」として江戸っ子の間ではもて囃されました。まあそれだけ、反体制的な心情が根付いていた証拠です。要するに、権力者は支配する者達を労る気持ちを持てという世論が有ったという話です。

そういう時代に、神事であった相撲は、興行として変化していき、今の大相撲へとつながっていく発展をしていくのです。そんな中で『相撲道』という武道としての思想も培われ、その中には前述する任侠の精神も取り込まれていき、勝者は倒れた敗者に手を差し伸べて引き起こすというようなマナーが求められるようになっていったのでしょう。

私達日本人は、そういう経緯を知ってか知らずかは別にして、当たり前のように相撲とはそういうモノだと思っている人が相当数いると思います。だかこそ、朝青龍のガッツポーズにどうしても違和感を覚えてしまうのです。

だから・・・外国人力士は、と私は敢えて言いません。外国人の中には日本人よりも日本人らしい人が大勢いますから。

ただし、朝青龍はそういう日本の伝統とか文化には関心も素養もなく、勝者絶対的な心情を持ってる態度を示してるのは何故なのか?しかも横綱にまで登り詰めておきながら?

この点に首を傾げる人が大勢いるのは事実です。その上の暴行騒動ですからバッシングはある程度仕方がないでしょう。

ご本人は初場所で優勝したんだし、こんなに強くて現役としてあと数年は横綱をはれる自分が、たかが知人とのいざこざごときで角界を追われるなんて、それこそ想像出来ない話しだったのでしょう。それまでは色々問題を起こしても、譴責や休業ですませてきたんですから当然と云えば当然です。

しかし、本来批判され退職を勧告されるべき相手は、その師匠高砂親方(元朝潮)ではないでしょうか。朝青龍という部屋一番の看板力士育て方をみてると、その資質の方を疑いますね。

今世間は世知辛くなって、儲けさえしたら他人はどうなってもいい、強気者だけが生き残るという風潮に、日本人全体が違和感や忌避感をもっているのではないでしょうか。だからこそ、身近で強いけれど品格に欠ける朝青龍へその怒りをぶつけたいのかも知れませんね。

2010年2月 1日 (月)

死因究明制度が密かに崩壊している

昨日放映された,テレビ朝日系の報道番組『ザ・スクープ』で、今月28日、鳥取の連続不審死事件で渦中の女が、強盗殺人容疑で逮捕された事件を例に、日本の死因究明制度の不備を追及する内容が放映されていました。

日本では病院等の医療機関で死亡した人以外は、その遺体を警察が検視する事に法律上なっています。その検視によっ て事件性がある場合は司法解剖がなされて死因の究明を行い、犯罪捜査も始まる訳ですが、事件性がないと判断された遺体は大方が死因の究明をされずに荼毘に 付されてしまうのが今の日本の現状です。下の記事を見てください。

2009年に全国の警察が取り扱った遺体は前年比0.6%減の16万858体で、このうち、事件性などを判断する検視 官(刑事調査官)が現場に出動して調べた遺体(臨場数)は、43.4%増の3万2676体と過去最多になった.。一方、司法解剖や行政解剖された遺体は1 万6184体で3.0%の微増。総数に占める解剖率も10.1%で0.4ポイントの小幅上昇にとどまった。(2010/01/28-10:18)

私が書いた事と矛盾する内容になっているのにお気付きですか。

警察が扱った遺体が16万858体。これに対して検視官が現場に出て検視した遺体数は3万2676体。残りの遺体の検視はどうしたの?と思います よね。実は残りの遺体は現場に出て行った警察官(必ずしも遺体検分の知識があるとは限らない)が判断しているのです。ある意味、遺体を見慣れていないよう な平和な府県の警察だと、犯罪性があっても見逃す可能性は否定出来ません。しかも解剖され、法的に死因が究明されたのは3万2676体の中で1万6184 体。全遺体数の約10%に過ぎないのです。それでも冤罪が起きてしまうのも怖い話ですが、仮に16万858体全てを検視官が検視出来たとしたら、今の統計 数を元に試算しても約6万遺体になり、一見すると犯罪性がないと思われていたものが、実は犯罪性があったと判明する確率も当然ながら大きくなるでしょう。

要するに殺人を犯しながら、それが事故や自殺と警察が断定したが為に見逃され、犯人はのうのうと市民の中で生活をして居るという話しになります。

どうしてこんな話しになるかというと、検視官自体の総数が全国で196人(2008年までは190人)しか居ないからです。今年は増員されて20人増えるの で、史上初めて200人を越えて216人になる予定です。ということはですが、196人の検視官で3万2676体の遺体を昨年は検視したとの事ですから、 1人あたりの検視数は約1667体という計算になります。これを1日に換算すると約4.5体。検視官は県警本部などに居ますので、県下へ要請があって臨場 して検視するとしても、テレビドラマCSIのようにはいかないことが想像出来ると思います。もしも16万858体全てを検視したら、検視官1人あたり 8207体にもなり、1日あたり約22.5体も検視する事になりますから、物理的にそれは不可能ということが判ると思います。

番組で扱われた鳥取県の事件に関して、鳥取県警に配属されている検視官は2名だそうです。この数は特に少ない訳ではなく大半の自治体警察はこの程度の人数しか検視官の定員がないのが現状です。

さらに深刻なのが、司法解剖を行う専門医の不足です。司法解剖は大学医学部に設けられている法医学教室などで、法医学の専門知識を得た医師(大抵は教授や准教授)によって行われます。全国でこの資格を持つ医師は184人(警察庁が資料で公表している鑑定嘱託医数は132人)しかいません。しかも大学に対する国の助成金の削減が続く中で、教室の運営経費が危機的状況に置かれて います。国公立大では、平成10年度から20年度までの10年間で、年度予算は3,571千円から1,909千円に削減され続け。10年前の47%になっ てしまっています。そのため医学部での教員の定数を減らす傾向が強り、法医学教室も例外とはされず、教員数は減少傾向にあります。(現在既に18人減)法 医学を目指す医師が将来就職出来る場が狭まる現状を知る医学生は、当然法医学を目指さず、人材の確保育成すら危機的状況に陥ってるのが現状です。

その上、この法医学教室への解剖依頼には、行政解剖においても行われるので、その負担が重くのし掛かります。行政解剖については、実は各地方自治 体が監察医制度を運用して、独自に解剖を行うべきものが、予算措置などの都合で行われずにきてしまったしわ寄せともいえるものです。現状は非常にお寒い限 りなのです。例えば、2007年度に行われた司法解剖数は6,446体、行政解剖数は1,263体となっています。

(この日本法医学会のレポートを是非ご一読ください)

日本は先進国の中でも殺人事件が少ない安全な国とされてきましたが、実際は死因究明制度の不備により、本来殺人事件であるものが見逃され表面化し ないために、統計上は殺人事件が少ないという話しであるとしたら、国民に信じられてきた安全な国は既に崩壊しており、しかもそれは行政の怠慢という話しに なります。そしてその原因と理由が予算が掛かりすぎるからであるのだとしたら、日本国憲法にいう、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権 利を有する。」(第25条【生存権、国の生存権保障義務】)点に違反してると言わざる得ないという気がします。何故なら、遺体の死因究明は何も犯罪の実証 にのみ寄与するのではなくて、医学的な死因を究明することで、国民への健康指導や特定疾患への医療の取り組み強化などいった行政の取り組みの指針となる訳 ですから、元来国民福祉の観点からも取り組むべき問題なのです。

先進国の大半は、こういう視点で死因究明制度を運用しているというのを、日本の行政も政治も見て見ぬふりをしてきたのは、其処に正義という利権にも票にもつながらないが、予算だけは喰うという不利益を先に見ていたからでしょう。

では、どう解決するかですが、無論予算的な措置の裏付け無しには行えませんが、これをややこしくしているのが、検視も含めて死因究明制度の所管官 庁が、警察庁、文科省(大学を所管しているので)、厚労省(医師法などを所管)、総務省(自治体行政も関係する)と多岐にわたってしまっているからです。 いわゆる縦割り行政の弊害が出て来ていると言えるでしょう。

法医学会では、全国の自治体毎に『死因究明医療センター』の設立を提案しています。法医学者や法務医の受け皿となる機関です。警察の所管ではなく これは厚労省や総務省の縄張りにする部門です。現在東京や大阪・神戸にある監察医務院の拡充と全国への拡大という話です。学会側は警察などの司法当局とは 一線を画した独立した研究機関としての存在を模索しているようです。死因の究明が医学の進歩や医療行政の

警察側は検視官の大量増員が必要です。少なくても今の10倍は必要でしょう。

検視官の半分は、医師免許の取得者とする技官採用枠を設けて処遇も一種採用に准ずるべきです。それで医学部法医学専攻学生の受け皿をまずは用意出 来ますから。採用時警部補で現場経験を積んで警視。最終警視監まで進める制度にすべきです。もちろん全員が国家公務員で検視官は警察庁から全国の警察に派 遣される形を取るべきです。

残りの半分は警察官出身者を抜擢して警視とした者。どうしてそういう制度が必要かと言えば、犯罪現場での捜査に関する経験と知識が検視に関しても 必要だから。ただ死因が判明しただけでは犯罪捜査は終わりません。犯人の特定に結びつく捜査のための資料を提供する、検視も捜査の一貫であるという観点か ら言えば必要なのです。

本当に日本の行政は必要な所に金を掛けず、利権や利鞘のあるところに湯水の如く金を回すという野放図な事をやり続けてきました。民主党政権が『モノから人へ』という予算策定の視点を持つのなら、人を育てるという観点を是非にも持って欲しいと思いますね。 

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