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2010年2月26日 (金)

トヨタ公聴会の見方

「トヨタ自動車の豊田章男社長は24日の米下院の公聴会でトップ自ら謝罪と反省を繰り返すことで、大規模リコール(回収・無償修理)問題の収拾の糸口にすることを狙った。議会側は豊田社長の低姿勢ぶりは好感したものの、肝心の欠陥隠しの有無などでもあいまいな答弁には、いら立ちを隠さず、トップ登場が米国でのトヨタ不信一掃につながったとは言い難い状況だ。 ただ、欠陥隠し疑惑の焦点である、顧客からの急加速に関する苦情を認識した時期について「社長就任前で正確には分からない」と答弁。議会側が問題視してきたトップの問題解決能力やリーダーシップを疑わせるもので、米消費者の不安を広げさせかねない。」

公聴会を英語で書くと「hearing」。要するに意見を聞く場を設けること。何処に設けるかというと、この場合は国会において。アメリカだと議会においてと言う話になります。公聴会は裁判ではありませんから、今回だとトヨタ自動車の立場を抗弁する場として捉えても全然問題なし。それを批判する勢力はいたとしても、それで善悪を決めるのは、それこそ裁判じゃないのですから無意味です。

今回トヨタの豊田社長に、下院の公聴会へ出席するように招請状を送った張本人は、下院監視・政府改革委員会委員長であるエド・タウンズ下院議員(民主・ニューヨーク州選出のベテラン黒人議員)。同委員会は、政府調達、省庁サービス、IT(情報通信)政策などの問題について調査する権限を与えられているのですが、自動車産業と直接利害関係のある委員会のようにも思えませんね。だからこそ、日本では”これは下院議員達の政治ショーだ”という事前評が出ていたのです。

私のような人間から言わせれば、これはイジメ・嫌がらせの類です。

では、どうして虐められるのか?

それは、沖縄の基地問題にはじまる日米同盟の修正を、日本の民主党政権が始めたから。それまで日本政府と合意してきた米軍再編に関する日米の約束事が反故、もしくは一方的に変更を迫られようとしているからではないですか?つまりは、江戸の敵を長崎で討たれたんです。トヨタ自動車は日本産業の顔です。そして世界の自動車工場であったアメリカ自動車産業を崩壊させた立役者。プライドを傷付けられたと思ってる勢力以外でも、判りやすい日本への圧力になりますから。

既に日本政府内ではこの圧力を深刻に受け止め始めてはいませんか。

例えば、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、沖縄県議会が2月24日に、県内移設に反対する意見書案を全会一致で可決した事に対して、平野博文官房長官は同じ日の記者会見で、「こういう議決ということは理解した」とだけ述べるに留まりました。前述には、「例えば沖縄で(地元の)理解を得ていくということであれば、県民の負担軽減と安全の確保が一番の原点だ」と述べ、市街地にある普天間飛行場の危険性除去を最優先し、県内移設の可能性もあり得るとの見方を改めて示していたのですから、意見を変えたとは受け取りにくいです。

北沢俊美防衛相は23日の記者会見で、普天間移設問題で「案がかちっと固まりこれでとなるのか、複数の案が出てきた中で組み合わせるのか、いろいろな形が想像される」と述べています。これはアメリカと複数の移設案を協議する可能性を示しています。その協議の上で「一つの案が固まって、表に出てから折衝に入るのは難しいと思う」と述べ、移設案を公表せずに対米交渉に入るとすらしています。恐らくそこで日本政府が妥協案として持ち出すのは、国民新党などが有力視するキャンプ・シュワブ(同県名護市)陸上部への移設案でしょう。アメリカはあくまで原案の辺野古沖での建設を求めてくるのは確実です。

肝心の小沢一郎幹事長は、移設問題に関しては「政府が判断する話だ」としながらも、「あのきれいな海を埋め立てることは考えられない」とも述べ、現行案である米軍キャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部への移設に否定的な考えを改めて示したとも言われていて、そもそも民主党としては自民党政権の置き土産をそのまま飲む気は無いとアメリカに示しています。

結局、最後は鳩山総理の決断次第。無論その決断に非難囂々なら鳩山内閣は総理の辞任という形で消え去り、次の総理が出て来る事になります。いわば沖縄の基地移設問題は踏み絵にされる。その政治ショーを見ながら、アメリカ議会は更なる日本叩きを行い、日本の輸出主体の産業界から政府に非難や圧力が加わるように仕向けてくるでしょう。

元々、アメリカ民主党政権は、日本の突出に批判的です。クリントン政権の8年で日米関係はどうだったか。それを調べたら得心がいくと思いますよ。

さてさて、話を公聴会に戻しましょう。

この公聴会は日本の国会でも開かれています。参考人招致なんて言葉がありますが、あれも公聴会に類したものです。それで提案なのですが、この際リーマン・ブラザーズの当時の社長や幹部を公聴会に招請し、議事堂の一般席には中小零細企業の倒産の憂き目に遭われた社長さん100名を招待し、どうしてリーマンショックは起きたのか。誰の責任なのかという意見聴取をやってみてはどうですか。

日本のこの不況は、日本政府が無策だったからじゃない。アメリカが悪いんだ!という世論形成を日本政府がやり始めたら、アメリカ政府はどんな顔をして、次の手を打ってくるか、興味本位で良いなら見てみたいですね。

最後に、先日の2月15日に、インディアナ州選出のエバン・バイ上院議員(民主党)が突然、今年11月の中間選挙には出馬せず、議員を引退する意向を発表したのを御存知でしょうか。バイ議員は、オバマ政権の副大統領候補リストに最後まで残っていた民主党の大物議員の1人です。父親も上院の重鎮だった政治一家サラブレッド。保守色が強いインディアナ州で、60%以上という高い得票率で過去2回の当選を果たしていて、今回も3選は確実視されていました。それだけに突然の引退表明は衝撃的でしたが、それ以上にショックを与えたのは彼の引退理由です。

「(議会にいるよりも)民間にいた方が、雇用を創出し、若い人の教育を支援するなど、より意味のあることができる。議会は、国民の真の利益になることよりも、愚かな党派主義と党略にだけ支配されている。与野党ともに歩み寄りということを知らない」

引退表明と同時に発した、「I don't Love Congress」(連邦議会を愛していない)、 「Congress is not operating as it should,」(議会は機能不全を起こしてる)は、そのまま新聞各紙に取り上げられました。

アメリカ議会の公聴会がややもすると正当な議会運営で、そこへトヨタは呼ばれて吊し上げられてるんだから、トヨタは悪いことをしたんだろうと、何となく感じてる皆さんは、この上院議員の発言をどう受け止められたでしょうか?

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コメント

 公聴会の開かれた日に放送されたTV朝日の報道ステーションでも同じように言ってましたね。コレには少しビックリでした。

 まぁ、それはさておき、日本のマスコミやいわゆるインテリさんはアメリカ民主党を御贔屓にされる方が多いのですが、実際には日本の突出を嫌うというか、中国大陸に目を向けていて日本を邪険に扱うことがままあります。
 そういったものを見ていると物事の判断を自分たちの反対する目標物に対してのみで、皮相的な見方しか出来ないから、それまでの政権党が接近しているアメリカ共和党を嫌ってアメリカ民主党に肩入れをしているのだと思わざるを得ない。この先のことを考えるとお笑い沙汰のような気がするのだがね。

 公聴会ネタで一つ追加しておきます。

 日米の自動車生産会社から発生する「リコール」の件数ですが、2008年度の段階でアメリカ国内の企業から発表されたリコール件数はビッグスリーで総計12000件余、一方のトヨタは700件足らず。この数字を見てどう思いますか?
 ある人はトヨタのリコールって、そんなに少なかったの?なんでアメリカで問題になるの?と困惑するでしょう。でも、アメリカビッグスリーの数字を見てこんなにリコールがあるなんて欠陥自動車を生産しているのかなと考えたりするときに「アメリカビッグスリーがこれだけリコールを出すというのは正直なんだ。逆にトヨタはリコールを隠しているんじゃないの?不正直じゃないの?」と考える人も出てくる。そこにアメリカの議会関係者の思惑が絡んでいるとすれば話の筋立てが見えてくるのではないですかね。
 私はへそ曲がりなのかなぁ(爆)

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