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2010年3月

2010年3月 2日 (火)

IQを勘違いしないで

「東京・池袋で臨床心理士らが実施した調査で、路上生活者の34%が知能指数(IQ)70未満だったことが分かった。調査グループによると、70未満は知的機能障害の疑いがあるとされるレベル。路上生活者への別の調査では、約6割がうつ病など精神疾患を抱えている疑いも判明している。それによると、IQ40~49=10人▽IQ50~69=46人▽IQ70~79=31人だった。調査グループは「IQ70未満は統計上人口の2%台とみられることからすると、10倍以上の高率」としている。先天的な障害か、精神疾患などによる知能低下なのかは、今回の調査では分からないという。調査グループは、IQ40~49は「家族や支援者と同居しなければ生活が難しい」▽IQ50~69は「金銭管理が難しく、行政や市民団体による社会的サポートが必要」▽IQ70~79は「日常生活のトラブルを1人で解決するのが困難」と分類している。 」

知能指数を示すIQですが、よく勘違いされてるのに、IQが高い人は”頭の良い人”だというのがあります。IQは中央を100とした数値で、90~110の間に半分の人が納まるように標準化されています。これを標準偏差に直すとしたら、85~115が1σの範囲です。偏差値風に言えば、偏差値60はIQ115、偏差値70はIQ130になります。

IQはパソコンで言えばCPUの性能値のようなものです。要するに見たり聞いたりした情報を処理する能力の高い低いの判定値です。ですから、有能な学者とか、抜きん出た才能を示す芸術家がIQの高い人だとは限りません。彼等は、応用力や想像力において、人よりも秀でていますが、集中力を有している分、同時に多数の問題を処理する能力に長けているとは限りません。むしろ集中力があり過ぎて、他の問題は忘れてしまったり、処理出来なかったりする場合の方が多いでしょう。過去のノーベル賞の受賞者には、IQが140を超える人は(判明している範囲内で)1人もいないそうです。

ですから、よくIQ160の天才という風な言い方をしますが、それは単純に云えば情報処理能力の高い人=天才とした場合のお話しだと言うことです。「昔は神童、今は凡人」と言うように、IQが高い人は学校教育の高校まで、つまり答えがある問題に関しては、同時に何教科の情報も処理出来る方が成績も良く、従って秀才という扱いになります。しかし、大学に入り答えのない問題に独自に解を見付けるという作業を求められると、統計や平均を取るような作業にはたけていても、そこから問題点を見出して、独自の解釈を考え出す作業は苦手です。有名大学に入ったものの、そこでの評価は平凡そのものという秀才は沢山いるのです。

皆さんは、ある人と話をしていて、イライラさせられたり、あるいは話が噛み合わなかったりした経験がお有りだと思います。それは相手との性格の違い、もしくは好みの違いだと思いがちですが、実際のところはIQの違いだと言うことが出来ます。IQの高い人は情報量も多い会話を好みます。相手の言葉を聞き取って、その多くの情報を処理して、相手が興味を持つ返答をするのにもIQは必要です。相手のIQが低いと、こちらの話の全てを瞬時に処理することが出来ず、順番に処理をして、まずはその言葉の解答を用意するという作業をすることになり、どうしても会話がチグハグになります。それでIQの高い方はイライラしてしまい、ついつい態度が高圧的になるので、あの人とは話しにくいという関係になってしまいます。

ただ此処で勘違いをしてはいけないのは、だから相手が馬鹿だとは言えないということです。例えばですが、私と鉄ヲタさんが鉄道の話をしたとしましょう。特急列車の名前とかダイヤでは話があっても、列車の番号とか編成、はては技術的な話しになったら、私は聞き手に回って相づちを打つ以外には何も出来ません。ひとつのことしか話題が無くても、その内容が深い場合もあります。多くの話題を持っていても、底が浅い聞きかじりという場合もあります。鉄道に興味のある人なら、そういうひとつのことに深い知識を有している人を馬鹿とは思わないでしょう。

ですから、呉々もIQが低い人はホームレスになるんだとは思わないで下さい。

さて、知的障害などを有しているにも関わらず、セーフティーネットで保護されないで、万引きや簡単な寸借詐欺(食い逃げ)などの犯罪を重ねて、刑務所に入っている人が最近問題視されているのを御存知でしょうか。一説では服役囚の4人に1人が知的障害者だそうです。知的障害者が罪を犯すと、自らを弁護する能力を持たないため、警察や検察に言われるがままに供述調書に署名するケースがほとんどだとか。100円の林檎を万引きして、裁判の結果懲役刑になる場合もあるのです。(累犯と言って何度も万引きを繰り返して裁判沙汰になっていたりする場合)

統計的にいうと人口の2~3%程度の知的障害者が存在すると言われています。日本の場合、その数は約300万人程度と推察されるのですが、その中で障害者に認定され療育手帳を取得し公的福祉サービスを受けている人の数は約46万人に。残りの障害者の多くが、福祉の網から漏れたままだとされています。現実的には、福祉の網から漏れた知的障害者も含めて、彼等への公的福祉サービスは存在しないに等しいのです。特に身寄りのない場合、つまり高齢者には、それを救済するサービスが存在していません。厚生養護施設は3ヶ月程度しか障害者を受け入れてくれません。身寄りのない障害者の場合は、その3ヶ月後には社会に放り出されるのです。当然のこと、頼る所がありませんから、その多くがホームレスのような生活をする事になります。記事が言うIQの低い人の中には、そんな制度の矛盾から放置された人が多数含まれているように思います。

最後に、IQは加齢と共に低くなる傾向にあります。学生時代にIQが140台あった人でも、50才代で計測し直してみると100台になっていたなんていうのはざらです。なのに、今の世の中で年を重ねて地位が高い人ほど、多くの情報を毎日処理しなければならない立場になります。それ故に、余裕を無くして、数字で処理をしてまう。自分の処理能力が低下してることを素直に認めて、やり方を工夫することが大切ではないでしょうか。

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