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2010年4月20日 (火)

目立たない目立ちたがり屋の焦り

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「アメリカの新聞「ワシントン・ポスト」は14日付のコラムで、核セキュリティーサミットに出席したリーダーの中で鳩山首相が「最大の敗者」と酷評した。理由として、鳩山首相側が日米首脳会談を要請したにもかかわらず、公式の首脳会談が実現しなかったことを挙げている。 一方、最大の勝者はアメリカ・オバマ大統領と90分間会談した中国・胡錦濤国家主席で、「アメリカにとって中国が重要な存在であることを印象付けた」と指摘している。」

記事の内容に入る前に、まず「ワシントン・ポスト」社について。

アメリカの新聞にも全国紙と地方紙があるのですが、どちかといえば地方紙が根付いているお国柄です。そんな中で全国紙の発行部数でいえば第五位に位置するのが「ワシントン・ポスト」社。日刊66万部だそうです。

「ワシントン・ポスト」社と聞いて私が連想するのはボブ・ウッドワード(Bob Woodward)という有名記者の名前です。『大統領の陰謀――ニクソンを追いつめた300日』はあまりに有名ですが、ブッシュの戦争』(日本経済新聞社, 2003年)、『攻撃計画――ブッシュのイラク戦争』(日本経済新聞社, 2004年)、『ディープ・スロート――大統領を葬った男』(文藝春秋, 2005年)、『ブッシュのホワイトハウス』(上・下、日本経済新聞社, 2007年)など、政治の現場を取材した力作も多い彼ですが、一記者がニクソン大統領を辞職に追い込んだという話をどうも日本の一昔前の知識人はえらく高評価し、それを支援した「ワシントン・ポスト」社も立派な新聞社だと思い込んでしまってる感があるのですが、この新聞社は昔から日本が嫌いで、共産中国に寛大です。日本風に言えば左翼系の新聞社ということになりますね。

まあ、日本だと「朝日新聞」に毛の生えたような論調だと思っておけば間違いないでしょう。だから中国を持ち上げてるのは当然で、その分日本を落として効果を狙ってるという案配です。ですから内容にそう引っ掛からないでもいいのです。

ただ、アメリカ国務省からして、鳩山総理にスルーしているのは事実です。例えば以下のアドレスでフォトギャラリーを見てみたら判ると思います。

無論スルーするには事情があります。公式には今回鳩山総理とオバマ大統領の間に公式会見が有りませんでした。非公式には、今回のサミットはいわば核兵器テロを抑止するのが目的の集まりです。核兵器を持たない日本がしゃしゃり出てきて、唯一の被爆国とか、核爆発の悲惨さを強調されたら、それは何時かは核兵器を人類に対して初めて使用した国は何処かという話に行き着きます。そりゃ困りますよ、何せ主催国が当事者ですから。しかも当時の国際法に照らしても(非戦闘員に対する無差別な攻撃の禁止)、非合法な行為であったのは明らか。サミットの目的が転換しちゃいます。

前述しましたように今回のサミットは、核物質の安全確立と、核兵器及び核物質の管理強化に向けた国際的な合意を取り付けるのが目的です。共同声明でも、核テロを「国際安全保障への最も重大な脅威」と位置づけ、各国が責任をもって、保有する核物質や核施設の防護、安全維持、核流出の防止対策を講じていく方針を打ち出しています。(ワークプランはこれです)

逆に言えばこのような会議に世界から47カ国もの首脳がワシントンに馳せ参じると言うことは、トム・クランシーの描いた『恐怖の総和』(The Sum of All Fears)のような核テロが現実味を持っている時代なのだと云うことなのですが、どうも日本ではそういう風には受け取られていないようです。ちなみにアメリカにこれだけの首脳が集まるのは国連が戦後に作られた際以来だそうで、クリントン国務長官は異様に張り切っていたそうです。あの人はその程度の人なんですね。

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日本の一昔前の知識人さん達は「Nuclear Security Summit」という英語を理解出来ないようで、

平野博文官房長官は9日午前の記者会見で、鳩山由紀夫首相が12-14日に訪米し、ワシントンで開かれる核安全保障サミットに出席することを正式に発表した。首相は同サミットで「核兵器なき世界」の実現を訴えるオバマ米大統領への支持を重ねて表明する方針だが、公式の日米首脳会談は見送られる。(産経新聞)


なんて政府の官房長官が言い出す始末。テレビなどでも訳知り顔で「唯一の被爆国としてハッキリモノを言うべきだ」とか云って、話をすり替えてしまいます。その上こんな場で普天間の話を持ち出すべきだと云うのを誰も疑問に思わない。

おいおい、核テロの脅威は日本だって充分すぎるほど可能性があるはずでしょう。何故って、沿岸部にこれだけの原子炉がある国は他にはないんですよ。原子炉を爆破するだけでも被害は出るし、メルトダウンを制御室を占拠して起こすこともあり得る話だし。ましてや日本は米・ロの次くらいに核兵器の原料を貯め込んでる(原子炉で燃やした燃料を廃棄物という形で集積している)潜在的な核兵器開発予備国ですよ。IAEAが一番監視している国のひとつだと言っても過言じゃありません。国際原子力機関(IAEA)の事務局長は日本人なくらいですし。

だからこそ、このサミットに出席した以上は、日本は東シナ海を含めて日本が制海権を発揮出来る海域と空域で、核物質の不正な動きを監視するために、海自や海保、情報機関などを動員してあたり、アメリカ政府とも共同歩調を積極的に進めたいと、非公式会談で云うべきなんですけどね。

ここで普天間問題の話を出すのは、いわば親友の結婚式に出席して、新郎に昔の彼女の話をし出すよなもので、そりゃKYだよとアメリカ側に批判されても仕方がないんですが、どうもそれを思い至らないで、日米同盟に亀裂とかいう的外れな批判をしたがるのはどうして?と云いたいですね。要するに日米同盟を悪くしたい意図でもあるんでしょうか?

評論家もマスコミでニュースを伝える制作者も、ましてや与党の首脳陣はせめて、以下の文章くらいは目を通してから、このサミットのコメントを出して欲しいモノですけどね。

核テロリズムの行為の防止に関する国際条約
核物質防護条約(CPPNM)
国連安全保障理事会決議(国連安保理決議第)1540

何時もながら、こんな外交音痴のマスコミ、評論界、そして政治家ばかりに、嘆息するばかりです。

PS

浮かれてるという意味では、次のサミット開催国である韓国もこの決定に鼻高々な様子。隣国のヤクザ国家が核兵器を脅迫と交渉の道具にしてる当事国だからこそ、次のサミット開催までにその問題を解決してねという無言の圧力なのを判ってらっしゃらないのは何故なのでしょうか?

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コメント

韓国が隣国の核政策について意味も無く楽観的になるのは「同じ民族だから我々に向けるはずが無い(目標は日本のはずだ)」と根拠も無く思い込んでいる。さらに北の体制が崩壊したら労せずして核兵器(技術を含む)が手に入ると考える向きもある。勿論コレも根拠は無い。それにしても、朝鮮動乱(朝鮮戦争)が休戦状態になってから何十年も経ち、世代が変わってしまうと自分たちの国が戦時下にあるという認識も薄れてしまうのだろうか?日本もある面そうなのですが、米国の力の存在が当然過ぎて逆に邪魔になっているような気になっているのかも・・・。

twitterをはじめました。異邦人名義でやってます。

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