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2010年7月 9日 (金)

利権の付け替えを急ぐあまりの暴言か?

「菅直人内閣の要である仙谷由人官房長官が7日、記者会見の席上で、政府として、韓国に新たな戦後個人補償を検討する必要があることを示唆した。仙谷官房長官は、1965年に締結された日韓基本条約で決着済みとされる日韓間の補償問題について「法律的に正当性があると言って、それだけで物事は済むのか。改善方向に向けて政治的な方針を作り、判断をしなければいけないという案件もあるのではないかという話もある」と述べた。 韓国のメディアは、日本の菅直人政権が、植民地時代の強制徴用者などに対する日本政府による補償に関して、これまでの政権と違う積極的な立場を見せているとして、社会党出身で先進指向の仙谷長官が植民地支配をめぐる個人請求権問題に対して、政府レベルの補償を検討していることを示唆したと伝えた。日韓強制併合100年を迎える今年、日本は両国関係のターニングポイントになる政策を出すことができるのか期待されるとしている。クォン・チョルヒョン駐日韓国大使は8日、記者懇談会で「前向きで重要な意味」と評価。日本政府が今年中に韓日強制併合100年に関連した首相談話などを出すならば、そこに補償問題解決法の方向が提示される可能性があるとの見方を示した。しかし、仙谷長官が指摘したように、日本国内の世論がさらに成熟しなければ、政治的反発が起こるため、民主党政権としても大胆な問題提起をすることは難しい状況だ。 その上、請求権問題がすでに解決されたという前提の下で施行する補償政策は、対象と程度に限界がある。実際にこの戦後個人補償が成立するためには、越えなければならない難関があまりにも多いとの声も上がっている。」 (サーチナ)

仙石官房長官のある意味では、選挙のための意図的なミスリードが、思わぬ波紋を広げてしまい、日本国内向けの話がアジア全体に広がる話になってしまいました。その背景には中国のメディアの影響力があったと見るべきでしょう。

仙石官房長官のいう(日韓間の補償問題について)「法律的に正当性があると言って、それだけで物事は済むのか。改善方向に向けて政治的な方針を作り、判断をしなければいけないという案件もあるのではないかという話もある」を素直に読めば、一部戦後補償に漏れている人にも救いの手を差し伸べるべきだという風にも解釈出来る訳で、例えば親日家や統治下で日本側の管理として働いた人々は、韓国では冷遇され、虐待に近い扱いをされてきたんだから、彼等に日本は補償をしたいとかいうんだったら、それはそれで意見に傾聴する価値はあると思います。しかし、どうにでも取れるように、具体的な事例を挙げて見せなかった点を見ても仙石官房長官が外交的な発言の重みに関して、全くの素人であり、自分の発言が及ぼす重大な影響を斟酌出来ない素人政治家であることも明らかですから、この点は批判を強めていかないと大変なことになると思います。

しかし、これが何時の間にか個人補償の問題にすり替えられて、そういう意思が日本政府にあるような風に流布されてしまったのは、何故なのか?そこをちゃんと冷静に見ていかないと、すり替えた人達の意図に載せられてしまいます。

個人補償を真っ当に取りますと、日本が韓国を統治していた時点に遡り、その損害を補償すると取れてしまいますね。

そんな補償をした国は歴史上皆無です。まして既に戦後補償を終えてるのに、再度検討するという国などありません。そう書くとドイツはユダヤ人に対しては補償したじゃないかという反論をくらいそうですが、それは日本の一部のインテリさんが或る意図を持って流した誤報です。実際には、ドイツ政府・ドイツ司法界は、戦後一貫して「戦争被害の補償請求は自国政府に対してのみ行える」という立場を変えていません。つまり第二次大戦の戦争被害に関する補償は、原則的にドイツ人にしか行わないというスタンスです。無論、当時はドイツ人だった人々の為には行われます。

ユダヤ人へに関しては、『ルクセンブルク協定』により、「故郷や資産を失ったユダヤ人難民・犠牲者をイスラエル、ないしは新たな祖国に受け入れさせていくための編入費用」を援助してきましたが、これは個人補償や賠償ではないというのがドイツ政府の正式見解です。このあたりは『戦後のタブーを清算するドイツ』(亜紀書房)という本を読まれればよく判ると思います。この本から参照すると、ドイツの戦後処理は、

◎ドイツ国民の戦争被害に対する補償(約28兆円)
◎ホロコーストなどナチスの迫害に対する補償(約7兆円)→(大部分はドイツ人)
◎他国の戦争被害に対する補償(手つかず)→ソ連に対しては東ドイツが占領地からの略奪を「賠償」という形で追認しています

なのでドイツは個人補償を行っているというのは、それがドイツ国民であるという厳密な条件付きだと言う話です。

仙石官房長官に、我々有権者が求めないといけないのは、もしも個人補償を考えるのだとしたら、まず日本人に対する戦後補償が先でしょうという視点です。

東京大空襲の死者は10万人とも20万人とも言われていますし、広島・長崎の死者数は、それぞれ14万人と7万5千人です。これらの人々の遺族に戦後補償したことは一度もありません。まして、国家総動員法により動員された国民への補償などあり得ないというのが従来の日本政府のスタンスです。では、どうして、韓国や中国などに対して、戦後補償とは謳わないモノの、海外援助という形で多額の費用を支出してきたのかと言えば、そういう名目でなら世論は金銭の拠出をみとめやすいという雰囲気をつくり、世論を形成したからですし、補償という名の利権に政財界が群がったからだったといえるでしょう。

穿った見方をしたら、そうした利権構造は自民党側に形成された訳ですから、それを封じ込めて、民主党政権としての利権構造を確保したいという意図が根底にはあるのかも知れません。どうして、そう言えるかと言えば、日本には北朝鮮との国交正常化後に戦後補償問題が生じるのは必然だからです。1965年の日韓基本条約において、日本が韓国政府に支払った補償金額は、援助という形ですが、無償で3億ドル、有償で2億ドル、民間借款で3億ドルだったそうです。合計して8億ドルでした。有償と借款分の6億ドルは低利な利子で貸し出したお金ですから、無償の3億ドルに絞って計算をすると約1兆800億円になりそうです。。日本は統治時代に様々なインフラなどに国費を投じ、各企業も韓国へ進出するなどしたため、韓国国内に日本人が残した資産は約53億円(約20兆円)。これらの一部はつい最近まで韓国で見掛ける事が出来たほど、韓国の復興に役だった筈です。しかし、韓国国民はそれを長く知らされませんでした。韓国政府は個人補償を行わずに、真正国家の建設に全て流用し、国として使う事に決めたからですが、仙石官房長官の発言が大いに韓国で喧伝されるのは、日本が初めて戦後補償をするという誤解に基づいての部分を多々あるでしょう。

私に言わせたら、それだけの補償をしたのに,まだ不十分というのでしょうか?という気分ですがね。

韓国に個人補償をしたら、次は台湾、そして中国、フィリピン、インドネシア、ミャンマーなど同様の補償を求める裁判が次々日本で起こされるでしょう。

自民党利権の解体を急ぐあまり、民主党政権の面々には、日本の国益がどうなろうがしったことではないと言わんばかりの此の横暴ぶり。日曜の選挙ではちゃんと投票したいモノですね。

最後にですが、この記事の配信元は「サーチナ」という日本にあるポータルサイトです。同社の主要ニュースソースは中国国営通信社の中国新聞社で、社長は中国・福建省出身の端木正和(日本での通名)という中国人です。ニュースソース側の情報操作は当然あるモノとして読まないと、配信記事に上手く載せられてします。この点を敢えて最後に書いておきます。

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コメント

日本人の外交ベタをこれほど如実に表すものはありませんね。
明日の投票は這ってでも行かないと大変なことになる。
まさにそんな気持ちにさせられます。

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