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2010年12月

2010年12月15日 (水)

これは怖いですね


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「菅直人首相は10日夜、朝鮮半島有事の際に北朝鮮による拉致被害者を救出するため、自衛隊派遣の可否を含めて政府内で議論していることを明らかにした。都内のホテルで開かれた拉致被害者家族らとの懇談で語った。拉致被害者救出のために自衛隊を活用することは、拉致被害者家族会と支援団体の「救う会」が政府に要望していた。」 

”半島有事 自衛隊派遣含め検討”って、さも管政権が初めてこういう事を考えたという話にしたいのは見え見えなのが情けないですね。 

半島有事は今に始まった話じゃない訳でして、1994年前半には日本政府が「朝鮮半島有事」を想定 
しての議論を散々政府内でやったのは、1987年から1995年まで内閣官房副長官(事務方)を務めた石原信雄氏の著作を読めば判ります。 

日本政府が作成したとされる計画案は、朝鮮半島の危機状況を5段階に設定し、各段階で予測される北朝鮮の出方と日本政府の対応を策定しています。 

第1段階では、安保理の非難決議と部分的「制裁」に伴い、北朝鮮への渡航自粛勧告、日朝間の航空機乗り入れ禁止、共和国船舶乗組員の行動制限または上陸不許可の措置を取る。 

第2段階では、国連の包括的「経済制裁」決議を受けて、閣議決定で対策本部を設置し、北朝鮮との輸出入や取引禁止、外国為替管理令、輸出貿易管理令の一部改正、朝銀への指導監査強化などを行う。

第3段階では、国連の海上封鎖に伴い、米軍への施設・区域の提供を決定し、米軍と自衛隊の調整機構を発足させると共に自衛隊の治安出動や海上警備行動の命令を検討する。また、破防法による朝鮮総聯の活動制限、「ミサイル攻撃」に備えた避難対策も取るとしている。 

第4段階では、国連が北朝鮮への武力行使を含むあらゆる手段の行使権限を付与する決議を採択し、米国が在日米軍施設・区域を直接戦闘行動の発進基地として使用するために日本と事前協議をすることを想定して対応を準備する。日本政府は自衛隊に防衛出動待機の命令を下し、有事法制の国会審議を行うと共に、韓国在留日本人への避難勧告、破防法による朝鮮総聯の解散指定を行う。 

第5段階では、米軍などによる北朝鮮への直接攻撃開始に伴い、安全保障会議が防衛出動を答申、首相が国会承認を得て防衛出動を命令することになっている。 

という具合です。 

陸自の普通科連隊では、こうした計画案に基づいて、邦人救援に備えた訓練を積み、常に一定の部隊が輪番で待機しています。笑えないのは、その隊員は全員がパスポートを本部管理中隊に預けているという話です。査証は公用旅券でしょうが、命懸けの海外派遣任務が公務出張扱いなのですか? 

つまり、その手の法整備がまだまだ手つかずなのです。 

そんな現実を知らずに、管総理は拉致被害者を自衛隊が救出する作戦が実行できるかのような発言をしているのだとしたら、これは怖いですね。

2010年12月14日 (火)

あさがお

「飛鳥時代の女性天皇の斉明天皇(594~661年)を葬ったとみられる奈良県明日香村の牽牛子塚(けんごしづか)古墳の範囲確認調査で、隣接する未知の古墳が新たに見つかった。9日発表した村教委によると、牽牛子塚とほぼ同時の7世紀後半に造られたとみられる。斉明天皇の孫の大田皇女(おおたのひめみこ)の墓とみられ、667年に斉明陵前に葬ったという日本書紀の記述通りの発見となる。別の古墳を斉明陵としている宮内庁の陵墓指定に見直しを迫る成果となりそうだ。」

牽牛子塚(けんこしづか)古墳は、奈良県高市郡明日香村大字越にあります。宮内庁は天皇陵として、この古墳を指定していませんので、今回の発掘調査が可能になりました。古墳自体は大正12年3月7日に国の史跡に指定されたほど、昔から知られていた古墳です。ちなみに、牽牛子とはアサガオの別称です。

この古墳は八角墳という形で、この形態は古墳が作られた年代で云えば後期にあたります。

次に、斉明天皇は、天智天皇と天武天皇の母にあたる女帝です。ちなみに、皇極天皇という女帝と同一人物でもあります。なお同じ人間が再び皇位につくことを重祚といいます。彼女の父は敏達天皇。母は吉備姫王(きびひめのおおきみ)という皇女。長じて、舒明天皇の皇后となり、中大兄皇子(天智天皇)・間人皇女(孝徳天皇の皇后)・大海人皇子(天武天皇)を産んだとされています。

夫の欽明天皇の死後、女帝として即位。約3年の在位の後、娘の間人皇女が嫁いだ孝徳天皇(在位:645年7月12日 -654年11月24日)に皇位を譲るために退位。その孝徳天皇の死後に重祚した。この時も息子の中大兄皇子が天智天皇となるまでの中継ぎを務めた。

○皇極天皇(642年2月19日- 645年7月12日)*第35代天皇
○斉明天皇(655年2月14日- 661年8月24日)*第37代天皇

牽牛子塚の隣の墳墓の被葬者として上げられている大田皇女(おおたのひめみこ)は天智天皇の娘に当たる皇女。没年は667年2月だと日本書紀にはあるので、661年8月24日に没した斉明天皇の墳墓の側に葬られても不思議ではありません。

天皇陵の墳墓を堂々と調査できる希有の機会。発掘の成果がまたれます。

私は誰に助けを求めたらいいのでしょう?


「菅直人首相が朝鮮半島有事の際に自衛隊による邦人救出に言及したことが内外に波紋を広げ、政府は火消しに追われている。北朝鮮の軍事的挑発で緊張感が高まっているとはいえ、韓国側では過去の植民地支配に対する国民感情に配慮しない「不適切な発言」(朝鮮日報)に反発も出ている。仙谷由人官房長官は13日の記者会見で「韓国との関係で日本の自衛隊が何らかのことができるのかどうかは、いまだ全く検討されていないし、当然のことながら協議はない」と明確に否定した。発端は首相が10日の拉致被害者家族との懇談会で、北朝鮮にいる拉致被害者を自衛隊が救出できるよう韓国側と協議を始めたと受け取れる発言をしたこと。11日には在韓邦人の救出を念頭に置いていると修正したが、韓国側と協議する考えを改めて示した。自衛隊法には緊急時の在外邦人輸送の規定があるが、安全確保と相手国の同意が前提となる。戦闘地域への派遣はそもそも想定されていない。 仙谷氏は「頭の体操もやっておかないとならないが、歴史的な経緯があるから簡単な話ではない」と述べ、首相の発言は「頭の体操」にとどまるとの認識を示した。安住淳副防衛相も12日の民放番組で「こちらの意思だけでは、なかなかうまくいかない」と戸惑いを隠さなかった。」

「国民の命(人命)は地球よりも重い」と云って、総理の独断に近い形で、捕らえられていたテロリストを超法規的措置により解放することで(ついでに身代金もつけた)、人質となっていた邦人を解放させたのは福田赳夫総理でした。当時のその判断は賛否両論を招いたのですが、世界ではテロリストと取引をしたと批難と嘲笑を受けただけでした。

それでも今の内閣から比べたら国民の命を総理の地位を捨てでも守ろうとしたことは確かでしょう。

さて、まず注目しておかねばならないのは、このマスコミの視点です。

北朝鮮の軍事的挑発で緊張感が高まっているとはいえ、韓国側では過去の植民地支配に対する国民感情に配慮しない「不適切な発言」(朝鮮日報)に反発も出ている。

朝鮮半島有事に際して、在留邦人を救出することと、過去の歴史問題をリンクさせていいのでしょうか。自衛隊による救出活動を韓国政府が反対することも想定して、在韓米軍の飛行場を使用する秘密交渉をしてでも用意するべきと思うのですが。

現行の自衛隊法では戦闘地域(要するに戦場)に邦人救助のための自衛隊派遣は出来ません。そもそも自衛隊法では国外での戦闘地域においての活動を想定していません。しかし、過去にその戦闘地域を「イラク復興支援特措法が定める「非戦闘地域」の定義について、「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ」と云った総理がいました。早い話、総理が邦人救助の為に派遣される自衛隊の部隊が活動する地域を非戦闘地域だと判断したら、自衛隊は出せるという話です。

今朝鮮半島の緊張は少し解けてきています。それでも戦争が始まれば在留邦人の救出をしないといけない事態になります。その場合の検討を今の内閣は真面目にしているのか?

「頭の体操もやっておかないとならないが、歴史的な経緯があるから簡単な話ではない」

一応はやっているというスタンスだそうです。何というのんびりなお話しでしょう。というか1993年の北朝鮮のテポドン発射実験から翌年に掛けての緊張状態の中で、日本政府は真剣に朝鮮半島からの在留邦人救出を検討したそうです。その延長線上に自衛隊法の改正があったのですが、戦闘地域への派遣に関しては棚上げになったまま放置されています。本来ならこの機会に世論を喚起して、この問題を前進させるというのが急務なのですが、どうもこれも今の内閣は手をつける気は無いようです。

この話題について、夏川和也(元統幕議長・元海幕長)氏が、こういうエッセイを書いています。長文ですが敢えて引用させて頂きます。

『朝鮮半島で戦争が始まったら』

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3000
 
仮定の話であるが、「外国で武器の使用を伴う暴動が発生し、在留邦人の一刻も早い引き揚げが問題になっている。国境は閉鎖され、空路を使用した行動が唯一の方法である。政府は航空会社に打診したが、航空機の安全が確保されないという理由で拒否された」という状況になった時、日本政府はどんな策を取るのであろうか。そして、それは国民が期待しているものなのであろうか。

邦人輸送という任務

自衛隊が保有するC-130輸送機。しかし、海外の邦人救出に使われることはない。自衛隊には邦人輸送という任務がある。自衛隊法に述べられている要旨は「外国における災害、騒乱その他の緊急事態に際して生命または身体の保護を要する邦人の輸送を行うことができる」ということである。一見、自衛隊機で救出できそうであるが、決めつけるには続きを読まなければならない。その前に、そのような事態があったのか、どのような事態で、どの様に対処したのか、二、三の例を挙げてみる。

①1985年、イラン・イラク戦争時

イランは日時を決めて、それ以降上空を飛行する航空機は警告なく撃墜すると宣言した。テヘランに残された邦人216人の一日も早い離脱が必要であった。日本政府は民間航空会社に臨時便の要請をしたが、危険であるという理由による組合の反対により実現しなかった。日本人仲介者の努力により、トルコ政府の承認の下、トルコ航空が特別機を派出、救出した。

②1997年、アルバニアにおいて政府の失政に端を発した治安の急速悪化により、在アルバニア外国人の生命が危機に陥った報道によれば、銃撃戦のある状況下ドイツ空軍機により邦人は救出された。

③1997年、カンボジアにおいて2大政党系軍が衝突、銃撃戦になった。日本人を含む多くの外国人が国外に避難した。その中には440人の邦人のタイ軍用機による救出を含む。日本政府は邦人輸送準備のため、タイのウタパオ海軍基地に航空自衛隊機3機を待機させたが、情勢の安定化に伴い撤収した。

④1998年、インドネシアで暴動発生。5000人近い邦人の多くは、日本政府がチャーターした航空機や民間の臨時便等により国外に退避した。邦人救出に備え、政府は海上保安庁のヘリコプター搭載巡視艇及び自衛隊機をシンガポールに待機させたが、暴動が沈静化したため、撤収した。

アルバニアのケースは緊急性も危険性も高く、あらゆる手段を用いて救出の努力をすべきであるが、時間的に間に合ったとしても自衛隊機を派出しなかったであろう。カンボジア、インドネシアのケースでは、自衛隊機や海上保安庁のヘリコプター搭載巡視艇を近辺の国に待機させ邦人救出に備えたが、事態が銃撃戦を伴う厳しい状況では出動させなかったであろう。なぜか?先に紹介した自衛隊法には続きがある。すなわち「当該輸送の安全が確保されている場合に行うことができる」となっているのである。安全が確保できない状況では行動しない自衛隊機が、上記のような状況で邦人を救出するために行動するはずもない。何かおかしくないだろうか?むろん、やみくもに行けばいいというものでもないが、基本的には危険を冒してでも救出してくるのが自衛隊なのではないか。国民の生命と財産を守るために武器を保有し訓練を重ねた自衛隊は、あらゆる困難を克服してその任務を果たすべきであり、隊員たちはそのように宣誓をし、そのような覚悟を持っている。また、国民もそのように期待しているのではないか。しかし、できないのである。全く自衛隊が役に立たないということはないし、この法律が有名無実であるということでもない。民間機が離発着できない飛行場での運用も可能であり、刻々と変わる情勢の中で千載一遇の機会を捉えて救出することもあるであろう。だとしても、本質から眼を逸らすわけにはいかない。私は本論の中で「輸送」と「救出」という言葉を使用している。輸送とは人・物をある地点からある地点まで運ぶことであり、救出とは困難な状況にある人を危険を冒してでも、その環境から平易な場所に運ぶことであろう。自衛隊法に記載されている「邦人輸送」は「邦人救出」であることを、国民は期待していると思う。なぜ、そんなことになったのか。

名古屋高裁は2008年4月17日、自衛隊のイラク派遣について、航空自衛隊の空輸活動が違憲だとの判断を下した。なぜこんなことになったのだろうか。乗組員や機体の安全を考えてのことか。軽視するわけではないが、もちろんそうではない。憲法制定時から自衛隊創設時の論議、さらにはそれ以後もずっと引きずっている防衛論議、すなわち自衛隊の行動は災害派遣等武器の使用を伴わない場合を除いて国内でもできるだけ控える、ましてや海外での武力行使はしない、ということの延長線上にあると思う。自衛隊の武力行使を認めることに関しては、事象が生起するたびに問題になり議論された。簡単にいくつかの事象を追ってみよう。

*カンボジアでのPKO(平和維持)活動に従事する陸上自衛隊が個人装備として携行する小銃の数が1丁なのか2丁なのかで、議論されたことがある。

*アフガニスタンでの復興支援に当たる陸上自衛隊の派出に当たって、武器使用の可能性の関係から戦闘地域であるかどうかが問題になった。全国土がテロの恐怖にさらされている国で、特定の場所だけの安全が保障されるはずがないのに。

*フランスから核燃料を日本へ輸送するという事案があった。輸送船舶には、過激な団体の武力を使用しての奪取から核燃料を守るために護衛をつける国際規約がある。当然、海上自衛隊の護衛艦が当たるべきであろうが、海上保安庁が通常の任務では使用しない大型の巡視船を建造、大砲を搭載して派遣された。

実際のケースでは、アルバニアの場合のように他国の救援機が搭乗を許すだろう。しかしそれは余力のある時だけである。ギリギリの状況になれば他国民より自国民を優先するのは、自明の理である。飛行場に集まった色々な国の人たちそれぞれが自国からの救援機で脱出していき、日本からだけは救援機が来なくて取り残されたとしても、自衛隊の海外派出に反対した人たちは自説を曲げないだろうか。国民は黙ったままでいるのか

私は、一般の国民は「なぜ救援に行かないのか」と怒り狂うであろうと思う。そして、これまでその様な行動に反対してきた人たちでさえ、そのことを忘れたかのように非難を強めるであろうと思う。実際にその様な事例があった。一昔前になるが記憶には新しい阪神淡路大震災により、神戸を中心に惨憺たる被害が発生した。その救援・救助にはあらゆる機関・団体・法人・個人がそれこそ必死の思いで当たった。その中には陸・海・空自衛隊もいた。中でも、近傍の伊丹に所在する陸上自衛隊中部方面隊隷下の部隊はよくやった。しかし指揮官である総監は、出動が遅かったと報道陣から糾弾されたのである。確かに発生から間を置かず部隊を出動させなかったが、隷下部隊の準備が遅れたのではない。なぜか?自治体との不十分な協力態勢、およびそのことによる情報伝達の混乱という状況下で大部隊を動かすことに躊躇があったと思われる。 またそこには、「自衛隊は出来るだけ使わない」という歴史的な考え方が作用したのかもしれない。報道を国民の声、期待とするならば、総監の行為はその期待に応えられなかったことになり、国民の非難に晒されることになった。国民にとっても、自衛隊にとっても不幸なことが待っている。

ところで、自衛隊の行動に関するすべての条文は「…ができる」という表現になっている。
なぜか?それは既に述べたように、自衛隊は出来るだけ行動しないようにという考えで法律が作られているからである。自衛隊は原則として行動させない、行動させる場合だけを法律に記載するという考えである。従って行動に関する全ての条文が「・・・ができる」という表現になっている。「このような権限の付与の仕方をポジリスト方式と呼ぶ」(色摩力夫・元チリ大使)。

横道にそれるが、このような法体系では当然のことながら法に記載されている以外の行動は一切できない。それは想定以外のことには対応できないということであり、情勢の変化に応じた対応もできないことになり、対応は遅れ遅れになることになる。一方、「諸外国では軍隊の行動は国家主権の行使であり、原則自由、例外的制限を設けるネガリスト方式を取っている」(同元大使)。この際、不測の事態が生起した場合、根拠法規がどうであれ、現実に大きな被害が生起しているのであるから状況に応じて柔軟に対応すべきであるという指摘があるだろう。しかしそれは当たらない。法律を運用する場合、条文を趣旨に照らして解釈し良い結果を追求するということはあり得るが、趣旨に反することはすべきでない。一度行われれば例となり、それが蔓延していくからである。

毎年4兆円もの税金をつぎ込んで維持してきた自衛隊が、必要な時に適切な行動を取れないとしたら、国民にとっては不幸であろう。自衛隊員にとっても、営々と訓練を重ねてきたのに国民の期待に応えられないということは、不幸なことである。放置したままでは将来に禍根を残す課題は多い。邦人輸送を例に取って所見を述べてきたが、新潟沖の不審船事案関連・領空侵犯対処等の法制上の問題、訓練の制約の問題、武器輸出三原則・調達等装備に関する問題等、さらには我が国防衛の根幹である日米共同に関わる基地・集団的自衛権等々、放置すれば将来禍根を残すと思われる課題は多い。

国民の期待と自衛隊の行動が合致するような法体系、態勢・体制の整備を、前もってかつ抜かりなく行っておくことが必要である。そのためには、国民が我が国の防衛に関心を持って議論を深め、自衛隊に何を期待するのかを明確にしていくことも重要なことである。ちなみに、阪神淡路大震災のケースでは、防衛庁(当時)内の規則が改正され、出動の判断が明確になった。またこれを契機に、地方自治体の防災担当部署に自衛隊OBが採用され、計画の作成や調整に当たっているところが増えてきた。

仮に第二次朝鮮戦争が勃発したら、さて政府は在留邦人の救出をどうするのでしょうか?

色々と検討しているが、現行の法律では邦人救助は戦闘地域でない場所でしか救援活動は出来ないと言い逃れるのでしょうかね。

当分の間は、ソウル旅行は控えた方がいいのだけは確かです。

2010年12月 9日 (木)

武家の商法

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/101209/biz1012091138007-n1.htm

「JR西日本が、関西国際空港と新大阪、京都などを結ぶ特急「はるか」で臨時運行となっている昼間の12本について、来年3月のダイヤ改正で運行を取りやめることが9日、分かった。利用者の伸び悩みが原因といい、来春以降、昼間は上下線それぞれ1時間に1本の運行となる。JR西によると、「はるか」は平成6年の関空開港に合わせて、運行を開始。1日の乗降客数は8年度で4800人だったが、21年度には2100人と半分以下に減少。昼間に空席が目立ったため、JR西は今年3月のダイヤ改正で、昼間の6往復12便を定期運行から臨時運行としていた。しかし、関係者によると、その後も改善しないため、臨時運行も取りやめることになったという。JR西は来年春以降について、快速電車を増やし、利便性を損なわないようにするという。」

記事にもあるように、今年=2010年の3月13日のダイヤ改正から、「はるか」は日中の6往復が毎日運転の臨時列車化され、ついでに西九条駅への停車を取り止めになってました。理由は乗車率の悪さに尽きますが、こうなったのはJR西日本の空港連絡列車の位置付けを見誤ったことが一番大きいと思います。

「はるか」は要するにJR東日本の「成田エキスプレス」を意識した(真似た)企画に始まったことが、この斜陽のそもそもの始まりです。

関西で一番人口が多い大阪市の人間は「はるか」を利用しません。

環状線経由で関空快速という普通列車が出ています。大阪駅から関西空港まで74分で結びます。肝心の「はるか」は大阪駅には止まらないで、新大阪駅から環状線経由で天王寺駅を経て関西空港には83分で到着です。大阪駅と新大阪駅は普通列車で3分ほど。新大阪から貨物専用線を通り、福島から環状線に乗り入れるのは殊の外、時間がかかるものです。

こんな高くて普通列車と大して変わらない特急を、利に聡い大阪人が乗る訳がありません。

だから「はるか」に乗るのは、関西空港が遠い京都や滋賀の人間と、新幹線を利用して関西空港へ乗り継ぐ地方の人だけ。それで乗客数が維持できる訳がないのは自明です。

では、「はるか」をどう建て直したらいいのか。

北海道に、新千歳空港と札幌や小樽、旭川などを結んでいる空港連絡列車があります。「快速エアポート」というのですが、この列車は普通列車です。(一部の快速エアポートは特急スーパーカムイ車両が使用され札幌~旭川は直通の特急になります)

この快速エアポートには、全便に指定席uシート(リクライニングシート)が連結されています。300円の追加料金で利用可能です。青春18切符でも利用が出来ます。

「はるか」の成功モデルは、これではないでしょうかね。座席指定料金は500円(京都~関空)、300円(新大阪・天王寺~関空)という二本立て。車輌は4輛編成で2輛が指定席車、2輛が自由席車。朝6時から毎時0分と30分で最終は関空23時30分発。京都発は22時30分発。このダイヤなら天王寺辺りからの通勤客も拾えます。

儲からないから、車両数を減らして、余計に利用者の利便性を奪うのは、結局廃止につながるだけ。特急という看板に拘るのは愚かなことです。

2010年12月 5日 (日)

現代の源氏物語になったノルウェイの森

「映画『ノルウェイの森』は、1987年に刊行された村上春樹の同名ベストセラー小説を、松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子、玉山鉄二ら豪華キャストで映画化し、美しい映像で原作の世界観を表現した渾身(こんしん)の一作。」

『ノルウェイの森』はバブルの後半に発売されて、瞬く間にブームになり、2009年までに1000万部越えをしている現代文学の金字塔といえる作品です。この記録は小説作品としては歴代第一位。

私は思うのです。

誰もが、その名前は知っている『源氏物語』。この源氏物語をちゃんと読んだ人は日本人の何%なんだろう?

エッ、そんなに偉そうに言うお前はどうなんだ?

私の場合は、大学が国文学科です。中世文学講読という授業の中で、しかも原文で読まされました。別のコースもあったのですが、そちらは徒然草を草書体で書かれたオリジナルのテキストでの講義でしたので、それは無理と思い選択させられたようなもの。故に今でも我が家には、岩波書店版の日本古典文学大系に収まっていた源氏物語が揃っております。ただし、源氏物語は義務で読まされましたので、楽しんで読めた訳じゃありません。

『ノルウェイの森』も、その内に平成の『源氏物語』になるのではないでしょうか。だって、あれだけ売れた小説なのに、粗筋が云える人は如何ほどでしょう?私の周辺にも「ノルウェイの森は持ってるんだけどね・・・」という人が結構いますので。

誰もが素人

「6日間の公判と3日間の評議の末、法廷に並ぶ市民が初めての重い決断を下した。強盗殺人罪などに問われた住所不定の無職、池田容之(ひろゆき)被告(32)に16日午前、求刑通り死刑を言い渡した横浜地裁の裁判員裁判。電動のこぎりなどで男性2人の首を切るという、せい惨な事件。遺族に謝罪し涙も見せた被告に与えるべきは、生か死か。こわ張ったようにも見える裁判員の横で裁判長は「控訴を勧めたい」と語り、「罪と罰」のはざまで市民らが苦悩した様子をにじませた。」

裁判員裁判が、死刑判決を出さないと"お前等被害者の感情を理解出来ないのか”と騒ぎ、死刑判決を出したら”人の命の重さをどう感じているのか”と騒ぐ。

裁判員は国民から選ばれた人々です。国民の判断を国民は受けとめるために彼等は選ばれた筈なんですが、何が不満でマスコミはいちいち、裁判員に判決後に圧力をかけるかのようなインタビュー取材をかけるんですか?

政治家も素人、マスコミも素人、何処に玄人がいるのでしょうね?

最近は売春婦も素人だもんね(´ω`)ノシ

開いた口がふさがらない時

「仙谷由人官房長官は16日午前の記者会見で、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオ映像流出を巡り、関与を認めた海上保安官の逮捕が見送られたことについて「私の立場として申し上げることは何もない。逮捕という手段を昨日の段階で取らなかっただけで、罪になるかならないかは分からない」と捜査を見守る考えを示した。一方、海上保安官が「国民に見てほしかった。私の行動は正しいと思う」とコメントしたことについては「司法警察員としての身分を持つ人が資料を流出させて、国民に見てもらいたいなんて、私は想像できない。捜査資料を流出する捜査機関を(国民が)信用できるのか」と厳しく批判した。」

今回の海上保安官の逮捕に関して、最高検察庁は神戸地検に対して厳罰で臨めと指示を出していたそうです。しかし神戸地検はそれに抗して逮捕を保留する方針に固執しました。これはある意味で最高検への抵抗ですから、上を向いている人なら遠慮したい判断です。

そうまでして、今回の判断をしたのは、政治介入を避けて、検察の独立性を保とうとする動きに出ているのだとしたら、それは沖縄地検の屈辱への反応だと云えるでしょう、

仙石官房長官は、その指揮をした人物ですから、検察に裏切られたようなものでして、そりゃ面白くないでしょうね。

でも、考えてみて下さい。

あの事件が起きた直後に、ビデオを公開して、マスコミに流していたら、中国だって一応は文句はいえども、逮捕と送検までは何にも言わなかったでしょう。その後で暫くしてから国外追放にでもしていれば、騒動は大きくならず、誰も面子を潰さなかったろうに。

何事も全体像を見ずに、その場凌ぎをしたら何とかなるなんて言う事が、外交問題である筈がないのに、この人は補佐すべき管総理にそうさせたんですから、この問題が終息したら詰め腹でも、追い腹でも斬らないと男が廃ります。

まあ、革命家なんてのは命懸けの信念がないとできないのに、この国と来たら革命家も素人ですからね。

あぁーあ!

さて、今回の漏洩事件で世論は、海上保安官に同情的でした。沢山の部内者が見られた代物ですから、これは確かに送検も難しいでしょう。しかし、これが悪しき前例になった時に、世論はまた支持するとは限りません。だからこそ、法律があるのです。

法に従って粛々と手続き通りに処理をすることは、だからこそ大事なのです。

それを政治判断という手法で枉げたのは誰でしたでしょう?

政治主導というのは、ルールを枉げる事じゃありません。ルールを新たな視点で解釈して、政治思想に基づいて再構築することなのです。弁護士という法律の専門家が横車を押して、その結果が日本の政官界の大混乱。中国にしたら、これは瓢箪から駒の気持ちでしょう。

後世の歴史家が、彼を裁くのは何時の日になりますかね。

死に体の内閣と呼ばれて

「仙谷由人官房長官は18日午前の参院予算委員会で、自衛隊について「暴力装置でもある」と述べた。質問者の世耕弘成自民党幹事長代理の抗議を受け、直後に発言を撤回したが、野党から批判が強まりそうだ。発言は、防衛省が関連行事の来賓に政治的発言を控えるよう求める通達を出したことに関する質問への答弁。仙谷長官は「公務員の世界では、(言動に)政治的中立性が求められる」と指摘、「暴力装置でもある自衛隊、軍事組織でもあるから、シビリアンコントロールが効かなければならない」と語った。これに対し、世耕氏は発言の撤回と謝罪を要求。仙谷長官は「不適当だった。撤回して実力組織と言い換える」と述べた」


管政権は閣僚の失言や放言が多すぎます。

ツイ数日前も、寿司職人になるために東大の教養学部を辞めて、8年後に東大工学部に再入学して卒業したという変わった経歴の法務大臣がジョークのつもりで云わないでも良いことを放言して問責になったばかりです。

仙石官房長官は、弱腰外交を柳腰という迷言を以前に云ってますし、今回の自衛隊は暴力装置だも、こりゃ或る意味本音が出てますが、政府高官が公的な場で口にして良い言葉ではありません。

確かに軍事組織は暴力装置です。だからこそ、政治はその統制に腐心するのだし、外交の後ろ盾になる訳ですよね。虎の威を借る狐という言葉がありますが、その虎の牙を抜いてしまえば、狐だって相手にしないでしょう。軍事組織から暴力を取ったら何が残るのでしょう?

今の政府高官の不用意な発言で、そのうち5.15事件や2.26事件の二の舞が起きないことを祈りますよ。

拝啓仙石官房長官様

ロシア革命を主導したレーニンは、その著書『国家と革命』の中で警察や軍隊を「暴力装置」と批判的に表現しています。レーニンがロシアで革命を起こそうとしても、つねに立ちはだかってくる国家機関が警察と軍隊であったのですから、それを批判し否定するのは常套手段と云えるでしょう。

この思想の影響を受けたのが、安保闘争期以降の日本の左翼思想家達です。もちろん、その当時の革命ごっこにかぶれた若者も自分達の頭で考えもせずに、レーニン的な揶揄の意味で軍隊を「暴力装置」という表現するのを無条件に受け入れてしまいました。それが流行していたから、ただそれだけの理由です。

しかし、「暴力装置」という表現は、政治学や社会学においても、国家の物理的強制機能を指す言葉として多く使用されている事を知っておかないと、皆さんも時代遅れの左翼思想家にされてしまいかねません。

社会学的な見地から「暴力装置」(Organized violence)という表現を規定したのがマックス・ウェーバーでした。ウェーバーはこう言います。暴力に実質的に対抗できるのは同等の暴力だけである。つまり、暴力を統制するためには、より強力な暴力、すなわち「組織化された暴力」(Organized violence)が社会の中で準備されなければならない。現代社会に於いては、それが軍隊・警察に相当するのだと。

何だか小難しい話になっていますが、要するに、刃物を持って人質を取っている人間に対抗するためには、こちらもそれ以上の武装をしていることを相手に知らしめないと、その犯罪は解決できないということです。丸腰の警察官が、銃を持っている犯人に立ち向かい、説諭して、投降させるなんていう芸当は、『太陽に吠えろ』の頃で終わっています。(あの刑事ドラマもある意味レーニン的思想背景にあったとも云えますね)

たしかに、暴力は人間の尊厳や人権をおびやかすものです。あらゆる対立は非暴力的な手段によって理性的に解決されるべきだというのは、世界中の如何なる宗教もそう説きますし、人類何千年の歴史から生まれた高尚な思想であり、社会の規範(法律)とされるのは当然のことです。しかし、その規範が正しく実施されるとは限らないのが人の世の常でもあります。暴力を失った国家は理想郷でしょうが、他国が暴力を持って攻めてくれば、それで滅びるのは誰が考えても当然の帰結です。

そのためには、暴力に対抗するための必要な(必要と国家が考える範囲の)暴力は用意されているべきだというのが、ウェーバーのいう「暴力装置」の意味なのです。この論理を利用したのが、「MAD(Mutual Assured Destruction)=理論相互確証破壊」という核戦争の仁義です。核兵器を配備している国家と対等に渡り合いたければ、貴方も核兵器を配備しなさいというのは、リアリスト的な視点に立てば何等不合理ではないということになりますね。

ただし、この「暴力装置」は国家が独占しておかないと困ります。誰かの私兵として動かれたら、それは暴力団や盗賊と何等変わらないからです。ヴェーバーは、この点についても発言しています。

合法的(正統)な暴力の独占(monopoly on legitimate violence)は、一定の領域において単独の主体(国家)が暴力に関する権威・権限を行使する状態を定義したものであり、このような独占が正統のプロセスを介して生じなければならないと。(『職業としての政治』)

イラク戦争を始めたブッシュ政権が、その正統性を国内外から厳しく指弾されたのは、戦争行為の決定(暴力の行使)が正当なプロセスを経てなされたのか?という点であったのは、皆さんも記憶されていることと思います。

さて、先の仙石官房長官の自衛隊は暴力装置だと云う発言は、レーニン的思想背景に基づいてなされたものか、マックス・ウェーバー的思想背景に基づいてなされたものか、この点が真っ当な国なら問題になっているのですが、誰もそんなことは云いませんでしたね。

仙石氏も、世耕代議士の追及に対して、「私はマックス・ウェーバー的思想背景に基づいて自衛隊のシビリアンコントロールは正常になされねばならないという意味で、そう申し上げた」とでも言い逃れを云えない、この教養もユーモアもない議会の情けなさ。官僚政治を政治主導にすると云う公約を掲げた政権の中心人物が、この程度なのにですよ。

仙石官房長官には、是非ウェーバーの『支配の社会学』(Soziologie der Herrschaft)を一読されることをお勧めします。

ウェーバーは云います。そもそも社会全体に影響を与える行政活動から政治性を排除することはできない。しかし官僚制は政治性を排除し、非政治的なものへと変容させ、合理化進めるものである。これは官僚制の有効性であると同時に、官僚政治の原因にもなり、そのことは「政治の貧困」をもたらし、価値観の対立や討議という政治の意義が失われることにもつながるのだと。

延坪島って何処?

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「「もう島には帰らない」―。北朝鮮の砲撃を受け、軍の統制下に置かれている韓国西方沖の延坪島からは24日も前日に続き、住民約350人が海洋警察庁の警備船2隻で仁川港に避難してきた。この日は高齢者や子供の姿が目立ち、今も砲撃の恐怖が脳裏から離れない様子だった。警備船が入港した仁川港の岸壁では、バスや救急車が十数台待機。到着後、大半の住民は仁川市内の宿泊施設に移動したが、中には下船後直ちに担架に横になり、そのまま救急車で搬送される人もいた。ある女子中学生は砲撃当時の学校の様子について「『バン』という音の後、廊下の窓ガラスが割れ、地震が起きたように建物が揺れた」と証言。停電となった校内では悲鳴が響き、避難中に恐怖のあまり涙をこぼす生徒もいたという。仁川市が24日午前に島内を撮影した映像によると、砲撃を受けた地区では家屋の窓ガラスが粉々に割れ、屋根や壁も吹き飛ばされていた。火災で住宅の壁面は真っ黒に焼け焦げ、廃虚と化した家の中でまだ火が残っている所もあった。砲弾が着弾したとみられる道路には穴が開き、砲撃のつめ跡を深く残している。」 

延坪島は報道されているように、北朝鮮の領土のほんの側にある韓国領の島です。北朝鮮側の大睡鴨島や長在島には、今回の砲撃を実施したと思われる北朝鮮軍の砲兵陣地があると云われています。

私は延坪島と聞くと、韓国海兵隊の駐留場所というのを真っ先に思い浮かべます。駐屯している防衛部隊の主力です。

第6海兵旅団(通称:黒龍旅団)本部:西海五島
*第6水陸両用偵察部隊(6th Amphibious Reconnaissance)
*西海五島駐屯部隊(5 Island Garrisons in the West Sea)


報道でも伝えられてるように、この島は朝鮮戦争の休戦時に国連軍側が一方的に休戦ラインとした38度線の内側になった島で、北朝鮮は長年この島を韓国領としては政治的には認知してきませんでした。

ですから、この島に住むというのは、今回のような事態を覚悟しなければならない宿命の元にあります。当然、島には避難壕も用意されていますし、今回も其所に避難できた人は、安全が保てたようです。

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つまり、日本のマスコミが報道しているような、普通の平和の島が砲撃を受けたという話ではありません。朝鮮半島は休戦状態であるということも忘れてはいけませんし。

アメリカの第七艦隊は、当面は黄海の手前にある海域で米韓合同演習を実施しながら、事態の推移を見守ることになります。韓国軍は当面は延坪島への増派をどうするかで対応に追われるでしょうが、まずは海軍が領海内で敵の海上侵攻に備える動きを見せています。海上封鎖になれば、島民の避難も難しいでしょう。

今回の北朝鮮による砲撃の真意は、まだよく判りません。ただ、ひとつ言えるのは、春にあった哨戒艦の沈没事故と、この砲撃は繋がっているひとつの事態であるということです。

韓国軍は砲撃に対して対抗上の報復攻撃を実施しています。ですから、これから攻撃がエスカレートしていかない限りは、今回のみの事態で終息されるのは確実です。

日本では拳銃を一発軍事組織が発砲しても戦争が起きるという論調になりがちですが、これでも戦争にはなり得ません。無論、日本が何処かの国に先制攻撃をすることは法的に出来ません。ですから、自衛隊がいるから戦争が起きるという話でもないのはよく理解出来る事例だと思います。

尖閣衝突事件も、今回の延坪島砲撃事件も、いわば力の行使=蛮行を全面に出した武断的な方法論が、自国のイメージを悪くするということを承知で行っています。その結果は、事態を最悪へと導くだけのようです。


現実世界はシビアなり

「韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は25日午前(日本時間同)、青瓦台(大統領府)で緊急安保・経済点検会議を開き、北朝鮮砲撃事件を受け、北朝鮮近接海域に位置する、延坪島を含む韓国領の島々(西海5島)の戦力を大幅増強することなどを決定した。」

この韓国の動きを軍事的に見ると、延坪島を含む韓国領の島々(西海5島)の戦力を増強する方法は船での輸送でしょうから、まずその船の安全を確保するために、周辺の北朝鮮の攻撃力を削ぐ行動に出ないとおかしいことになります。具体的には空爆による砲兵陣地の破壊などです。

それを韓国が今しないのは何故でしょう?

韓国政権は云ってることは勇ましいですが、現実はかなり堅実で冷静です。それには当然理由があります。

まず、そんな事をしたら、38度線に展開している北朝鮮軍の砲兵陣地からソウル市内に、今回の砲撃の数百倍の攻撃を仕掛けることが出来ますから、現実的にはそれを考えているでしょう。それを防ぐには、先制攻撃に出てそれらの陣地を全て破壊することしか有りません。そうなると韓国は戦争を始めた事になりますから、北朝鮮の同盟国である中国が堂々と参戦する言質を相手側に与えてしまいます。北朝鮮と中国の合同部隊と韓国軍が戦うことは、韓国の亡国につながります。米国も中国と全面対決になる事態は相当な覚悟がないと望まないでしょう。もしも米国が後ろ向きだったら、冷や汗ものですから。

ええー、自国領土を砲撃されて、国民が死んでるのに?

全面戦争を望まない(そう言う態勢が採れない)場合は、受けた被害に相当する反撃をする以外は暴走せずに、冷静に事態を推測することが大事と云うことですね。

延坪島を含む北朝鮮に近い韓国領の島々に兵力を増強することは、或る意味では北朝鮮の覚悟を試す行為だと云うことです。この増派部隊を攻撃してきたら、これは米国とも相談の上で全面反撃に出る可能性があると、中国ルートや独自ルートで北朝鮮首脳部にメッセージは送られているでしょう。

日本でも、つい先日の尖閣での問題で、海保の巡視船と中国の漁業監視船が砲撃なり銃撃なりの対戦をしていたら、似たような事態を招いていたでしょう。

武器を保持しているから戦争が起きるのだとか、武装組織を保有しているから戦争になるのだというお話しの虚しさは、こうした事態を突きつけられると如何にバカバカしいかが判ると思います。

要するに武力は使わない方がいいが、限定的には反撃しないといけない場合もあるという冷静な軍事力の管理と行使を考えないいけないのに、それを考えることをタブーにしてきた日本のおかしなメンタリティーも、もう許されない時代になってきたと発想を変えていかないといけない気がします。

冷戦は、今世紀は太平洋において再現されると覚悟するべきでしょう。この覚悟をしないと、日本は国として成り立たなくなる可能性があると思います。長く辛い外交の戦いは数十年は続くと考えて、長期的な国家戦略を組み立てられる政治体制を我々は求めるべきだと思います。

最後にですが、制海権・制空権のない地域にある孤島は、いくら数百万の兵力を置こうとも、それを守ることは出来ないと言うのが、太平洋戦争で日本人が得た教訓です。

教育制度の転換点なのに

「大学入試センターは30日、来年1月15、16日に行われるセンター試験の志願者数(確定値)が3年連続で増え、前年度より5615人多い55万8983人になったと発表した。センター試験を入試に使う大学・短大は過去最多の829校。募集人員総数に対する志願倍率は約3.0倍で、4年連続で過去最低レベルとなった。志願者のうち高校3年生の割合は79.1%。高3生に占める志願者の割合は、センター試験が始まった1990年度入試以降増え続けており、41.5%になった。」 

国立大学(今は独立行政法人)も、少子化の中で見たら、まず無料化という私学との差別化を目指さないと、いけないと思います。ただし、国費で学生を教育する以上は、当然のこと対費用効果を厳密にしないといけません。

この際は、全国の国公立大学を、東大・京大・東北大・九州大・北海道大に集約してしまうとか。ただし、独立採算でやって行けてる大学は除きます。医学部があって、付属病院などがあるところは残る可能性が高いと思います。

それにしてもセンター試験は何時まで続けるのでしょうね?

早く、全国高等学校進学資格試験とかに変えられないモノでしょうか。これは、高校生で進学を希望する学生がその資格を問われる関門です。これを通らない人は国立私立を問わず大学進学はできない代わりに、合格者に授業料などで国が援助をして勉学の負担を軽減する仕組みを考えるべきでは。

マスコミはあまり報じませんが、今の日本の弱小私立大学が中国人留学生の在留許可を得るための機関に成り下がってるのをご存じですか。都内に住んでいる人はもう実感しているはずです。深夜のコンビニやファーストフードの店員は中国人の若者であることを。

血のしたたるリンボーダンス

「李大統領は、「北朝鮮の挑発に対し耐えに耐えてきた…これ以上の忍耐と寛容はより大きな挑発を招くということをわが国民は明確に知ることになった」と話した。その通しだ。耐えに耐えていまは忍耐の限界を越えた状態だ。いま国民は怒りが爆発する状況だ。天安艦爆沈に対する談話でも李大統領は同じ話をした。李大統領は、「われわれは北朝鮮の蛮行に対し、耐えに耐えてきた…しかしこれからは変わるだろう…北朝鮮は自身の行為に相応する代価を払うことになるだろう」と強調した。だが変わったことは何もない。そのために国民は半信半疑しながら空虚さを感じている。青瓦台も政府もこのような国民的感情を十分に感知しているだろうと考える。警告だけ繰り返すのは2度とあってはならない。」

まず、一つ脱線を。

李明博大統領は非戦闘員への攻撃は国際法違反だと厳しく北朝鮮を指弾しましたが、休戦下の国境線の島に、領有権を有効にするために住まわせてる住民は本当に非戦闘員なのですか?非戦闘員を戦争により殺戮しないというルールは、米国が日本に対して堂々と破ってくれていますが、北朝鮮は今回の大統領談話のこの部分を、ほら韓国政府が米国政府にお願いをしてると喧伝してもおかしくないお話しです。

日本のマスコミも、北朝鮮の攻撃は非道とか報道してますが、貴方のお祖父さんやお祖母さんは子供の頃にそういう非戦闘員への無差別攻撃の下で生き残るのに必死な思いをした人達だっている筈なんですよ。そこは取材しないのですかね?

さて、韓国軍の戦争能力が、金大中政権と盧武鉉政権の間に経済重視政策という名の元に弱体化させられた結果、歪な姿になっていたことを、李明博大統領は知ってしまい、本心で驚愕したのでしょう。

韓国人は強がりを云う癖がありますが、それは人並み外れた高いプライドに起因しています。それはまた、不安や恐怖の裏返しでもあります。朝鮮民族はそうやって、大国中国の圧政に対してきたのです。

それでは北朝鮮は精鋭なのかといえば、これは韓国軍以下の戦争能力でしかありません。強味は犠牲の数が政権の維持に影響しないということくらい。地雷原を兵士の身体で啓開することも可能です。

お互いに戦えない軍隊と知りながら、北朝鮮軍を30日で崩壊させる米軍という助っ人を有する韓国。米国が一番戦いたくない中国軍を後ろ盾にする北朝鮮。要するに小競り合いや紛争は可能でも全面戦争になったら、どちらの国も崩壊して、あとは38度線で中国領の朝鮮民族自治区と、米国の保護領が出来るだけ。無論その保護領の維持経費の半分は日本が出さないといけないのですが。その代わり、米国は沖縄の米軍基地を全て保護領へ移すと云うでしょう。

それで、残るのは嘉手納という日本のアジア向けハブ空港。広大な空き地と地代を失った地主。空洞化した産業と元基地従業員の雇用確保優先による失業率の上昇。基地対策費の無くなった自治体の財政難。

否応なく沖縄経済は崩壊するでしょう。沖縄県が鹿児島県になる日も近いと、我が郷里では従兄弟の県職員が嘆息してました。

だから朝鮮有事は他人事じゃありません。

末路が見えてきた

「自民党の逢沢一郎国対委員長は30日の記者会見で、29日に参院本会議場で行われた「議会開設120年記念式典」に際し、民主党の衆院議員が秋篠宮殿下ご夫妻に「暴言」を吐いた可能性があると指摘した。逢沢氏は議員の特定は避けたが、「事実関係を確認する必要がある」と述べた。自民党議員などによると、この民主党議員は、壇上で起立のまま天皇、皇后両陛下の入場を待たれていた秋篠宮殿下ご夫妻に対し、議場から「早く座れよ。こっちも座れないじゃないか」などと発言した。」 

不敬があったと指摘する逢沢一郎国対委員長自身が携帯電話を鳴らすという不敬をやったので、これは或る意味自分の失敗隠しに取られかねませんけどね。

それにしてもですが、「日本国憲法 第1条」

天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。


という基本中の基本を国会議員が理解出来ていないのですから、この民主党議員は懲罰委員会にかけて罷免すると自民党が騒げば、またまた国会は空転するし、上手く裁けないと内閣は崩壊するでしょう。

エッ、お前は右翼か?って。

この第1条は、天皇の地位は日本国民の総意に基づくものであるという象徴天皇制を定めた文言だと解釈されています。つまり、国民総意の存在である国家の象徴に畏敬の念も抱かないのは、要するに国民に対しても畏敬の念を持たないに等しいのだと思われませんか。

皇族にため口聞く前に、小沢一郎という同じ党員に対して、いい加減に腹を括れといえないのですか?もしかして民主党の皆さんは、天皇陛下よりも小沢一郎を畏敬されてるのでしょうか?

駄目だ!こりゃーあ!(昭和のフレーズで御免なさい)

馬鹿につける薬はないのよ

「自民党議員などによると、この民主党議員は、壇上で起立のまま天皇、皇后両陛下の入場を待たれていた秋篠宮殿下ご夫妻に対し、議場から「早く座れよ。こっちも座れないじゃないか」などと発言した。逢沢氏は「周辺の複数の議員がその乱暴な発言、暴言を直接聞いているようだ。その通りなら懲罰の対象になるような、著しく品を欠く発言と言わざるを得ない」と問題視。一方、「暴言」を指摘された議員は、取材に対し「聞こえないように言った。つぶやいただけだ」と述べた。」

この事件、どうもネタ元は他にもあるようでして、桜内文城(みんなの党)議員のブログのようです。以下に全文を引用します。


昨日(11月29日)、天皇皇后両陛下、秋篠宮殿下御夫妻のご臨席の下、議会開設120年記念式典が開催されました。みんなの党の同僚議員たちと慣れないモーニングを着用し、会場となった参議院本会議場の最前列に陣取りました。秋晴れの好天の下、清々しい気持ちを抱きつつ、我が国の議会制民主主義の発展の歴史に思いを馳せた次第です。

いつもの参議院本会議場だったのですが、「どうも国会議員の人数が少ないな・・」と感じていたところ、夜になって以下のようなニュースを目にしました。

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「半数近くの議員欠席…国会開設120年記念式典」
 国会が29日午前に参院本会議場で開いた議会開設120年記念式典を、国会議員の半数近くが欠席した。天皇、皇后両陛下らをお迎えして、国会の節目となる行事だっただけに、議員らの意識が問われそうだ。参院事務局によると、衆参両院の国会議員721人(衆院は欠員1)のうち、出席したのは約370人で、党として欠席した共産党(15人)以外にも、330人以上が欠席した。
 欠席した民主党の若手議員らからは「統一地方選に向けた地元会合を優先した」「陳情を受けていた」などの声が上がった。週末に地元に帰った議員がそのまま地元活動を優先したケースが多かったとみられ、「歴史への意識が薄いことの表れだ」という批判が出た。同党の岡田幹事長は29日の記者会見で、「それぞれ色々事情があると思うが、少し残念に思った」と述べた。
(2010年11月29日21時46分 読売新聞)
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「両陛下ご臨席の式典に鳴り響く携帯の着信音 自民の逢沢国対委員長失態」 
 天皇皇后両陛下ご臨席のもと、参院本会議場で厳粛に進んでいた29日午前、議会開設120年記念式典の最中、自民党の逢沢一郎国会対策委員長(56)の携帯電話の着信音が鳴り響く失態があった。着信音が鳴ったのは、竹崎博允最高裁長官が式辞を読み上げていたときだった。逢沢氏は国会内で、式典の直前まで取材に応じていたが、議場に入る際に携帯電話の電源を切り忘れた。式典に出席したある民主党参院幹部は「自民党の議員が『どこの党だか知らないが、携帯が鳴ったやつは登院停止だ』と怒っていたが、まさか逢沢さんだったとは…」とあきれた様子。別の民主党女性議員は「逢沢さんは、お疲れになっているのかしら」と皮肉った。
(2010.11.29 17:24 産経新聞)
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確かに静まり返った議場で着信音が鳴り響いていました。「誰かな?」とは思いましたが、そういうことだったんですね。

また、演壇の真正面には閣僚席も用意されていた(名札も置かれていた)のですが、最前列は(先週、問責決議された)仙谷官房長官のみ着席。どの閣僚が欠席したか確認していませんが、この緊張感の無さは一体何なんでしょうか。

その他、報道されてはいませんが、ある民主党ベテラン議員は、秋篠宮殿下御夫妻が入場された後、天皇皇后両陛下の御入場をお待ちになる間、ずっと起立されていた(当初の式次第では着席されることとなっていた)のに対して、「早く座れよ。こっちも座れないじゃないか。」と野次を飛ばす始末。想像を絶するようなことが起こっていたのが実情です。

「ゆとり教育」で「学級崩壊」とはよく耳にしますが、これでは「国会崩壊」ですね。同じ国会議員として、とても恥ずかしく思います。 


ところで、件の暴言を吐いた人物は、民主党の中井 洽(なかい ひろし)衆議院議員。この前まで鳩山内閣で国家公安委員長を務めていたあの人と云ったらお分かりですか。例の金賢姫の招請で遊覧飛行をやらかしたと批判された人です。

中井ご本人は、この件に関して、「『早く座らないとだれも座れないよ』と言ったかもしれないが、秋篠宮さまに向けて言うはずがない。副議長らに言った」と反論しているそうですが、この呟き声は周辺の議員どころか秋篠宮ご夫妻の耳にも届いて可能性が高くなりました。

『礼』というのは儒教の基本の一つですが、真っ当な大人なら、ちゃんと礼を示す時には正しい方法で礼を示せるものです。学校で授業の最初と終わりに礼をしてるのも或る意味訓練みたいなモノですが、どうも形骸化して意味すら教えていない先生も多い上に、どうして礼をするかも判らない先生も多いようです。話は脱線しましたが、国会議員は国民の代表として最高立法府に出ている訳です。それがこのていたらく。

件の中井氏は68才。いい年の大人です。しかも戦前生まれで父親も国会議員。本当に日本人は劣化してるという見本なのか、情けなくなりますね。

ちなみに事件の起きた「国会開設120年記念式典」に国会議員の半数は欠席したと云いますから、これも話になりません。誰に給料を貰い、何処で働いていて、自分は誰に選ばれたのかを忘れている国会議員の多さに呆れますね。欠席者の氏名を全員公表すべきではないでしょうか?

危機感がないのは致命的

「自衛隊と米軍の陸海空各部隊が参加する日米共同統合演習が3日から8日間の日程で、全国各地の基地や日本周辺海空域を舞台に行われる。日米合わせ過去最大規模の約4万4500人、艦艇約60隻、航空機約400機が参加。日本が武力攻撃を受けたことを想定した訓練が行われる。北朝鮮の砲撃事件を受けた米韓合同軍事演習の直後に行われ、韓国軍人もオブザーバー参加。北朝鮮に対し、日米韓3カ国の密接な関係を強調する効果があるとみられる。演習の主要項目は、弾道ミサイル対処や島嶼(とうしょ)防衛など。ミサイル対処では、各地の空自基地や米軍嘉手納基地に「PAC3」などの地対空誘導弾を展開させる。また、海上配備型迎撃ミサイル「SM3」を搭載した日米のイージス艦を日本海側に展開させ、小松基地のF15戦闘機や海兵隊機による艦隊防空も含めた訓練を行う。島嶼防衛は、海上・航空作戦を中心に実施。米空母「ジョージ・ワシントン」も参加し、佐世保基地(長崎県)沖の九州西方海域や、沖縄東方から四国南方にかけての太平洋側の海空域で、島嶼防衛の前提となる航空優勢を確保するための訓練などが行われる。」

米韓合同演習は、中国のお膝元の黄海の奥深くで繰り広げられました。これは異例とも云える寛容な態度でしたが、だから今度の日米合同演習も中国が寛容だとはいえません。今回の日米合同演習の狙いは、尖閣諸島での中国の台頭を抑え込む意志を示すことですからね。 

と同時に、北朝鮮の暴走にも日米韓が合同して抑止力を発揮するという意思表示にもなります。一昔前なら、社会党が集団的自衛権の行使だと大騒ぎする事態です。

マスコミは報道する気がないようですが、自衛隊も相当な厳戒態勢になっています。或る意味では臨戦態勢といってもいいでしょう。といっても、北朝鮮に侵攻するとか、そういう話は法的に不可能です。現実に取ろうとしている警戒態勢は、ミサイル防衛と、テロ行為の阻止です。在日米軍基地と自衛隊の各駐屯地や基地は警備レベルが上がっていますし、中央即応集団は即自待機状態です。空自のパトリオット部隊も同様で、例えば第15高射隊(岐阜)は日本海側の饗庭野分屯地に増強配備されたりしています。 勿論、表向きは演習名目ですよ。

こんな緊張状態は1994年以来ではないかと思いますが、そんな日本のテレビで報じられているのは市川海老蔵が暴漢に襲われた事件だったりします。

核ミサイルが降ってきても、落ちてみないと報道しないのでは、新聞はツイッターにもmixiにも劣るというのは、何とも言えず情けないお話しだと思いますね。

本当の危機なのだろうか?

「米韓FTA合意を受け、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は4日朝、国民向けの声明文を発表。「韓国は米国、EU、東南アジア諸国連合(ASEAN)とインドという世界の3大貿易圏とFTAを締結した世界唯一の国になる」と胸を張った。韓国は人口が約5000万人と国内市場が小さく、90年代後半の通貨危機を機に輸出立国へとかじを切った。柱になるのがFTAで、日本などのライバル国に先駆けて相次いで交渉をまとめた。現在では貿易総額にFTA締結国・地域が占める割合(交渉中を含む)は61.1%と、日本の36.5%を大きく上回る。」

”米韓FTA合意 胸張る李大統領”というキャプションですが、胸を張る以外に仕方がないのが実情ではないでしょうか。

 「もう勝負にならない」。米韓FTA合意のニュースを聞いた大手電機メーカー幹部は、沈痛な声を漏らした。米国の薄型テレビ市場で、シェア1、2位にはサムスン電子とLG電子の韓国勢が君臨。かつてブランド力で先行していたソニー、パナソニックなど日本勢は3位以下と後塵(こうじん)を拝している。関税撤廃で韓国製品の価格競争力がさらに高まれば、「追いつく手がかりすらなくなる」(同)。11月の米新車販売で、韓国の現代自動車は前年同月比で50%近い伸びを記録。一方で、トヨタ自動車は大手の中で、唯一のマイナスに沈んだ。シェアでは日本勢の方がまだまだ優位だが、「電機の二の舞になる」(大手自動車幹部)と危機感を募らせている。日本企業にとって、日韓の貿易自由化への取り組みの差は死活問題だ。
(産経ニュース)


世界の輸出先で有望な購買力を保有しているのは、米国とEUです。そして成長市場が中国と印度というのは皆さんもご存じだと思います。その全ての国と(中国とはFTA締結を交渉中)韓国はFTAを結ぶことで生き残りをかけているのだと記事は伝えています。

何だかFTAは、いい事ずくめのようなお話しにされていますが、そうでしょうか?

FTAは例えるなら劇薬です。

関税衝撃がなくなれば、輸出された製品はFTAを結んだ国では関税抜きで販売できます。同等の製品を関税を掛けられて販売する競合国は価格面では競争になりません。ましてや韓国のサムスン電子とLG電子の液晶技術は、今やブランド力すら保有していますから、技術の日本という看板も霞んでしまう相手です。米国で販売数を伸ばすのは当たり前なのです。価格面の優位に質の優位がついてくるのなら誰だって製品を買うのは当然です。

でも、考えてみて下さい。日本の産業技術は液晶テレビだけではないはずです。自動車技術にしろ、鉄道技術にしろ、ロケット技術にしろ、その裾野は広くて、しかもマイクロ化という面では世界の最先端を行っています。

今の韓国の産業にはそういう重層的な技術力はありません。液晶テレビや価格帯の安い大衆車が売れる間は確かに韓国の輸出は隆盛を極めるでしょう。しかし、何時までも液晶テレビがある訳じゃありません。次世代のモニター技術が生まれてきます。それが例えば印度で生まれてきた場合どうなりますか。次世代の技術に乗り遅れたら、それで韓国は主要輸出産業を失います。その時まで、サムスン電子とLG電子が韓国国内に留まる保障もありません。

要するに、現状だけを眺めて、産業界の自助能力に頼るなんていう政治方針ではいられないということです。国の全知全能を傾けて産業界を育成し、強力な指導力の元で保護する介入無くしては、やっていけない状況になるというお話しです。その点では財閥支配の続く韓国産業界と韓国政界はFATには好都合なのです。

でも、日本はそうではないということをよく考えてみましょう。

そして、完全なるFATの次に求められるのはEPA(経済連携協定)です。そうやって経済と通商の障壁を世界中から無くしてしまうことが、米国の国是のようなモノだと云うことも忘れてはいけません。

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