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2010年12月 5日 (日)

現実世界はシビアなり

「韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は25日午前(日本時間同)、青瓦台(大統領府)で緊急安保・経済点検会議を開き、北朝鮮砲撃事件を受け、北朝鮮近接海域に位置する、延坪島を含む韓国領の島々(西海5島)の戦力を大幅増強することなどを決定した。」

この韓国の動きを軍事的に見ると、延坪島を含む韓国領の島々(西海5島)の戦力を増強する方法は船での輸送でしょうから、まずその船の安全を確保するために、周辺の北朝鮮の攻撃力を削ぐ行動に出ないとおかしいことになります。具体的には空爆による砲兵陣地の破壊などです。

それを韓国が今しないのは何故でしょう?

韓国政権は云ってることは勇ましいですが、現実はかなり堅実で冷静です。それには当然理由があります。

まず、そんな事をしたら、38度線に展開している北朝鮮軍の砲兵陣地からソウル市内に、今回の砲撃の数百倍の攻撃を仕掛けることが出来ますから、現実的にはそれを考えているでしょう。それを防ぐには、先制攻撃に出てそれらの陣地を全て破壊することしか有りません。そうなると韓国は戦争を始めた事になりますから、北朝鮮の同盟国である中国が堂々と参戦する言質を相手側に与えてしまいます。北朝鮮と中国の合同部隊と韓国軍が戦うことは、韓国の亡国につながります。米国も中国と全面対決になる事態は相当な覚悟がないと望まないでしょう。もしも米国が後ろ向きだったら、冷や汗ものですから。

ええー、自国領土を砲撃されて、国民が死んでるのに?

全面戦争を望まない(そう言う態勢が採れない)場合は、受けた被害に相当する反撃をする以外は暴走せずに、冷静に事態を推測することが大事と云うことですね。

延坪島を含む北朝鮮に近い韓国領の島々に兵力を増強することは、或る意味では北朝鮮の覚悟を試す行為だと云うことです。この増派部隊を攻撃してきたら、これは米国とも相談の上で全面反撃に出る可能性があると、中国ルートや独自ルートで北朝鮮首脳部にメッセージは送られているでしょう。

日本でも、つい先日の尖閣での問題で、海保の巡視船と中国の漁業監視船が砲撃なり銃撃なりの対戦をしていたら、似たような事態を招いていたでしょう。

武器を保持しているから戦争が起きるのだとか、武装組織を保有しているから戦争になるのだというお話しの虚しさは、こうした事態を突きつけられると如何にバカバカしいかが判ると思います。

要するに武力は使わない方がいいが、限定的には反撃しないといけない場合もあるという冷静な軍事力の管理と行使を考えないいけないのに、それを考えることをタブーにしてきた日本のおかしなメンタリティーも、もう許されない時代になってきたと発想を変えていかないといけない気がします。

冷戦は、今世紀は太平洋において再現されると覚悟するべきでしょう。この覚悟をしないと、日本は国として成り立たなくなる可能性があると思います。長く辛い外交の戦いは数十年は続くと考えて、長期的な国家戦略を組み立てられる政治体制を我々は求めるべきだと思います。

最後にですが、制海権・制空権のない地域にある孤島は、いくら数百万の兵力を置こうとも、それを守ることは出来ないと言うのが、太平洋戦争で日本人が得た教訓です。

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コメント

 太陽政策(デタント)を採っている間に韓国軍の戦時統制権を韓国側に移すという話が進展していて日本でも一部識者は不安視していました。理由は言わずもがなで、その昔の朝鮮戦争開戦当時の大統領のような人が今回のような事件が起きた時に米国の制止を振り切って前後の見境もなく開戦を選択してしまうのではないかという危惧を抱くからなのです。今の大統領は確かに口では勇ましいことを言っていますが、実際には強かなほど現実的対応を採る人です。戦時統制権を米国側が持つということは米国のプレゼンスを確保するという点で非常に優れています。これで米軍を人質にして米国を必ず味方にすることができるのですから。

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