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2010年12月 5日 (日)

本当の危機なのだろうか?

「米韓FTA合意を受け、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は4日朝、国民向けの声明文を発表。「韓国は米国、EU、東南アジア諸国連合(ASEAN)とインドという世界の3大貿易圏とFTAを締結した世界唯一の国になる」と胸を張った。韓国は人口が約5000万人と国内市場が小さく、90年代後半の通貨危機を機に輸出立国へとかじを切った。柱になるのがFTAで、日本などのライバル国に先駆けて相次いで交渉をまとめた。現在では貿易総額にFTA締結国・地域が占める割合(交渉中を含む)は61.1%と、日本の36.5%を大きく上回る。」

”米韓FTA合意 胸張る李大統領”というキャプションですが、胸を張る以外に仕方がないのが実情ではないでしょうか。

 「もう勝負にならない」。米韓FTA合意のニュースを聞いた大手電機メーカー幹部は、沈痛な声を漏らした。米国の薄型テレビ市場で、シェア1、2位にはサムスン電子とLG電子の韓国勢が君臨。かつてブランド力で先行していたソニー、パナソニックなど日本勢は3位以下と後塵(こうじん)を拝している。関税撤廃で韓国製品の価格競争力がさらに高まれば、「追いつく手がかりすらなくなる」(同)。11月の米新車販売で、韓国の現代自動車は前年同月比で50%近い伸びを記録。一方で、トヨタ自動車は大手の中で、唯一のマイナスに沈んだ。シェアでは日本勢の方がまだまだ優位だが、「電機の二の舞になる」(大手自動車幹部)と危機感を募らせている。日本企業にとって、日韓の貿易自由化への取り組みの差は死活問題だ。
(産経ニュース)


世界の輸出先で有望な購買力を保有しているのは、米国とEUです。そして成長市場が中国と印度というのは皆さんもご存じだと思います。その全ての国と(中国とはFTA締結を交渉中)韓国はFTAを結ぶことで生き残りをかけているのだと記事は伝えています。

何だかFTAは、いい事ずくめのようなお話しにされていますが、そうでしょうか?

FTAは例えるなら劇薬です。

関税衝撃がなくなれば、輸出された製品はFTAを結んだ国では関税抜きで販売できます。同等の製品を関税を掛けられて販売する競合国は価格面では競争になりません。ましてや韓国のサムスン電子とLG電子の液晶技術は、今やブランド力すら保有していますから、技術の日本という看板も霞んでしまう相手です。米国で販売数を伸ばすのは当たり前なのです。価格面の優位に質の優位がついてくるのなら誰だって製品を買うのは当然です。

でも、考えてみて下さい。日本の産業技術は液晶テレビだけではないはずです。自動車技術にしろ、鉄道技術にしろ、ロケット技術にしろ、その裾野は広くて、しかもマイクロ化という面では世界の最先端を行っています。

今の韓国の産業にはそういう重層的な技術力はありません。液晶テレビや価格帯の安い大衆車が売れる間は確かに韓国の輸出は隆盛を極めるでしょう。しかし、何時までも液晶テレビがある訳じゃありません。次世代のモニター技術が生まれてきます。それが例えば印度で生まれてきた場合どうなりますか。次世代の技術に乗り遅れたら、それで韓国は主要輸出産業を失います。その時まで、サムスン電子とLG電子が韓国国内に留まる保障もありません。

要するに、現状だけを眺めて、産業界の自助能力に頼るなんていう政治方針ではいられないということです。国の全知全能を傾けて産業界を育成し、強力な指導力の元で保護する介入無くしては、やっていけない状況になるというお話しです。その点では財閥支配の続く韓国産業界と韓国政界はFATには好都合なのです。

でも、日本はそうではないということをよく考えてみましょう。

そして、完全なるFATの次に求められるのはEPA(経済連携協定)です。そうやって経済と通商の障壁を世界中から無くしてしまうことが、米国の国是のようなモノだと云うことも忘れてはいけません。

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コメント

 FTAですか、新たなブロック経済の構築とその主導権争いとでも言えば良いのかな?近視眼的な政策を採って国内経済を破壊してしまったり、あるいは対外関係を悪化させて経済戦争ではなく実質的な暴力を伴う戦争状態に陥らせてしまうことだけは避けなければならないが日本人の性情から考えると悪いほうに転がってしまいそうな気がする。

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