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2012年4月17日 (火)

制度疲労がここにも

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1987033&media_id=52

「米シークレットサービス(SS)は14日、南米コロンビアのカルタヘナで開幕した米州首脳会議に出席するオバマ大統領の警護を担当する11人を、職務から外したことを明らかにした。現地で買春した疑いがあり、調査を行うためだという。コロンビアの警察当局などによると、先遣隊として現地入りしていた警護員らが宿泊先のホテルに女性を連れ戻ったところ、スタッフが登録していない客は部屋に入れられないと拒否。これに対し、警護員らが抵抗したという。米政府は声明で、「申し立てられている不品行」としか説明していないが、警護員11人を送還したほか、軍職員5人についても謹慎処分としたことを認めた。」

私達が普段耳にするシークレット・サービス(United States Secret Service)は特別捜査官と呼ばれる私服の警護官(Special Agent)のことです。以前は財務省の捜査機関(偽札の摘発)に所属していたのですが、2002年の国土安全保障省の設立に伴い、その傘下に移管されました。特別捜査官とは別にホワイトハウスなどの大統領施設を警備する制服部隊がいますが、この記事とは関係がありませんのでふれません。その警護官の総勢は3,200人。全米に支部を置くほか、海外にも大使館になどに警護官を派遣して、現地の情報を収集し大統領の来訪時に備えています。

そのシークレット・サービスでは、大統領が海外に出向く場合、その経路などの安全確保と現地警備当局との打ち合わせのために先遣隊を送り込みます。さらに大統領の乗る車輌などは米空軍の輸送機でワシントンから運び込みむのが常です。

さて、2009年にアメリカで出版されたロナルド・ケスラー(RONALD KESSLER)著の『In the President's Secret Service -- Behind the Scenes with Agents in the Line of Fire and the Presidents They Protect』(邦訳名「シークレット・サービス」)で、このシークレット・サービスの問題点を指摘しています。

例えば、2009年11月にオバマ大統領が主催したインドのシン首相招宴公式晩餐会に、招待されていない夫妻が紛れ込み、大統領と握手を交わすという信じられない事件が発生しました。問題発覚後の内部調査で、シークレットサービスが招待者リストと照合する儀典の手順を踏まなかった事が、この不祥事の原因であると結論づけました。これを受けて、連邦議会下院国土安全保障委員会で、シークレットサービスのサリバン長官(当時)は、「招かれざる賓客」は夫妻だけで、他には闖入者は誰一人としていなかったと証言した。だが、事実は違っていた。招待されたインド代表団に紛れ込み、晩餐会に姿を現したアフリカ系アメリカ人男性が別に一人いた。この事実をすっぱ抜いたのが、本書の著者ロナルド・ケスラー。その後、サリバン長官は、この男性の闖入について事実であったことを認めたそうです。

このようにシークレットサービスには警備で手抜きがあることは数年前から指摘されていたのでした。こうした手抜きの問題は、実はシークレットサービス首脳部の事なかれ主義、確固たる指導体制の欠如、装備している時代遅れの武器、それに過小な年間予算であると、著者は本書で警鐘をならしてもいます。こうした欠陥は国土安全保障省傘下にシークレットサービスが置かれて以来顕著化したとも著者は言っています。その原因は硬直した官僚機構と化してしまっていることだと。

1902年に大統領の警護を始めたシークレット・サービスも制度疲労という病は避けがたかったという事実を他山の石とすべきです。

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