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2012年7月

2012年7月 8日 (日)

「完璧」や「絶対」は神のみの御業

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=2052739&media_id=94

1340002901

「富士通研究所、情報通信研究機構(NICT)、九州大学は2012年6月18日、次世代の暗号として標準化が進められているペアリング暗号について、278桁長の暗号解読に成功し、世界記録を達成した、と発表した。ペアリング暗号とは、2001年に開発された、離散対数問題を安全性の根拠とする公開鍵暗号。ペアリングと呼ばれる数式を利用することで、従来の公開鍵暗号では実現困難な“応用”が可能となる暗号方式。これまで、この桁長の暗号は解読に数十万年かかることから、解読不可能とされていたという。しかし一方で、ペアリング暗号は歴史が浅いため、新しい攻撃法に関してはその検討が未熟だったそうだ。今回、新たな攻撃法の適用により、148.2日間で解読できる脆弱な暗号であることを実証した。同社らによると、今回の成果は日本の電子政府や国際標準化機関などにおいて、安全な暗号技術を利用するための根拠として活用されるという。」

コンピューターを21台使って、148日間で「ペアリング暗号」を解くことに成功したそうです。

と、さらりと書いても何のことだか判りませんよね。ここでまずは「暗号」というものの雰囲気を味わって頂きたいと思います。これは昔存在した「外交官試験」の設問のひとつです。

○dinnerが「和洋和和中中洋洋洋洋洋洋和洋洋洋中中」
○lunchが「洋和中中和中洋洋洋和和中和中洋」

という暗号だと、以下の暗号は何んという料理を云っているのでしょうか答えなさい。

「洋中和和洋洋洋和洋和中中洋洋洋和中和和洋和中和中和和中洋和洋」


解き方の考え方は、こうです。「dinner」という単語はアルファベット6文字で構成されていると捉えます。暗号の方は18文字あります。「d」を暗号にした場合、「和」1文字に置き換えるとなると「dinner」は7文字ですみますから、1文字が1暗号では無いことが判ります。では2文字にしたら?こちらも14文字で、まだ文字が余ります。となると3文字で表されてはいないかと仮定します。3×6=18ですから、可能性が高いですし。そこから3進法に置き換えると3桁で表現できるじゃないかと閃きます。頭の良い人や数学のセンスのある人は、アルファベット6文字で暗号文は18文字だから、これは3進数でしょうとショートカット出来るでしょう。

そこで、仮に「dinner」の暗号文を前から3つづつに分けてみます。

「和洋和 和中中 洋洋洋 洋洋洋 和洋洋 洋中中」

d=和洋和
i=和中中
n=洋洋洋
n=洋洋洋
e=和洋洋
r=洋中中

となります。さらに検証するために「lunch」の方も試してみます。

「洋和中 中和中 洋洋洋 和和中 和中洋」

l=洋和中
u=中和中
n=洋洋洋
c=和和中
h=和中洋

「n」という文字が「dinner」でも「lunch」でも「洋洋洋」であることが確認出来ました。恐らくこういう解読方法で正しいのだろうと検証ができた訳です。それで問題文も同じ方法で挑んでみます。

「洋中和 和洋洋 洋和洋 和中中 洋洋洋 和中和 和洋和 中和中 和和中 洋和洋」と分けて、既に判明しているアルファベットを当てはめてみます。

洋中和= 
和洋洋=  e
洋和洋= 
和中中= 
洋洋洋= n
和中和= 
和洋和= d
中和中= 
和和中= c
洋和洋=

となりました。しかし、これでは、まだ問題文は読めません。そこでアルファベットは27文字あるよなと考えを進めてみます。3進数にもちょうど(3×3×3=27)いい数です。そこから更に暗号文は「和」と「洋」と「中」で構成されている。だから3桁の数字にアルファベットが置き換えられていないかと類推してみます。それで、こういう風に3進数とアルファベットを並べた仮の置き換え表を書き出してみます。

000=a
001=b
002=c
010=d
011=e

とすると、和=0、洋=1、中=2となりはしないだろうか考えを進めてみます。それで問題文に3桁の数字を当てはめてみます。

洋中和= 120
和洋洋= 011 = e
洋和洋= 101
和中中= 022
洋洋洋= 111 = n
和中和= 020
和洋和= 010 = d
中和中= 202
和和中= 002 = c
洋和洋= 101

となります。これをひとつ上に書いた3桁の数字をアルファベットへ置き換えた換数表に当てはめます。

000 = a
001 = b
002 = c
010 = d
011 = e
012 = f
020 = g
021 = h
022 = i
100 = j
101 = k
102 = l
110 = m
111 = n
112 = o
120 = p
121 = q
122 = r
200 = s
201 = c
202 = u
210 = v
211 = w
212 = x
220 = y
221 = z

洋中和= 120 = p
和洋洋= 011 = e
洋和洋= 101 = k
和中中= 022 = i
洋洋洋= 111 = n
和中和= 020 = g
和洋和= 010 = d
中和中= 202 = u
和和中= 002 = c
洋和洋= 101 = k

「peking duck 」となり、料理の名前は「北京ダック」であることが判明します。

暗号とは、こんなカラクリで出来ています。そして暗号を解読するためには、「dinner」や「lunch」のような鍵が必要です。さらに、「n」のような反復がその鍵に出て来ると、解読の検証の取っ掛かりにもなるというのがお分かりになったと思います。

次ぎに「ペアリング暗号」へ話を進めてみます。「ペアリング暗号」というのは、ペアリングと呼ばれる「写像」を利用する事により、従来の公開鍵暗号では実現できなかった新しいシステムを可能にした暗号理論のことです。

Map02

「写像」とは、数学の時間に習った関数の性質を利用したものです。そもそも関数とは、「ある変数に依存して決まる値」の事を指します。これを「ある2つの変数の間の対応関係」と捉えると、その集合の対応関係(「写像<(mapping>)が存在することになります。つまり、全ての元に対して、ちょうど1つずつの値が割り当てられているような対応のことを「写像」というのです。この理論を鍵暗号に利用したものが「ペアリング暗号」という仕組みです。

次ぎに「公開鍵暗号」についてです。

「公開鍵暗号」の理屈はこういうものです。

1、受信者は あらかじめ送信者に対して密かに共通鍵 C を渡しておく。(両者が逆でも良い)
2、送信者は C を使ってメッセージを暗号化し、受信者に向かって送信する。
3、受信者は C を使って暗号文を復号(暗号を元に戻す)し、メッセージを読む。

ここで問題になるのが「公開鍵」の存在です。ネットワーク上で送信者に対してセキュリティが保証されていない通信路を使って鍵を配送してしまうと、そこで傍受者に共通鍵 C を傍受されてしまった場合には、この暗号通信は容易に解読されてしまい意味を持たないことになります。そこで何が問題なのかを検討してみると、送信者と受信者のいずれもただ1つ共通の鍵を用いる事が原因であるという仮定に基づいて、両者間で異なる鍵を用いる方法が考案されました。つまり、暗号化のための鍵と、復号のための鍵を別の(非対称の)ものにすることによって、鍵配送という脆弱性の問題を解決したのです。

「非対称性公開鍵暗号」

1、通信を受ける者(受信者)は自分の公開鍵(暗号化のための鍵)P を全世界に公開する。
2、受信者に対して暗号通信をしたい者(送信者)は、公開鍵 P を使ってメッセージを暗号化してから送信する。
3、受信者は、公開鍵 P と対になる秘密鍵(復号のための鍵)S を密かに持っている。この S を使って受信内容を復号し、送信者からのメッセージを読む。
4、暗号通信を不正に傍受しようとする者(傍受者)が、送信者が送信した暗号化されたメッセージを傍受したとする。傍受者は、公開鍵 P は知っているが、秘密鍵 S は受信者だけが知っている情報であるので分からない。P から S を割り出すことは(計算時間的に)極めて難しい。そのため、暗号文を復号することはおよそできない。

この非対称性の鍵暗号構築に応用されたのがペアリング理論ということになります。こんな複雑な仕組みの暗号も、結局は解読されてしまう危険性があるというのが記事のお話しです。

日本人はすぐに「絶対大丈夫」とか「完全な安全」とかを口にしますが、科学的に云えば、この世には「完全」は存在しませんし、「絶対」も有り得ません。最大でも99%の安全や大丈夫しか存在しないのです。それを証明しているのがこの記事です。安全に対する姿勢について、西洋と日本の違いの根底にあるのは、実は宗教にあると思うのですが、それを書くと思い切り脱線するので、今回は省略です。しかし、”原子力発電には100%の安全が必要ではないですか”と簡単に口にする国会での議論が続く限り、日本で科学的な原発運営と安全対策など望むべくもありませんね。


注目するべきは此処ですよ

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=2058567&media_id=20

「千葉・成田空港で北京発の全日空機(ボーイング767―300型機)が着陸時の衝撃で変形した事故で、同機は、主脚と前脚が交互に接地してバウンドを繰り返しながら着陸していたことが、同社調査で分かった。機体制御が困難となって横転事故などにつながる「ポーポイズ現象」に陥りかけていた可能性が高く、運輸安全委員会は着陸時の操縦状況などを調べている。同社によると、同機搭載の簡易飛行記録装置(QAR)を解析した結果、右側の主脚が接地した後、再び約1~1・5メートル跳ね上がり、機首が下がって前脚から再接地した。主脚もその後に接地したが、今度は前脚が跳ね上がり、全ての車輪が接地するまでには約3秒かかっていたという。着陸時の重力加速度は通常よりも高い1・8Gだった。」

上の映像を見ても判りますが、異常な着陸であったのは確かです。これは「ウインドシヤー」と呼ばれる、風向きが急激に変化したために機体の揚力が急減して起きる現象だそうです。

滑走路に機体が叩き付けられるような状態になった際に掛かった重力加速度は1.8G。重力加速度は、地球の重力によって物体が上から下に落ちるときの加速度の事で、「G」という記号で表されます。1Gは9.8m/s2です。つまり、物体を静止状態から自然落下させたとき、1秒後の落下速度が9.8m/s2になるのが1Gということです。今回は1.8Gでしたから、17.64m/s2の重力加速度が機体に掛かったことになります。自動車の急ブレーキがだいたい0.5Gくらいと云われています。その衝撃度具合がお分かりになると思います。実際に機体に掛かった力は、その機体重量を計算にいれてみないと判りません。ボーイング767-300型機の機体のみの重量は79,560Kg(79.56トン)。これに燃料や乗客、その荷物などの貨物の重量をあわせた最大離陸重量は156,500Kg(156.5トン)です。北京からの帰還便ですから燃料は最大量は搭載していないでしょうし、消費もしているでしょうから、仮に機体重量を100トンだと仮定しますと、17,64×100トンkgm/s。そりゃ機体に歪みが出ても仕方がありません。歪んでくれたからこそ、この力が解放できたと思わないといけません。

で、注目すべきは主脚と前脚の強靱さです。機体重量の約18倍の力が加わっても折れること無く機体を支えたのですから。もしもどちらかの脚が折れていたら、機体は滑走路に激しく叩き付けられてしまい、その衝撃と摩擦により火災が発生。こんな事故程度では終わらなかったでしょう。

航空母艦に着艦する艦載機は大変強靱な強度を持つ様に脚を設計する段階から考えられています。短い滑走路しかない飛行甲板へ叩き付けるように着陸するためなのですが、軍用機でもない旅客機でも、この強靱さ。さすがは、ボーイング。アメリカ人の優れたところを見るような思いで、ニュース映像を見ておりました。

とはいえ、こんな着陸をされたら乗っている方は堪りません。事故の原因の方は是非突き止めて欲しいモノです。

深海開発という心配の種

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=2059223&media_id=20

「中国中央テレビによると、中国の深海有人潜水艇「蛟竜号」は24日、太平洋のマリアナ海溝海域で4回目の潜水実験を行い、水深7000メートルを超える潜水に成功した。」

Japan216

14日から、太平洋のマリアナ海溝海域で始まった潜水実験。実験は6回に分けて行なわれる予定で、1回目の実験で昨年7月に成功した水深5188mを超え、同6200mまで潜水。2~4回目は同6500~7000m未満での潜水を繰り返して機体性能を点検・調整し終えてから、5、6回目で同7000mを超える潜水に挑戦すると公表されていました。今月15日に水深6,671mまでの潜水に成功。中国は亜細亜では日本に継いで2番目の快挙である水深6500m超えに達して、日本の「しんかい6500」の記録を更新。今回で日本を超える潜水深度記録を樹立した事になります。

早い話が、”イェイ!あの日本に勝ったぞ!”という事ですね。

中国政府は、「最終的には11,000m級の有人潜水艇を造り、最も深い海底での自由な航行、作業をできるようにする」と述べています。世界で最も深いマリアナ海溝の海底部(水深10,920m)での作業が可能な深海有人潜水艇の開発を目指すとしています。

ところで、マリアナ海溝が世界でも一番深いところだと最初に発見したのは日本帝国海軍だったとご存じですか。

大正14年 (1925年)10月3日に測量艦「満州」が、マリアナ海溝付近で調査活動をしていた際に、この地点でピアノ線を海中に降ろしてみると、9,814mの海底部まで到達し錘測に成功したのでした。なので、その後この地点は「満州海淵」と命名されておりました。世界最深部発見の名誉は、1951年10月に英国の潜水艇「チャレンジャー8世号」により破られ、水深10,863mを確認。「満州海淵」は「チャレンジャー海淵」と呼ばれることになったのです。このあと、旧ソ連の海洋探査船「ビチャーシ号」が同海域で音響測深法により11,034mの深所を発見したと公表し、英国の記録を塗り替えたとしました。しかし、それじゃいかんと米国のスクリップス海洋研究所所属の「トーマス・ワシントン号」が同海域を再探査。1980年に10,915mの最深部を発見しました。1984年には海上保安庁の「拓洋」が10,924mの最深部を発見し、その記録を塗り替えています。

これらの探査は、両船共に「シービーム」(ナローマルチビーム音響測深機)を用いて測量した結果です。この結果を受けて「GEBCO(大洋水深総図)」事務局と、「IHO(国際水路機関)」の合同指導委員会のは、1992年4月に「トーマス・ワシントン号」と「拓洋」の測量原資料等を検討し、マリアナ海溝の最深水深は10,920m±10mが妥当であるとの結論に達し国際的に了承されました。その為、旧ソ連の「ビチャーシ号」の探査記録は非公式になったのでした。

「拓洋」の観測によれば、同海溝の東部・西部・中部の3カ所での最深水深は以下の通りです。

○東部の最深部:10,924m(±10m)<11°22.7′N.,142°35.3′E. (世界測地系,WGS-84)>
○西部の最深部:10,909m(±10m)<11°20.5′N.,142°12.6′E. (世界測地系,WGS-84)>
○中部の最深部:10,901m(±10m)<11°21.9′N.,142°26.5′E. (世界測地系,WGS-84)>

その後、1995年5月に日本の無人探査機「かいこう」がマリアナ海溝の10,911mまで到達することに成功。2009年5月にはアメリカのウッズホール海洋研究所の無人探査機「Nereus」が10,902mへの到達に成功しました。ということは確認されている最高深度10,911mまでであり、それ以上の観測値は未だ確実とは言いがたいのです。なので中国が目指すのは10,911m以上の数値。最終目標は10,924mで、可能ならこれよりも1㎝でも深い値を記録するのが目標になると思われます。
        
こんな風に深海探査の記録とは、まるで国力を示す指標のようなもので、宇宙開発と共に中国は国威発揚を目的にがむしゃらに突き進むと思われます。目指す深度は10,920m超え。有人による深海探査深度は、この深度になると世界のどの国も未到達ですから。(2012年3月26日、映画監督のジェームズ・キャメロンは「ディープシーチャレンジャー」で深さ10,898mへの潜行に成功しています。これは有人としては「トリエステ」の記録10,916mに次ぎます)そして、その潜水した海溝最深部を「中国海淵」と命名するように運動をすることでしょう。

問題は有人で探査すべきかどうかです。日本の「しんかい6500」は、設計上では15,000mまで潜水可能な強度で建造されています。10,924m超えも無理ではないのですが、そうは進めていないのは安全を優先させるという面もありますが、財政的な面での障害もあります。何せ技術的な進化を目指すにも金が掛かります。一方で深海潜水艇製作の技術も継続しなければなりません。「しんかい6500」を建造した頃から比べれば、ロボット技術は進化しています。無人探査機「かいこう」の成功もあります。人を乗せない分、小型で軽量化された無人潜水艇であれば、予算面でも負担は軽くて済みます。 日本の「しんかい6500」は(独法)海洋研究開発機構が所有している潜水艇ですが、その就役は1990年。今年の春に大改造を終えて面目を一新。とはいえ、そろそろ次の深海艇の開発と建造が必要と思われますが、深海探査は無人探査艇でという意見もあって、なかなか進んでいないのが現状。しかも財政難で、海底探査なんてという政府の仕分け屋さんもいますし。きっと、どうして10,000mも潜る必要があるんですかとか?とか云ってるのでしょうね。

そういえば、2005年に韓国海洋水産部は7日、韓国が米国、フランス、日本に次いで世界で4番目に深海6000メートルまで潜水できる無人潜水艇の開発技術保有国になったと発表していたのをご記憶でしょうか。その無人潜水艇「ヘミレ(Hemire)」は同年の試験潜水では故障が続発し、深度1,065mでギブアップ。その翌年にフィリピン海で水深5,775mの記録を樹立して以来、ご活躍を聞きませんが、どうしたことでしょうか。


こんな世の中なので

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=2061465&media_id=20

「26日午後1時40分頃、大阪市西成区太子2の路上で、ワゴン車が暴走し、通行人の男女6人を次々にはねた。6人のうち、近くの無職岡口耕作さん(60)が骨盤骨折などで重傷。5人は軽傷だった。車はその後も信号無視や対向車線の走行などを続け、約1・5キロ北の同市浪速区日本橋の府道(堺筋)交差点で停車中のトラックに衝突して止まった。発表では、男は自称、大阪府河内長野市汐の宮町5、職業不詳・永田邦勝容疑者(32)。今後、自動車運転過失傷害と道交法違反(ひき逃げ)の両容疑でも取り調べ、容疑が固まり次第、再逮捕する方針。車は、最初に「市立更生相談所」周辺街区を走った際に6人をはねたとみられる。その後民家のシャッターに突っ込んで止まったが、永田容疑者は大声を上げてアクセルを踏み続け、西成署員3人が拳銃を構えて「降りろ」と命令するのを聞かず、バックして切り返し、堺筋に出たという。」

日本社会の中に、狂気的としか云えない通り魔事件が起きてきている事を思うと、従来の発想の儘でいいのかどうか、悩んでしまいます。以下はここ10年の代表的な通り魔事件の数々です。


○下関通り魔殺人事件(1999年):被害者15名の内5名が死亡、10名が重軽傷
 *容疑者の妄想性パーソナリティ障害の有無で争われる→2008年7月最高裁で死刑判決が確定→2012年3月広島拘置所で死刑執行

○茨木市連続ひき逃げ事件(2004年11月):被害者5名のうち2名が死亡、3名が重軽傷
 *容疑者は統合失調症で通院中→2008年6月大阪高裁で無罪判決が確定

○仙台アーケード街トラック暴走事件(2005年4月):被害者7名のうち3名が死亡、4名が重軽傷
 *容疑者の統合失調症認定が争われ減刑→ 2008年3月仙台高裁で無期懲役刑が確定

○土浦連続殺傷事件(2008年3月):被害者9名のうち、2名が死亡、7名が重軽傷
 *容疑者は「自殺したいために凶行に及んだ」と発言→2010年1月5日水戸地裁にて死刑判決が確定

○秋葉原通り魔事件(2008年6月):被害者17名のうち7名死亡、10名が重軽傷
 *容疑者は精神鑑定の後、責任能力がありと判定される→2011年1月東京地裁にて死刑判決 ◇現在控訴中

○八王子通り魔事件(2008年7月):被害者2名うち、1名死亡、1名重傷
 *被疑者は「仕事でうまくいかず、親が相談にのってくれなかったため、無差別で人を殺そうと思った」と発言→、2010年4月東京高裁は懲役30年を求刑 ◇現在控訴中

○マツダ本社工場連続殺傷事件(2010年6月):被害者12名のうち、1名が死亡、11人が重軽傷
 *被疑者の責任能力を巡り、度重なる精神鑑定要請があり公判開始が遅延→2012年3月広島地裁にて無期懲役判決 ◇現在控訴中

○取手駅通り魔事件(2010年12月):被害者14名のうち、1名重傷、13名負傷
 *容疑者は「リストラされ、自分の人生を終わらせようとした」→2011年9月水戸地裁で懲役3年6月の判決

どれもこれも。精神を病み、理屈では計り知れない動機での凶行ばかりです。気の弱い人が車に乗っている時だけ気が大きくなると云うのは通常の心理ではありますが、心を病んだ人が自殺をしたいから、人を引いて回って死刑になろうとされたら、これは防ぎようがありません。

我々はこんな時代に生きているのですから、外出時は周囲の状況に注意を払い、おかしな事態に遭遇したら、兎に角現場から一刻も早く離れるという自己防衛に努力するしかないのかなぁと思います。あるいは、都会を離れ、外出しても牛には会えるが人には会えないところに住むかですね。

といってると、こんなニュースが。

大阪府大東市でも軽自動車が暴走する事故があり、男女5人がはねられ重軽傷を負いました。警察によりますと、26日午後5時半頃、大東市深野で軽自動車が急発進し、倉庫に接触した後、近くにいた男女5人を次々とはねました。この事故で70代の男女2人が左足首の骨を折るなどの重傷を負ったほか、3人が軽傷です。車は男女をはねた後、およそ50メートル先の田んぼに突っ込み、ようやく停まりました。車を運転していたのは近所に住む86歳の男性で、警察の調べに対し、「自宅の車庫に車を入れようとしたところ、自転車がそばを横切ったのに驚き、アクセルとブレーキを踏み間違えた」と話しているということです。(26日23:51)


高齢者による暴走事件も多発が予測されますね。こちらは殺意などの故意はないだけに、余計に始末が悪いかも知れません。自賠責保険の補償額を増額するなど、高齢者の運転には何か対策を講じる必要があるようです。

プーチンのシグナルを読み間違えるな

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=2068562&media_id=20

「防衛省は2日、ロシア海軍の艦艇26隻が北海道最北端・宗谷岬沖の宗谷海峡を、日本海から東に向けて通過したと発表した。領海侵犯はなかった。ロシア海軍は昨年9月にも20隻以上の艦隊が同海峡を通過してオホーツク海で大規模訓練を実施しており、今回も、大規模なミサイル射撃訓練などを実施するとみられる。通過したのはミサイル駆逐艦や戦車揚陸艦などで、1日午前から夜にかけて同海峡を東進。同省は「極東地域でロシア軍が活発化している」として警戒している。」

ロシア海軍の極東艦隊でちゃんと動ける船は全部演習に参加せよという指令が出ているかのようですね。無論そんな指示を出せるのは大統領しかいません。そうすると何かの意図があると考えるのが普通ですよね。

はい、そう思ったら以下の記事をまずはご一読下さい。

北方四島を事実上管轄するロシア・サハリン(樺太)州からの情報によると、メドベージェフ首相は、早ければ3日にも北方領土の択捉島訪問を敢行する。領土問題をめぐって日本を強く牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。メドベージェフ氏は、これに先立つ2日、ウラジオストクを皮切りに極東各地の視察旅行を開始。択捉島には、州都ユジノサハリンスクから入る方向で準備が進められている。ただ、実際の訪問は現地の天候に左右される可能性がある。メドベージェフ氏にはシュワロフ第1副首相やイシャエフ極東発展相ら10人もの閣僚が同行。一行は択捉島で港湾や空港などのインフラ整備状況を視察し、クリール諸島(千島列島と日本の北方四島)の発展計画に関する会合を行う計画とされる。プーチン露大統領と野田佳彦首相は6月中旬の首脳会談で、領土交渉の「再活性化」に合意したばかり。ロシアは極東開発をめぐっては日本との関係拡大を望む一方、北方領土の実効支配を挑発的に誇示し、領土交渉のハードルを高めておく考えとみられる。閣僚を伴っての極東歴訪は、政権が重視する極東開発への意気込みを示した形だ。2日には、ロシアが9月に初めて主催するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の会場、ウラジオストク・ルースキー島の関連施設を訪問。閣僚や地方高官などと会合を持ち、APEC準備と極東の発展に向けて発破をかけた。一方、メドベージェフ氏はウラジオストク近郊で建設中の住宅街を視察した際、建設責任者から「この家の防寒パネルは日本製でマイナス60度の気温まで耐え、60年間品質が保証されています」との説明を受け、「どうして日本製なのか? パネルは自前で作らなければならない」と不満そうに応じたという。(産経新聞:2012.7.3 00:44 )


日本の政界の中には、とっくに破断になっているのに、プーチン大統領の就任で北方領土問題が再び動き出し、2島の返還があるのではないかと考えている一団がいます。しかし、現政権にはロシア政界とのパイプがほとんどありません。恐らく今の日本の政治家でプーチンに個人的なチャンネルがあるのは自民党の森元総理ぐらいでは無いかと思われます。また外務省の方も、例の鈴木宗男騒動の余波で、佐藤優氏らのロシアチームが徹底的に排斥されましたので、どれくらいの影響力があるのかは不明ですが、すくなくともプーチン&野田の首脳会談で北方領土交渉が再開できるように分析してしまった点を見ても、これはあてにならないと思います。

そういう風に考えてみると、今回の演習にしてもメドベージェフ首相にしても、6月の首脳会談の結果を日本が取り違えている事へのある種のメッセージではないかと推測出来てしまいます。だからこそ、耐寒建築素材を日本から輸入するのを辞めて自国で調達できるようにすべきだと云っているのでしょう。

では、どうしてプーチン大統領は日露関係の「再活性化」を首脳会談で約束したのでしょうか?

20120610

昨年の11月頃に、プーチン大統領は会見で「ロシアのプーチン首相が、間宮海峡に橋をかけてシベリア鉄道をサハリンまで延伸し、さらに海底トンネルで北海道までつなぐ」という構想を明らかにしました。これ以前に、シベリアの天然ガスをパイプラインで直接日本へ送る構想も、日本側が期待したほどには旨く行かないようです。5月のGWを利用してモスクワへ外遊した民主党の前原政調会長が、ロシアのラブロフ外相や天然ガス企業・ガスプロムの幹部と会って、両国の戦略的な発展の重要性に付いて意見の一致を見たと報じられていました。しかし、つい先日にガスプロムの幹部はパイプラインの建設自体が地質などの問題が多くて実現は不可能だと会見したことが報じられていました。

ロシアのガス輸出権は法令によりガスプロムが独占的に保有しています。ガス田そのものはロシア連邦政府が保有しているため、天然ガスの売上自体がロシア連邦政府の収益(税収)となります。日本政府は長年の協議と交渉を重ねてきた結果、「サハリン3」というガス田を中心に複数のガス田から天然ガスを輸入する事で日露が合意しました。現在はタンカーにより輸送されている天然ガスをパイプラインで輸送することで安定的な供給を確保したいとする思惑も、サハリンと北海道という地勢的な関係があればこそです。

この辺りの開発投資を促進し、トンネルや橋梁などの建設技術を日本から導入したいというのが、プーチン政権の思惑ではないかと思われます。 その取引の仕方として、プーチン小父さんは優しく、メドベージェフ小父さん頑固というキャラクターを印象づけ、北方領土の2島返還を餌にして、開発投資を引き出すのが狙いなのです。

その罠に嵌まれば、下手をしたら天然ガスは手に入らず、北方領土の返還交渉は日本政府の不誠実な対応にあったためとして、当分の間は凍結されてしまう事でしょう。

更に云えば、ガスの供給を受け、日本のエネルギー資源輸入の根幹をロシアが支えるようになった頃、ロシアはエネルギー外交を、時には恫喝外交の手段として行使してくる可能性があります。尖閣で中国漁船が巡視艇に衝突したようなトラブルが起きた時に、日本側に圧力を掛ける手段として、契約された供給量を提供する義務があるというのに、平気で天然ガスを止めてしまう挙に出て来る訳です。理由は機械の故障とか、テロの危険性とか、色々言いだすのが常です。

日本の政界の中には、日本がロシアのガスを恒常的に購入する事で、ロシアをコントロールできると云う人もいますし、評論家の中ではあの大前研一がメタルハイドレートの開発に400億円を投入するならシベリアの天然ガスに投資しろという人もいます。しかし、現実にはロシアのエネルギー外交に振り回されて、とことんまで対立が深まれば、日本が投資した設備も土地もロシアが強制的に凍結してしまうのは確実です。

これはここ10年のロシアとヨーロッパでの出来事を調べても判りますが、大前研一がいうような事にはなりません。国際的にもロシアと何等かの条約を結んで国家が安泰だった国は皆無です。日本でも1945年に不可侵条約を一方的に破棄されて侵略を受けた歴史的な事実がありますし。

ロシアは日本に対して天然資源外交で臨みたいのに、日本側はそのシグナルを理解しようとせずに、北方領土の返還ばかりを望めば、話が上手く行く訳が無いのは明らかですが、そんな事を考慮する暇が無いほどに、内向きな政界再編の事で手一杯じゃ、国益を思い切り損ないます。
 

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