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2013年4月23日 (火)

無理な進歩は落とし穴がある

http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2012/08/24/0505000000AKR20120824085100043.HTML


「(韓国)防衛事業庁は24日、 K2戦車国産パワーパック(エンジンとトランスミッションを組み合わせた動力伝達機構)の試験評価完了が予定された8月31日までに不可能であり、試験評価延長するかどうかについて、国防科学研究所(ADD)の検討要求をしたと明らかにした。防衛事業庁は、この日「K2戦車パワーパックメディアの報道検討結果」というタイトルの資料を通じてこのように明らかにした。昨年12月19日から行われた運用試験評価(OT)の走行目標であった5440㎞の約58%である2千902㎞を走行した。昨年11月8日から始まった開発試験評価(DT)耐久度テストでは、走行目標110975㎞の40%である4717㎞を走行したと説明した。防衛事業庁側は "開発試験評価耐久試験の中間結果を見ると、2556㎞を走行した時点(今年3月15日)で、エンジン39件、トランスミッション33件など72件の不具合が発生した。運用試験評価でも、最近まで91件の障害が発生したとし、欠陥の発生により、試験評価完了時点が遅れていることを説明した。4月2日、防衛事業推進委員会がK2戦車パワーパックの初回量産分を海外から輸入することに決定した後も、国内のパワーパックで、「オイルパン取付ボルト折損」、「速度及び方向調整器スイッチ欠陥」、「駐車ブレーキバルブの故障」、「冷却水漏れ」など22件の不具合が発生したと防衛事業庁は明らかにした。ただ最近実施した酷暑100㎞連続走行と8時間の連続稼働試験では特に問題点は発見されていないとも伝えた。軍関係者は「今年8月運用試験評価が成功的に終わっても、2016年以後に戦力化がなされると予想していた試験評価が再び中断して戦力化が更に遅れると見られる」と明らかにした。軍当局は国産パワーパック開発が遅れていることによってK-2戦車の初度量産分100両にドイツ産パワーパックを適用することに去年12月最終決定をした。」

戦車という戦闘車輌は、その国の自動車産業のレベルを知る写し鏡です。そもそも世界中で戦車を開発・生産出来る国は多くはありません。そんな中で韓国は後発の戦車開発・生産国です。

韓国陸軍は、創設以来M41やM48パットンなどのアメリカ製戦車を主力戦車として使用してきました。ここで戦車の運用を学びました。1980年代になり戦車の国産を目指した時、国産が不可能という結論に至り、米軍の主力戦車M1エイブラムスを開発したアメリカのクライスラー・ディフェンス社(現:ジェネラル・ダイナミクス社)に設計・開発を依頼し、生産は韓国の現代車輌社(現代精密、現:現代ロテム)が担当して1987年に「88戦車」として公式発表されたのが、現在の主力戦車K1です。

記事にあるK2戦車は、その後継戦車として自国で設計・開発されただけに、戦車の足回りの要である国産パワーパック(エンジンとトランスミッションを組み合わせた動力伝達機構)の事実上の不採用は大変な痛手だったことでしょう。

なにせK2開発に際しては、エンジンは国産の4サイクルV型12気筒水冷式ディーゼルの1,500馬力が新たに開発されました。このエンジンは試作車のXK2に搭載されたドイツMTU社のMT883の不正コピーという噂がありましたが、公式には斗山インフラコア社とADDが共同開発したものとされています。この新開発エンジンは小型で同程度の馬力を発する他形式のエンジンに比べ省スペースを得られるため、余剰スペースにサムスンテックウィンの設計による100馬力の小型ガスタービン補助エンジンを搭載することを可能にしました。この補助動力装置はメインエンジン停止時に発電を行い、燃料を節約し、車体が発する熱と音響の減少効果を狙って搭載されたようです。

自動トランスミッションの方は、S&T大宇社と国防科学研究所が共同開発した電子制御式トランスミッションが採用されました。この際に新機軸として前進6段、後進3段の自動変速を可能にすることによって変速時の衝撃を減少させ、かつ完全デジタル制御、自己診断機能により運用性の向上を目指したのです。ところが、この新機軸が今回のトラブルの原因のようです。早い話、新機軸が仇になったということですが、ここに韓国の自動車産業における技術力の限界が透けて見えます。

コピー製品を上手く作るところから、元の製品よりも高機能な製品へ昇華する術が育っていないと云うことなのではないでしょうか。

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