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2013年6月 4日 (火)

「棚上げが賢明、次世代に解決を」の意味

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=20&from=diary&id=2451604

「中国人民解放軍の戚建国副総参謀長は2日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(英国際戦略研究所主催)で、沖縄県・尖閣諸島問題について「我々より知恵のある次世代の人に解決してもらうべきだ」と述べ、中国側が1970年代に日中の合意があったと主張する「棚上げ」状態に戻るべきだとの見解を示した。過去の棚上げは「賢明な選択だった」とも指摘した。中国脅威論に配慮し、アジア・太平洋地域の安全保障問題を協議する同会議で、協調姿勢をアピールする狙いとみられる。一方で戚氏は「対話と平和維持を強調しているが、無条件の妥協を意味するものでない」と語り、領土問題で譲歩しない意思を改めて示した。」

「棚上げ」という意味には二通りの解釈が成り立ちます。

日中双方の政府が以前に、尖閣諸島の領有権に関する係争問題が存在し、それを棚上げしたということを確認する(させる)ことです。そうなると領有権問題は存在しないと言う日本政府の見解が覆ってしまう。何れ時期が来たら棚上げにした件は話し合わなければならなくなる。日本政府は交渉の場に立たせるには好都合というのが、中国の言う「棚上げ」です。

それを補完するように、今日はこういう話しがニュースになっています。

北京を訪問している野中広務元自民党幹事長は3日、中国の要人との会談で、沖縄県の尖閣諸島について日中国交正常化のときに、領有権問題を棚上げすることで、日中間で合意があったとする見解を伝え、日本政府の立場とは異なる野中氏のこの発言を中国の国営テレビや通信社が相次いで伝えました。野中元自民党幹事長は、超党派の訪中団の団長として2日から北京を訪れており、3日、人民大会堂で中国の党最高指導部の1人で党内の序列が5位の劉雲山政治局常務委員と会談しました。会談後、記者会見した野中氏などによりますと、この中で野中氏は、沖縄県の尖閣諸島を巡って41年前の日中国交正常化の際に当時の田中角栄総理大臣と中国の周恩来首相との間で領有権問題を棚上げすることで合意があった、と述べたということです。これに対して、劉常務委員は、野中氏が長期にわたって日中関係の発展のために尽くした努力を評価し、中国としても日中関係の発展を重視していることを表明したということです。野中氏の「棚上げ合意があった」とする発言は「尖閣諸島を巡る領土問題は存在しないため、棚上げの合意もない」とする日本政府の立場とは異なり、中国の主張と同じもので、中国国営のテレビや通信社は、相次いで野中氏の発言を伝えています。野中氏は「田中元総理から当時の状況を明確に聞いた生き証人として明らかにしておきたかった」と述べており、野中氏の発言は、今後、波紋を広げることになりそうです。(NHK:6月4日



野中氏がこういう発言をするのは元々です。2012年9月22日に中国の国営テレビ局「中国中央電子台(CCTV)」の取材に応え、「こんな不幸な事件(尖閣問題)が起きたのは、まったく日本の人間として恥ずかしい。中国の皆さんに大変申し訳ない」と謝罪していましたので。このニュースも、今回の談話も中国国内では多くのメディアを通じて世論を形成するのに利用されています。この辺は宣伝上手の共産党らしい手腕です。ちなみに、この訪中団に参加しているのは、二階俊博元経済産業相、古賀誠・元自民党幹事長や民主党の仙谷由人・元官房長官などです。

いずれにしても、中国はこの野中発言を利用して、先程の領土問題が双方政府の間で存在したと言うことを強調したいのでした。

では、もうひとつの解釈はですが、日本政府は『日中共同声明』の交渉を中国政府としていた段階で、日本側は尖閣諸島の領有権はそもそも存在しないという姿勢ではあったのだが、中国側はそうではないと言い張るので、この件を外して交渉を進め、日中両政府の共同声明を出すことにしましょうという合意の事を「棚上げ」と思っていた。だから、この話は公然の秘密としてリークされ、我々も知っていたという考え方です。

さて、いわゆる『日中共同声明』には以下のような文言があります。

『日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明』(1972年9月29日)

○日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。

○両政府は、右の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。



大半の日本人はすっかり忘れ、知識人は口をつぐんでいますが、日中両政府は、

①主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉
②すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えない

こういう宣言をしています。

恐らく、日本でも中国が穏便に事を収めようというシグナルを出しているのだから、ここは「棚上げ」に再度してしまおうという先送り論がベストな解決法のように宣伝されるでしょう。しかし、自分の家の敷地を隣人が自分の土地だと言い立てるのを棚上げにする人なんかいません。上の宣言にもあるように、領土保全の相互尊重、相互不可侵、武力に訴えないという原則を常に公式の場で常に世界に宣伝し、日本は自国の領土の保全と、中国による挑発には平和裡に問題を解決することを宣言して、気長に対立状態の解決を模索するべきだと思います。

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