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2014年3月 7日 (金)

ロシアかEUか?それが問題だ!

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=52&from=diary&id=2779282

「ロシアのラブロフ外相は25日、ロシアと密接な関係を結ぶか、もしくは欧米と密接な関係を結ぶかという選択を、ウクライナに迫るべきではないとの考えを示した。ルクセンブルク外相との会談後に開いた共同記者会見で述べた。ラブロフ外相は「ウクライナに『われわれの側に付くのか、それともわれわれと反対の側に付くのか』との選択を迫ることは危険であり、非生産的だ」と指摘。「(ロシアも欧米も)ウクライナ内の異なる政治勢力との関係を利用して、状況の鎮静化を図るべきであり、国家的な対話を必要としている時に一方的な利益を得ようとすべきではない」と述べた。」

ここ数日、マスコミを通して報じられているヤヌコヴィッチ大統領の驕奢な生活ぶりは、かってルーマニアにあったチャウシェスク大統領を彷彿とさせられます。早い話が不正腐敗で自己崩壊するしかなかった政権だったというシナリオを作ろうとしています。フィリピンのマルコス政権やイラクのフセイン政権、リビアのカダフィー政権など、似たような話しを誰もが知っていますから、こういう形が誘導しやすいのでしょう。

ただ独裁的な体制にヤヌコヴィッチ政権があったのなら、どうして軍を投入して反対派を実力で排除することなく、政権を放り出したのでしょう?ロシアに軍事力の支援を要請することも可能だった筈です。

ウクライナの本当の問題 は、経済危機とロシア軍の存在にあります。

さて、ウクライナの政府債務(借金)は総額700億ドル(約7兆円)超だと推定されています。この内で今年度中に100億ドル(約1兆円)超が返済期限を迎えます。このままでいけば債務不履行が発生するのは確実です。「2014~2015年で350億ドル(約3兆5千億円)の支援が必要だ」とウクライナのコロボフ臨時財務相は24日に明言しています。

ヤヌコヴィッチ政権は、この償還金の3分の1程度(総額150億ドル(約1兆5千億円)をロシアからの支援で賄い、更に追加を引き出す予定だったのが、ヤヌコヴィッチ政権の崩壊で反故になるのですから、事態が深刻なのも理解できます。

だから、EUへ加盟して、EUからの支援を受けたいと望む勢力が台頭してくるのです。そもそも一度はEU加盟を決めておきながら、それを白紙にしてロシアへ依存することを決めたのが、今回の騒動の発火点だったのですし。

ロシアがウクライナに拘るのは、ウクライナにはロシア海軍の黒海艦隊が今も存在し、その基地の租借権をウクライナはロシアに与えているからです。ロシアに借りを作れば、租借問題はどんどん延長されかねない。さらにウクライナのエネルギーはロシアのガス供給に支えられている現状をみれば、ロシアが外交問題をエネルギー輸出で解決しようとする過去の経験も忘れることはできないのでしょう。さらにウクライナにはソ連時代から置かれている「キエフ原子力研究所」があり、ロシアの核兵器技術の重要な部分を支えているのですから、その人材が失われるのもロシアには深刻な問題となっています。

そもそも1918年のロシア革命後に、ウクライナ人はウクライナ人民共和国の独立を宣言したのですが、ロシア赤軍の侵攻に破れ、1922年に「ウクライナ社会主義共和国」という傀儡政権を樹立されてしまい、ソ連に取り込まれてしまった過去があります。その後の仕打ちがとても酷かったことをウクライナ人は忘れていません。

例えば、1920年代から1940年代にかけて、ソ連共産党は、ウクライナの重工業化・集団農場化・共産化を強く行った過程で、ウクライナ的な生活様式と多くの文化財がソ連により崩壊させられた恨みもあります。さらに1932年から1933年に「ホロドモール」(小麦の輸出が貴重な外貨獲得手段であったソ連は、ウクライナなどの小麦産地からは小麦を徴発して輸出に回し続け、それが食糧不足を招くことになったのに無視して継続した)と呼ばれるスターリン指導の政策により人工的な大飢饉が起こり、ウクライナ人だけでも1千万人以上の餓死者を出しました。この事に対して、これは意図的なウクライナ人の虐殺だという歴史的な認識もあります。

1991年にソ連が崩壊し、同年8月にウクライナはソ連から独立を宣言。同年12月にはロシアがウクライナの独立を承認して、73年ぶりに悲願の独立をなしたという気持ちが同国では強いのです。ただし、軍事的にも外向的にも弱国であることには変わりがありません。

だから、ウクライナがEUに加盟することで、ロシアの横暴な外交姿勢をやりにくくし、経済危機もEUの手を借りて回避するという、捕らぬ狸の皮算用は、今のところはEUが260億ドル程度の支援を考えているようですから、まずは成功だと思えます。

EUにしたら、ウクライナのデフォルトを回避することが急務だと考えているのでしょう。ウクライナにおける経済危機が進んでしまえば、ユーロの大暴落がおきかねないという危惧がEUには強くある現れです。実際に2008年にロシアがグルジアに侵攻をした際には、ユーロが暴落したことがあります。

ただ、ロシアがこのまま静観するとは思えません。ヤヌコヴィッチ政権の崩壊でウクライナは平和になる的な見方は大変危険な勘違いになりかねません。

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