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2014年3月24日 (月)

武人の本懐

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=2800276
「震災から3年が経過し、海上自衛隊の知られざるエピソードをまとめた著書『武人の本懐』(講談社)をこのたび出版しました。我々は将来も災害から逃れることはできません。そのためにも記録を残しておきたいと考えたからです。」
東日本大震災での海上自衛隊の活躍ぶりは、あまりマスコミで報じられてこなかったので、この本の出版を契機に少しは世間に知られるといいのですが。
一応海幕も、こういう資料は<a HREF="http://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/tamokutekisen/2/pdf/shiryou01.pdf" target="_blank">公開</a>してるのですが、なにせ宣伝下手ですから。
教え子の数人は、被災地に派遣された護衛艦に乗り組んでいましたので、少しは話しを聞いています。とはいえ、アッと驚くような活躍ではなく、地味な仕事での頑張りです。そんな中で私には驚きだったのは水の問題でした。
護衛艦や民間船での生活用水は出港時に搭載する真水で賄います。船では清水(雑用水:風呂、洗濯、掃除などの生活用水)と飲料水(飲み水、調理用水)を別々のタンクに蓄えています。蒸気タービンエンジンの場合はボイラー用の水も必要です。
航海が長くなると真水タンクにある水が無くなっていきます。昔は、何処かの港に寄って水を補給する必要がありました。それでは航海に余計な時間が掛かります。そこで今時の船は造水機(船舶用造水装置)で真水を作ります。
海水から真水を造る方法には、海水を沸騰させ、その蒸気(湯気)を集めて冷やすことによって蒸留水を造っています。蒸留水は飲み水としては美味しくないので、そこに薬品(殺菌剤、ミネラル)を投入し、清水、飲料水として利用しています。この方法で無限に真水を補給することが出来るようになったのです。燃料補給が数年は必要のない原子力機関の場合は、無限に航海出来るに等しい能力を得ました。ただし、それ以外の機関の場合、造水機を使えば余計な燃料を消費してしまいます。これが唯一の欠点です。技術革新により最新鋭の造水装置では、逆浸透膜エレメントを利用して、海水を濾過し、真水を作る方式を採用している船もあるそうです。これだと発電機の電力を利用するだけなので、燃料の消費は抑えられます。
ところがです。被災地沿岸部の海面には、津波により多くの物が漂い、水質は最悪でした。それらの浮遊物を大量に吸い込んでしまう可能性もあって、救援にやってきた護衛艦の造水機が使えなかったそうです。同様に海水を使う各種冷却海水ポンプなどのは目詰まりが多発してしまい、機関員は漉し網(異物混入防止用の網)の掃除に忙殺されることになっていたと聞いています。
そうなると調理や入浴、洗濯、洗面など、水を使う生活用水を切り詰めていくしかありません。そして、それが限界になる日時を算出しておいて、司令部に補給を予め要請するなどしておかないと、一旦は何処かの港に戻らないといけなくなります。そうそう現場を離れられない(たくない)のですから、洋上での補給を希望するのですが、補給艦ですら捜索任務に従事している有様では、その補給が先になるのは確実と覚悟するほかありません。ひたすら水の節約に務めるしか有りません。つまり、顔を洗わず、髭も剃らず、パンツも履き替えず、海自の隊員達は汚神となって活動していたのです。しかも寝食を忘れて。

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