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2015年1月14日 (水)

ご参詣のルール

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3212339 

「安倍晋三首相は5日、三重県伊勢市の伊勢神宮に参拝した。岸田文雄外相や甘利明経済再生相ら11閣僚も同行した。新年の伊勢参りは歴代首相の恒例行事で、安倍首相は2012年の再登板以降3回目。首相は外宮、内宮の順に参拝し、5日夜に東京に戻る。」

時の為政者が、伊勢神宮へ年始に参拝をして、国を護って欲しいと神に祈るのは、昔からの慣例です。例えば江戸時代、徳川幕府は高家に命じて、将軍の名代として伊勢神宮に参拝することを続けていました。明治以降も、時の為政者は、その習わしに従ってきたともいえます。こういう習わしを時の為政者個人の考えで中断してしまい、その後に大災害でも起きてしまうと、その災害が為政者のせいにされてしまわないかと心配するのが日本人のメンタリティーです。だから、未だに参詣をやめられないともいえます。

時々、総理の伊勢神宮参拝に関して、公費でお賽銭を出すのは憲法違反だろうという意見を言う人がいますが、そういう人ほど伊勢神宮のことを知らない傾向があります。 そもそも伊勢神宮は普通の神社ではありません。伊勢神宮では個人的な願いをかなえようと手を合わせてはいけない神社なのです。願うのが許されるのは「国家鎮護」のみなのです。

実は伊勢神宮の「外宮」も「内宮」も、正殿前には、「おさい銭箱」がありません。どうしてかといえば、伊勢神宮の基本中の基本は「私幣禁断(個人の寄付を禁じる)」だからです。それ故に天皇以外の者が奉幣(お賽銭を上げること)することを禁じています。これは平安時代に定められた「伊勢太神宮式」で決められて以来、千年以上守り通されてきた定めです。

君、いい加減なことを言うな、内宮も外宮も白い敷布が敷いてあって、そこにはおさい銭があっただろうという方もいると思います。あれは伊勢神宮の決まりを知らないで、お賽銭を投げ込む人が後を絶たないので、お金が地面に接触して聖域が穢れてしまうのを防ぐために敷いてある「防御装置」的なものです。 けして賽銭箱の代わりではありません。

さらに言えば、以前は「内宮」に民衆が参拝することすら認められていませんでした。「内宮」は天皇のみが参詣を許される聖域であって、朝廷の許しを得た将軍などの高官が特別に参詣を許されたに過ぎませんでした。江戸時代に流行した「お伊勢参り」は「外宮」に参詣することであって、けして「内宮」に参ることではありませんでした。

では、その「外宮」とは何?というと、「外宮」は元々から伊勢・山田の地にあった地元の神社でした。その近くへ、7世紀後半になって大和朝廷がやってきて、伊勢に設けたのが「内宮」です。つまり「内宮」は創設時から天皇家専用の神社だったのです。その「内宮」を日本全体の鎮守と敬ったのが武士達でした。そんな武士集団による喜捨で伊勢神宮は栄えましたが、中世の後期に戦乱が続くと、伊勢神宮も衰微してしまいます。その際に「外宮」と「内宮」が一丸になって立て直しを図った事から一体化されてしまっているに過ぎません。


ですから、参詣の時間が無い時には「内宮」だけを参る(ただし国の安寧を祈る場合ですが)だけでも構いません。なお、歴代総理は、外宮、内宮の順に参拝します。

さて、日本書紀によれば、雄略大王の時代から王女が「伊勢大神」の祠に侍する慣行があったようです。これを「斎王」といいます。以後、代々天皇家の王女が斎王を務めてきました。現在だったら、元紀宮様が斎王になっていたことでしょう。 しかし、歴代の天皇は伊勢神宮に参拝しては来ませんでした。伊勢神宮を最初に参拝した天皇は、実は明治天皇なのです。以後は今上天皇に至るまで、参詣は繰り返し行われています。

その理由には諸説があるのですが、定説とされているのは祭神を変えてしまったためというものです。伊勢神宮に元々祭られていたのは、イザナギ・イザナミ神および弟の月読(つくよみ)神でした。ところが、大海人皇子(後の天武天皇)が「天照大神」を神宮に祭神として拝しました。この際に、後に祟りが起きてしまい、そのことを歴代天皇が忌み嫌ったからだと言われています。早い話、参詣した天皇の治世に大災害が起きてしまうと、参詣した天皇に責任が生じるのを懼れたのでしょう。 なお、後に起きた災害とは、続日本紀によると、772年(宝亀3年)8月に伊勢湾台風級の台風が伊勢を襲い、大きな被害を出した事だと推測できます。ちなみに、天武天皇の治世は673年3月20日から686年10月1日まで。彼の治世では何も起きていません。実際に災害が起きたのは天武帝の死語100年後ことでした。 
「天照大神」を祭神に加えることは、「伊勢大神」からの移行ではなく、新しい神の創出にあたります。自然神の「日神」と、人格神である「天照大神」には大変な違いがあります。相容れない神を無理矢理合祀するということが、どうして起きたのか、それは今も謎なのです。

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