軍事

2013年8月24日 (土)

中国軍機が沖縄と宮古島間初飛行

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=2515978



「防衛省は24日、中国軍の早期警戒機が沖縄本島と宮古島の間の公海上空を通過し、東シナ海から太平洋に抜けるのを確認したと発表した。中国軍機がこの空域を飛行したのは初めて。領空侵犯はなく、航空自衛隊が緊急発進して対応した。」 


(2010年3月12日の飛来機の映像)

NHKのニュース映像を見る限り、飛来したのは中国海軍の「Y-8」洋上偵察機のようです。おそらく上海近くの海軍航空隊基地に展開しているの2機(No.9281、9301)のどちらかでしょう。普段は東海艦隊の作戦支援任務に従事している機体です。「Y-8」の9301機は、2010年3月12日に東シナ海上空を沖縄本島に向けて飛行していたため、航空自衛隊の緊急発進を受けた機体です。


(こちらは確認されている機体で一番新しい9321機)

Y-8の特徴は、機首にあるSkymaster(イギリスのRacal社(現タレス社)が開発した空中捜索レーダー)用の大きなレドームです。この捜索レーダーはイギリス軍のニムロッドMR.2とシーキングAEW.2に装備されているレーダーを改良したLバンドのパルスドップラー・レーダーです。その能力は、高度1,000m~3,000mを飛行している状態で、空中目標に対して85km(ルックダウン・モード)~110km(ルックアップ・モード)、水上目標に対して最大230~240kmの捜索範囲を有していると云われています。また海面上の32目標と空中の100目標を同時に追尾する事が可能で、これを支援するレーダー・システムとして2台のコンピュータを機体に備えており、一台が探知・観測用、もう一台が攻撃・管制用に使用されています。仮にY-8Jの実用上昇限度である10,400mまで上昇した場合、Skymasterレーダーは320km×640kmの範囲をカバーする能力を有しているので、一機での哨戒能力は広いんです。

とはいえ、こんなものが飛んできても、空自のレーダーサイトの捜索レーダーの情報はあまり捕れないだろうし、あくまで水先案内のためのデモンストレーション。空自にはえらい迷惑でしょう。

日本政府が中国政府の棚上げ論に乗ってこない事へのゆざぶり行動ですが、肝心の地元である沖縄は中国領だと云われても怒りもしないんだから、こりゃ大変です。

2013年7月26日 (金)

「自衛隊の海兵隊機能を強化」って、日本語として正しいの?

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=20&from=diary&id=2518930

「防衛省は26日午前、安全保障政策の基本方針「防衛計画の大綱」(防衛大綱)の見直しに向けた「防衛力の在り方検討に関する中間報告」を発表した。中国が示威行動を繰り返す沖縄県・尖閣諸島の周辺海域を念頭に、島嶼(とうしょ)防衛について、「機動展開能力や水陸両用機能を確保することが重要」と明記し、上陸作戦など自衛隊の海兵隊的機能を強化する方針を打ち出した。自衛のため、敵基地を攻撃する能力の保持についても検討していく方針を盛り込んだ。政府は今後、年末の新たな防衛大綱の取りまとめに向けた議論を加速させる。島嶼防衛では、「部隊・装備の配備、統合輸送や水陸両用部隊の充実・強化」を進める考えを掲げた。具体的には、専門部隊である陸上自衛隊西部方面普通科連隊(長崎県、約700人)の拡充や、水陸両用車の配備を想定している。」

相変わらずマスコミは軍事音痴の振りをするよねぇ!と思うのは、”自衛隊の海兵隊機能を強化”という変な日本語。「海兵隊機能」とは何だと思って記事を見たら”海兵隊的機能”とある。要するに米海兵隊のような機能という意味らしい。米海兵隊は自衛隊とほぼ同じ規模。空自よりも攻撃力がある航空隊を持ってるし、着上陸作戦以外にも、ヘリからも、航空機からも作戦は可能。在外公館の警備からホワイトハウスの中にまで海兵隊は関わってる。自衛隊をそういう風にしたいの?

では「専守防衛」はどうなる訳?

そもそも「専守防衛」とは、日本の中に敵を迎えてから反撃するという国土を戦場にします宣言と同じ。それくらいの覚悟を持ってるから、侵略してきたら泥沼になり、大量の犠牲を強いますよというのが「専守防衛」の真の姿。ですが、そんなことは社民党は云ってないし、マスコミもそういう真実は伝えないで来たのですが、これ早い話が誤魔化し、嘘の上塗り。

だから、相手の国で戦端を開くというのが世界の軍事常識。海兵隊は、その先兵として使われる軍事組織です。犠牲を厭わない高い士気が売り物。だから、日本が海兵隊を持つのに反対という勢力が与党の自民党にもあるくらいです。

でも、新防衛大綱の方向性を示す中間報告で、そんなことは言っていない。「中国の軍拡や海洋進出を念頭に、離島防衛のため「水陸両用機能を確保することが重要」と勧告しているに過ぎないのです。中国や北朝鮮、韓国などの仮想敵国は数あれど、日本本土を占領できるほどの能力がある国は皆無。中国にしても、一挙に急襲して九州を占領できるかと云えば、それはかなり難しいし。もしも負けたら、現習政権は消えて無くなりかねないから、そんな冒険をするわけにもいかない。まず、仕掛けてくるのは、自国の領土を対外的に宣言している尖閣諸島や、先島諸島への侵攻作戦。そこを占領して、其処に大きな軍事拠点を設けてから、沖縄本島へ、そしてさらに九州へという作戦を立てるのが常道。

だから、離島に侵攻してきた初期の段階で、自衛隊が占領され掛かっている状態の間に駆け付けて、敵を追い出してしまう能力を付ける必要があると云ってるのが”離島防衛のため「水陸両用機能」を確保する”ということなのです。

今の自衛隊は、陸自の戦闘部隊を敵地へ送り込む装備も訓練も無いに等しいのです。あるのは、前線に近い後方から、増援部隊を送り込んで戦線を維持するという能力だけ。だから、離島を占領されてしまうと、取り返すためにヘリで部隊を送り込んだり、輸送艦のホーバークラフトなどを利用して、島に部隊を送ることしか出来ないのです。しかし相手だって、事前に自衛隊の装備や戦略を調べて、対抗策を用意して待っている筈。米英などの軍事大国では、まず島に特殊部隊を潜水艦などで送り込み、偵察をします。米軍だとSEALSや海兵隊のフォース・リーコンがこの任務をこなします。自衛隊には、未だにこの手の部隊はありません。反対する政党が沢山いたからです。偵察の後は、反撃部隊を海上から送り込むのですが、まずは制空権と制海権を占領された島の周囲に確保しないといけません。空は空自が、海は海自の護衛艦や潜水艦が、それぞれ仕事をして上陸部隊の安全を確保。そこに海自の揚陸艦やら、護衛艦に分乗した水陸両用部隊が島に接近して、逆上陸作戦を敢行。敵の上陸部隊を攻撃して、飛行場なりヘリの降りられるスペースを確保したら、空路で次々の増援部隊を送り込み、目出度く取り返すという風にしたいと、大綱は云っているのです。

努々、海外侵略の先兵とか、軍事侵略の第一歩の誤魔化しだとか、そういう雑音に惑わされません様にお願いします。

2013年7月 1日 (月)

CODE:BREAKER

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=20&from=diary&id=2487295


「米国家安全保障局(NSA)による情報監視問題で、英紙ガーディアン(電子版)は6月30日、NSAを含む米情報機関が日本の在米大使館をはじめ計38か所の大使館・代表部の通信を傍受していたと報じた。元中央情報局(CIA)技術助手エドワード・スノーデン容疑者(30)が持ち出したNSAの極秘資料をもとに報じた。2010年9月の資料では、これまでも監視対象だったと伝えられていた欧州連合(EU)代表部に加え、ワシントンやニューヨークにある日本と韓国、メキシコ、トルコ、インドの在外公館も傍受の「標的」だったという。対象リストには、EU加盟国のフランスやイタリア、ギリシャも含まれていた。」

ハーバート・オズボーン・ヤードリー(米国務省情報部MI-8「ブラック・チェンバー」の設立者)は、その著『ブラック・チェンバー 米国はいかにして外交暗号を盗んだか』の中で1921年から1922年のワシントン会議(海軍軍縮会議)で日本側の外交暗号を解読し、その交渉を米国に優位に進めたことを明らかにしています。エドワード・スノーデン氏の告白に匹敵するメガトン級の国家機密が出版された背景には、ヘンリー・スティムソン国務長官に「ブラック・チェンバー」を潰された事への遺恨だったと云われていますが、この本の存在が日本に伝わった際の反応が興味深いのです。

当然関係者は驚愕したのですが、ではと暗号を解読されないように暗号を変更はしたものの、それから定期的な変更の措置を取らず、第二次世界大戦になると再び米国に外交暗号を解読されるというミスを犯したのでした。

そして、そのチキンレースは戦後も同様のようで、この記事を読む限りは今も負けてる様子です。

もっとも、小泉政権時に日本からブッシュjr政権に対して、日本もエシュロンに参加させるように要請がだされたという話しもありました。青森の三沢にはエシュロンのアンテナ群が存在します。情報の一部は共有されているのかも知れませんね。ただし、米国が渡したくないものは自前で何とかするしかないのは自明です。

話しを戻しまして、1940年7月10日に、「ブラック・チェンバー」を潰したスティムソンは陸軍長官に就任。そのまま第二次世界大戦に遭遇するのですが、流石に、この時には日本外交の暗号解読の有用性は認めていたようです。

2013年5月20日 (月)

潜水艦の探し方

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130520-OYT1T01626.htm?from=rss&ref=mixi


「中国海軍所属とみられる潜水艦が19日に沖縄県・南大東島の接続水域内で潜航した際、

海上自衛隊の哨戒機がこの潜水艦に音響探知機(ソノブイ)の音波を当てていたことが分かった。複数の政府関係者が20日、明らかにした。この水域での潜水艦潜航は今月に入って3件発覚し、中国公船が尖閣諸島(沖縄県)周辺の接続水域内での航行などを繰り返していることと関連する可能性があり、けん制するためとみられる。政府は今後も監視、警戒態勢を強めていく方針だ。潜水艦の識別には通常、艦艇の出す音をとらえる音響探知機を哨戒機から投下し、固有のスクリュー音を聴取して艦種を特定する。この際、相手側に探知されないよう探知機から音波は出さないが、音波をあえて出すことで、相手に日本側が監視していることをわかるようにしたとみられる。(2013年5月21日 読売新聞)」

>潜水艦が19日に沖縄県・南大東島の接続水域内で潜航した際

記事だけ読むと浮上航行していた潜水艦が接続水域(領海の外縁にあり、基線から24海里の範囲にある水域のこと)で潜航したように取れるのですが、これまでの発表では潜航して航行したというものでした。浮上している潜水艦がいたら、写真などから、そのクラスや所属国籍も明らかにされたと思うのですが、ちょっと不思議な書き方でした。

さて、海中を潜りながら航行する潜水艦をどう探知するのかですが、2日から19日にかけて中国の潜水艦とおぼしき艦艇が侵入した海域は、①鹿児島・奄美大島、②沖縄・久米島、③沖縄・南大東島でした。中国側から潜水艦が日本の領海を避けて、太平洋側に出ていこうとする航路は、そう多くもありません。まずは、こうした海域を中心に対潜哨戒機がパトロールをしています。24時間・365日休み無くです。ただし、台風など飛行できない場合もあります。そういう場合に備えるため、護衛艦も同海域で警備活動を行っています。海自の潜水艦も、こうした海域の海中に潜んで、やってくる他国の潜水艦を監視する活動をしています。

そうした活動の主たる手段は”聞き耳を立てる”ことです。聴音機と呼ばれる海中の音を集める装置を用いて、潜水艦が出す音をキャッチします。潜水艦の場合、スクリューを回転させて航行するタイプが主ですから、その回転によって生じる音を探ります。分析は人の耳であったり、コンピューターソフトの解析であったりします。また海中を航行する際に船体が海水に触れることで生じる極低周波の騒音も探知の対象です。

さらに米国海軍は全世界的な監視網を偵察衛星などで行っています。中国の潜水艦基地を出港する姿も監視の対象でしょうから、外洋にでて潜航するまでの姿がまず探知されています。その情報は米海軍から海上自衛隊にももたらされると思われます。

対潜哨戒機の場合、記事にあるように投下式の「音響探知機(ソノブイ)」を用い潜水艦の発する音に聞き耳をたてるのですが、こちらから音波を出して、正確な位置を探る方法も用いられます。ただし、こちらが音を出せば、出した場所が相手に知られます。同時に監視されていることも判明しますので、滅多にそういう方法はとりません。

(米海軍の代表的なソノブイの一つ、「SSQ-47B」と機内格納時用樹脂製ケース(上))

(胴体後部下面にあるソノブイ投下装置へソノブイを搭載する隊員)

ソノブイ以外にも潜水艦(磁性を帯びた潜水艦が少なからぬ磁場の乱れを生み出す)を探知するための磁気探知機も探査に用いられます。「MAD」(magnetic anomaly detector)と呼ばれる装置が対潜哨戒機や護衛艦などには備えられています。


(P-3C 機体尾部のMADブーム)

「MAD」で怪しい磁気の乱れを発見したら、その周囲にソノブイを飛行しながら投下して、円に近い探知網を構築します。ブイからは無線で探知情報が哨戒機に送られてきます。その情報を搭載したコンピュータや分析装置を用いて解析し、捜索の指揮をとるのが戦術航空士(TACCO)です。


(P-3C 戦術航空士(TACCO)席(左)と航法・通信員(NAV/COM)席(右))


(P-3C ソナー員(SS-1、SS-2)席)

今回の場合は、日本側が警報を鳴らして、相手に探知されていることを示さないといけない、何等かの事情が生じたと思われます。一番考えやすいのは警報を発したという考え方ですが、産経新聞がこんな分析を載せています。

小野寺五典防衛相は20日、中国潜水艦の接続水域侵入について記者団にこう述べた。日米韓3カ国は15日、九州西方の東シナ海で米原子力空母ニミッツも展開させ合同訓練を実施。小野寺氏の発言は、中国潜水艦がニミッツの動向を把握するために投入されたとの見方を示唆したものだ。ただ、3度続いた接続水域への侵入は、ニミッツの動向把握にとどまらない。そもそも潜水艦の行動目的は2つ。情報収集とプレゼンス(存在感)だ。海中深く身を潜め、相手国の艦艇の動向を把握するのが前者。後者はその姿をあえてさらすことで、相手国にプレッシャーを与える効果を期待するものだ。そもそも潜水艦の行動目的は2つ。情報収集とプレゼンス(存在感)だ。(産経新聞2013.5.21 12:13


 
米海軍の艦艇の音紋(スクリュー音などの艦艇の発する音のこと)を蒐集することも目的ではなかったかと思われますが、米海軍の機動部隊の対潜哨戒はヘリが中心ですが、相当な対潜哨戒能力を持っています。やすやすと近づけるとも思えません。それに機動部隊には攻撃型原潜が護衛についてるので、海中だって隙はないとも思いますし。

それを破り空母に接近するための情報収集が何時反映されるのでしょう?興味深いです。中国海軍って、いま勃興期なのでしょう。

2013年3月 4日 (月)

第303沿岸監視隊

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=2345537



「安倍晋三首相は4日の衆院本会議で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で中国軍などが活動を活発化していることを受け、日本最西端に位置する与那国島(同県与那国町)への陸上自衛隊沿岸監視部隊の配備を2015年度末までに実現する方針を表明した。尖閣諸島から与那国島までは約150キロメートル。防衛省は、艦船や航空機に対する沿岸からの警戒監視を強化するため、100人規模の部隊を与那国島に常駐させる方針で、13年度予算案には敷地造成費など約62億円を計上している。」

民主党政権の時代から実現の道筋はついていましたので、今更ではありますが、あの素人政権でも、評価される判断ではありました。



沿岸監視部隊というのは、日本の沿岸を航行する船舶の情報収集を主任務とする部隊の事です。現在のところ、北海道の稚内と標津に部隊がおかれているのみで、与那国島に新編されると3っ目の部隊となります。なお、北海道の部隊は来年の春に新編される北部方面情報隊の隷下に入ることになります。この北部方面情報隊には無人偵察機を運用する部隊が新たに作られます。


(第302沿岸監視隊(標津分屯地)のセンサー類)

第301沿岸監視隊(稚内分屯地及び礼文分屯地)
第302沿岸監視隊(標津分屯地)


仮に与那国島に部隊が作られるのなら、第303沿岸監視隊となるのではと思います。

この部隊を管轄するのは西部方面隊ですが、ここには西部方面情報隊が既にあります。通信情報隊(健軍)や無人偵察機隊(飯塚)がおかれていますので、事態が悪くなれば無人偵察機部隊も分遣されることになるでしょうね。

    2013年2月 5日 (火)

    面子だけの相手ですから

    http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=2313950

    「防衛省は5日、中国海軍のフリゲート艦が1月30日に東シナ海で、海上自衛隊の護衛艦に火器管制レーダーを照射したと発表した。射撃用の同レーダーを照射することで、海自を威嚇したものとみられる。小野寺五典防衛相は5日、「大変異常で一歩間違うと危険な状況に陥っていた」と述べた。同省によると、1月19日にも、東シナ海で中国海軍のフリゲート艦から、海自護衛艦搭載のヘリコプターに火器管制レーダーが照射された疑いがある。」 

    なんだなんだと思う前に、東シナ海って、正確には何処のことで、海上自衛隊の護衛艦はどの船なのというところに立ち戻りましょう。



    中国海軍と海自が対馬の沖でトラブルとはあまり思えません。東シナ海とは書いてありますが、早い話が尖閣諸島の周辺海域で日本領海に隣接した水域。海自の方は警備のためのパトロール。中国海軍の方は尖閣諸島で日本側とトラブルがあった場合に即座に駆け付けるための待機任務でしょう。


    (記事に出てくる「ゆうだち」)

    さて、1月30日(水)の事件の方です。当日の午前10時頃、東シナ海において、中国海軍ジャンウェイⅡ級フリゲート「連雲港(Lianyungang)」(522)から、海上自衛隊第7護衛隊「ゆうだち」(佐世保)が、火器管制レーダーを照射されたと防衛省は発表しました。


    (ジャンウェイⅡ級フリゲート)

    火器管制レーダーとは、軍艦の武器であるミサイル大砲の照準をするための小型レーダーのような装置のことです。ただ、中国海軍は軍艦としてのテクノロジーは旧世代に属しますので、火器管制レーダーといっても、こんなにあります。上の写真の艦橋上部にある二つの小さなレーダーのようなものが火器管制レーダーです

    ただし、火器管制レーダーと一口にいっても、幾つも種類を搭載しているのが中国海軍でして、ジャンウェイⅡ級フリゲートには、こんなに種類が御座います。種類が多いのは技術的に優れているからとは言えません。むしろ、搭載している火器(武器)に、それぞれ管制レーダーを配するのはテクノロジーが遅れているからですので。

    火器管制レーダー
    ○345型(MR-35)→SAM用 1基
    ○352型(Square Tie)。後期艦では344型(MR-34)→SSM&砲用1基
    ○347G型(EFR-1/Rice Lamp)→機関砲用 1基
    ○347G型(EFR-1/Rice Lamp)→機関砲用 1基
    □光学電子照準機(JM-83H)→砲用1基




    (搭載ヘリが照射された「おおなみ」)

    1月19日(土)の方の事件の概要はこんな感じです。午後5時頃、東シナ海において、中国海軍ジャンカイⅠ級フリゲート「温州(Wenzhou)」(526)から、海上自衛隊第6護衛隊「おおなみ」(横須賀)搭載ヘリコプターに対する火器管制レーダーの照射が疑われる事案が発生していたというものです。


    (ジャンカイⅠ級フリゲート)

    ジャンカイⅠ級フリゲートの方はフランス海軍のテクノロジーが多少活かされているようです。

    火器管制レーダー
    ○345型(MR-35)→SAM用 1基
    ○344A型(MR-34)→ SSM&砲用 1基
    ○347G型(EFR-1/Rice Lamp)→CIWS用2基



    さて、火器管制レーダーを照射するというのは、何時でも攻撃できる態勢にしたというシグナルです。ですから、かなり強いアピールにはなります。しかし、これで戦争状態になったとはいえません。あくまで挑発行為です。

    中国は勝てない戦争はしません。面子が全ての国です。日本に戦いを挑んで、もしも海戦で敗北したりしたら、国内世論がそれを許しません。今のところ、日本と事を構えるには時期がよくありません。なにせ中国は新指導部への移行期です。僅かな瑕疵でも体制がひっくり返る可能性があるのですから。

    日本政府は、こんな挑発行為にはけしてのらず、その事実だけを世界に公表し続けていくことで、中国による戦争への誘導を批判するだけでいいのです。

      2012年8月30日 (木)

      自己規制の挙げ句がこのざまか

      http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=2135804&media_id=20

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      「防衛省は27日、尖閣諸島を含む南西諸島の防衛力を強化するため、離島の上陸作戦に使う水陸両用強襲車を陸上自衛隊に導入する方針を固めた。2013年度予算案の概算要求に4両分、約25億円を盛り込む。導入するのは、米海兵隊が採用している「AAV7」。自衛隊はこれまで「専守防衛」の観点から、洋上から陸地に上陸する能力を持たなかったが、離島に敵の上陸を許した場合に備え、迅速に洋上から隊員や物資を送り込み、島を奪還する能力の取得が必要と判断した。今後、米海兵隊と訓練を重ねる。防衛省はさらに、沖縄県南西部の先島諸島に陸自の実戦部隊を常駐させるため、配備場所を選定する調査費約1億円も要求する。」

      AAVを持つと、日本は侵略国家になってしまう。そういう政治的な制約を長年課してきた結果が、他国からの侵略の危機なのですから、あほらしくなって仕方がないですね。日本は空自の輸送機も航続距離が長いと侵略目的になるからと、自主規制をしてしまい、結果として航続距離の長い輸送機を買うことになりました。当時の社会党や共産党の連中が如何に大局的な思考をもたず、国益を損なわせたことか。そんな昔の失敗を、今の我々が繰り返してはならないと思います。幾ら自主規制を日本がしたところで、相手の利益になるだけです。

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      さて、「AAV7」の「AAV」は「Assault Amphibious Vehicle」の略です。日本語に直すと、水陸両用強襲車両と言ったところです。1輌に乗れる兵員は25名。4輌で100名という計算になります。イラク戦争の際、アメリカ海兵隊は遅れていた陸軍部隊を尻目に、このAAVで長駆してバクダッドへ攻め入り先陣をはたしました。それほど地上での走行能力はあるということです。

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      記事にもあるように、これまで自衛隊は政治的な判断から水陸両用車を配備していませんでした。しかし、相手(仮想敵国)は違います。韓国は160輌のAAVを配備しています。ざっと4千人を輸送できる能力があることになります。台湾は54輌。こちらは約1千百名というところ。

      確かに対馬だって占領することが出来ると韓国が夢想する筈です。ちなみに対馬を警備する陸自部隊は約350名。普通科中隊の隊員はレンジャーの有資格者が多いので、山に退いてゲリラ戦をしながら増援を待つことになりそうです。海自の対馬防備隊が約100名。こちらは陸戦隊になって玉砕ですね。陸海軍部隊が共同で戦闘を出来ないのは硫黄島の栗林中将も進言している通りですし。

      ただ、このAAVは目的地の沿岸部までは船で運ばないといけません。

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      (強襲揚陸艦(LPD)独島)

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      (コージュンボン級戦車揚陸艦)

      韓国海軍には、強襲揚陸艦(LPD)は1隻(独島)しかありません。ただし、AAVなら26輌が搭載できます。他には、戦車揚陸艦(LST)としてフランス海軍が採用しているアリゲーター型をモデルにしたコージュンボン級戦車揚陸艦が4隻あります。こちらは、AAVを14輌搭載する能力があります。これらを合計すると、韓国海軍がAAVを82輌輸送することが出来るということになります。

      つまり一度の揚陸作戦で展開できる兵員は約2千人。

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      日本は、海上自衛隊が強襲揚陸艦(海自では輸送艦と呼びます)を3隻保有しています。1隻に搭載できるAAVは約15輌。つまり合計で45輌です。運べる兵員は420人。なのに今回導入する予算が付いたのは4輌。45輌になるのに11年も掛かる計算です。将来、45輌のAAVが配備されるとしたら、揚陸専門の普通科連隊を設けるべきだと思いますね。候補は第46普通科連隊(海田市)が有望です。海自の輸送艦部隊は呉が母港ですから。

      2012年6月15日 (金)

      技術革新についていけない人体の問題

      http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=2017535&media_id=52

      「米国防総省は15日、米軍のステルス戦闘機F22の操縦士の中に低酸素症の症状を訴える者が相次いでいることから、同戦闘機の飛行制限を含む新たな安全措置を講じると発表した。同省は、必要ならF22戦闘機を飛行停止にすることも除外しないとしており、リトル報道官は「あらゆる選択肢が検討される」と語った。カービー報道官によると、最初に低酸素症の症状を訴える報告がなされたのは2008年4月で、昨年1月までに計12人の操縦士が同症状を訴えているという。F22戦闘機は昨年も約5カ月間、飛行を停止していた。しかし、今月に放送されたCBSテレビの人気報道番組「60ミニッツ」で2人の操縦士が安全面での懸念から乗るのをやめたと証言し、再びこの問題に注目が集まっていた。」

      一読しただけでは何の話?というような記事なので、少し基本的なことを解説してから話を進めたいと思います。

      戦闘機のコックピット(操縦室)は旅客機のようには快適な与圧がされていない場合が多いようです。その理由は、戦闘時などに被弾する可能性を考えているから。仮に旅客機並みの与圧を戦闘機のコックピットに掛けていたら、コックピット付近に与圧が抜けてるような被弾をしてしまうと、その部分から機体が崩壊したり、パイロットに大きなダメージを与えてしまうなどして、墜落する事になるかも知れません。ですから、急上昇、急降下による気圧の変化にパイロットが耐えられる程度の与圧しかかけられていないのだそうです。当然そうなるとコックピット内へ酸素を供給するような仕組みは採れないため、パイロットは酸素マスクを装着して安定した酸素供給を受けるようになっています。昔は、酸素ボンベを搭載して供給をしていました。しかし、供給される酸素は液体酸素の形で機体に搭載するために、補給時に危険が伴うことや、搭載量で飛行時間が制限されるため、現在ではエンジンから抽出された高圧空気を用いて乗員に供給する酸素を発生させる装置(「OBOGS」)を搭載するようになっています。

      ですから、普通に考えると、F-22の飛行停止を示唆するようなパイロットの低酸素症は、この「OBOGS」装置に何等かのトラブルがあったのではないかという推測が出来ると思います。しかし、この装置の技術は相当こなれたものです。従来のF-15やF-16、F-18などで同様のトラブルが報告されていない事を考えると、F-22に搭載された装置が従来のものとは別方式である場合を除いては、単なる装置の設定ミスや整備ミスなどを疑わざる得ないですね。

      高性能飛行機の操縦者は多様なストレス状態に置かれている。最近、新しい訓練用ジェット機(T-4)の操縦者が、フライト直後の深呼吸時に胸部の不快感あるいは深呼吸がしづらいことを訴えている。この飛行機は、分子ふるい濃縮エアシステムを意味する搭載型酸素発生システム(OBOGS)により、操縦者に酸素を供給する日本最初の航空自衛隊(JASDF)ジェット機である。フィールド研究では飛行直後の肺活量の減少が観察され、また胸部X線写真では横隔膜の挙上あるいは上部板状無気肺が見られた。これらの現象は、高いG(5G以上)飛行任務後および高高度飛行(15,000フィート以上)後に起こり、年齢の高いほど顕著であった。航空医学研究所での追加研究の結果では、低酸素を吸入する高高度室内飛行練習装置において、また室内空気を吸入する遠心加速訓練装置においても肺活量の減少を観測した。JASDFにおける操縦者の医学的検査の年間統計データからは、T-4操縦者にいかなる種類の生理的障害も見られなかった。T-4操縦者のこの現象は過酸素付加によるGzストレスによって起こる無気肺と相似している。OBOGSは、もともと純酸素の逆効果を避ける目的で操縦者の吸入酸素濃度を減少するための装置として計画されたものであるが、しかしその希釈は十分とは言えない。操縦者のストレスへの現在の対抗手段としては、耐G動作の実行と正圧呼吸をするまでの禁煙が望ましい。(「航空医学実験隊報告(第35巻 第4号) , pp. 89-97」)

      この文は航空自衛隊にある航空医学実験隊のレポートの抜粋です。今回のトラブルを理解する上で有用な示唆が含まれているかも知れません。 それにしても最新鋭戦闘機を操縦すると言うことは多大なストレスをパイロットが受けるものだということが良く理解出来ました。

      米空軍の最新鋭戦闘機にして、無敵のセイバーであるF-22が抱える問題は、操縦している人間の脆弱さにあるとオバマ政権は言いたいのかも知れませんね。これって軍事費削減の為には、金食い虫の戦闘機や軍艦は無人化するぞというシグナル?と疑いたくなるようなお話しなのではないかと思っている私は偏屈者でしょうか。

      DDH183は「やましろ」?

      かなり遅すぎますが、今年度の自衛隊予算関係を整理してみました。まずは海上自衛隊から。

      <主要装備>

      *艦艇関係

      ○護衛艦(DDH183)の建造<19,500トン型1隻>:1,155億円
      ・平成28年度に除籍が見込まれる護衛艦「くらま」の代替更新として「改ひゅうが型」の2隻目の1万9500トン型護衛艦(DDH)を建造。平成27年(2015年)3月就役予定。

      ○潜水艦(SS)の建造<2,900トン型1隻>:547億円
      ・TCM(潜水艦魚雷防護システム)性能向上型を搭載した「そうりゅう」型8番艦の2900トン型潜水艦を建造。

      ○護衛艦の艦齢延伸(艦齢延伸工事2隻&部品調達6隻分):59億円
      ・「はつゆき」型1隻 +「はたかぜ」型1隻の艦齢延伸工事を実施
      ・「あさぎり」型1隻 +「あぶくま」型2隻の艦齢延伸措置を実施

      ○「あたご」型護衛艦2隻のBMD艦化改修(2隻:360億円)

      *航空機関系

      ○掃海・輸送ヘリコプター(MCH-101)=1機取得:61億円(MH-53Eの後継機)
      ○哨戒ヘリコプター(SH-60K)の取得=4機:229億円
      ○哨戒ヘリコプター(SH-60J)の機齢延伸=2機:10億円

      *その他

      ○イージス艦の能力向上:PAC-3ミサイルの取得:41億円
      ○海事衛星通信(インマルサット)関連事業:3億円
      ○艦艇用共同イントラネットの整備:0.9億円

      <編成>
      ○横須賀地方総監部管理部援護業務課を改組、横監隷下として新たに就職援護室を市ヶ谷に設置

      <研究開発>
      ○艦艇等の情報共有能力の向上(衛星通信能力向上):9億円
      ○潜水艦用新魚雷の開発:35億円
      ○可変深度ソーナーシステムの研究:10億円
      ○BMD用能力向上型迎撃ミサイル(SM-3Block2A)の日米共同開発を継続:7億円

      <その他>
      ○艦船需品(救命胴衣や防火器材など)の調達について、海上保安庁との一括調達を検討


      注目する点は、

      ・「はつゆき」型1隻 +「はたかぜ」型1隻の艦齢延伸工事を実施
      ・「あさぎり」型1隻 +「あぶくま」型2隻の艦齢延伸措置を実施

      新造護衛艦の建造が予算的に出来ないために、古手の「ゆき」型DD1隻に艦齢を延ばす工事をして5年以上は退役を延ばす。同様に「あさぎり」型DDや「あぶくま」型DEも長持ちさせるために艦齢延伸措置をする。

      DDGの「はたかぜ」型は2隻就役中ですが、「あたご」型イージス艦(もしかしたら改「あたご」型になるかも)を2隻増勢することが出来ないため、DDG8隻態勢を維持するには艦齢延伸を今年度1隻、来年度1隻実施して凌ぐつもりである事が判ります。その代わり「あたご」型2隻のBMD艦化改修を実施し、ミサイル防衛体制を強化。早い話が、こちらの方は予算化して貰いやすいから。ついでにミサイルも買っています。BMD艦化改修費でDD護衛艦を1隻は建造できますから、取捨選択に苦慮した事が伺えます。

      2012年4月17日 (火)

      どうする?どうする?

      先日の北朝鮮によるミサイル騒動で再び注目された海上自衛隊のイージス艦。現在6隻が就役しています。

      「こんごう型護衛艦」

      ○「こんごう」(DDG173) 1993年就役/第1護衛隊群第5護衛隊
      ○「きりしま」(DDG174) 1995年就役/第4護衛隊群第8護衛隊
      ○「みょうこう」(DDG175) 1996年就役/第3護衛隊群第7護衛隊
      ○「ちょうかい」(DDG176) 1998年就役/第2護衛隊群第6護衛隊

      「あたご型護衛艦」

      ○「あたご」(DDG177) 2007年就役/第3護衛隊群第3護衛隊
      ○「あしがら」(DDG178) 2008年就役/第2護衛隊群第2護衛隊

      海上自衛隊の各護衛隊群には、防空護衛艦が各2隻配される編成になっています。つまりイージス艦が2隻足りない計算です。その穴を埋めているのが「はたかぜ型護衛艦」(非イージス艦)です。近代化改装を実施すること無く現在に至るため、そろそろ代替艦の建造を考えないといけない時期に来ています。(例えば、主砲Mk 42 5インチ砲(73式単装速射砲)は「たかつき型」1、2番艦の近代化改装の際撤去されたものの流用で、現在海自の主砲であるオート・メラーラ 76 mm 砲に置き換えることなどが考えられたが実施はされなかった)

      ○「はたかぜ」(DDG171) 1986年就役/第4護衛隊群第4護衛隊
      ○「しまかぜ」(DDG172) 1988年就役/第1護衛隊群第1護衛隊

      Akizuki_1

      そんな中で、先月に就役したのが汎用護衛艦(DD)「あきづき」型の「あきづき」です。この護衛艦を海外の関係者は汎用護衛艦とは評価せずに、日本独自のイージス艦とする見方があるほどスペック上は優れた防空能力を有しています。その中核がFCS-3A射撃指揮システムという対空戦闘システムです。このシステムは先に就役した「ひゅうが型護衛艦」(DDH)に搭載されたモノの改良型にあたります。改良点の中心は僚艦防空 (Local Area Defense)任務に対応しうる性能を有することです。建前としては、イージス艦が艦隊の広域防空を担当し、FCS-3A射撃指揮システム搭載艦が中域防空を担当するというお話しなのですが、実際にはイージス艦が弾頭ミサイル対処任務に割かれてしまうために、イージス艦が無くても護衛艦単独で限定的な防空能力を持ちましょうと言うコンセプトであるのは否めません。そうなると「あたご型護衛艦」の残り2隻の建造を財務省が認めるのか。その点も心配になります。

      本来論でいけば、弾道ミサイル対応の為に「こんごう」型イージス艦をBMD統合任務部隊を常設化して振り向けることにして、「あたご型護衛艦」4隻と、「改あたご型護衛艦」4隻による護衛艦隊の編成を求めるべきなのですけどね。


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